後編
*** これは 過去と現在の移り変わりです
「たく!なんなんだアイツは」
俺は突然家に出ていった愛花に腹が立っていた
(俺が何を悪いことをしたよ そうめん食べただけなのにさ!)
(絶対謝らないぞ! 俺がもし謝ったら 認めたってことになるからな!)
、、
(まぁいいや 夜になれば愛花も帰ってくるだろうしな)
俺はそんな真剣に物事を理解しておらず 続きのドラマをみはじめた
(これ、マジで泣くわ あそこで告白とかマジで)
ドラマをラストを終え 目から涙がこぼれた
(マジ良かったわ!これ愛花にもみせてやりたいな)
「愛花ー!このドラマ、あ!」
詳細な話を切り出そうとしたところで愛花がいないことに気づく祐介
「そういえば いなかったな」
「グーグー」
ドラマで涙を流したところで腹もお腹が空いたと泣き始めた
(そういや そうめんしか食ってなかったしな なんか食べるかな)
俺はなにか食べるものはないかと台所に向かったのだった
(なんか食うもんないかなー?)
ブツブツと話しながら冷蔵庫のドアを開けると冷蔵庫は空っぽの状態だった
「なんだよこれ!空っぽじゃん! 意味わからんマジで!」
愛花は日曜日のポイント3倍の日に買いだめをするため土曜日の冷蔵庫は空っぽになっていることが多かったのだ
「これじゃなんも作れないな」
俺はお昼頃 なんでも簡単なやつでいいから作ってくれって言っていたのを思い出した
肉も魚などの生鮮物がない状態で「簡単な物でもいいから」が1番辛いことに気づいたのだった
「愛花には悪いことをした」
テーブルには未だそうめんの容器が鎮座し 邪魔になっている 普段ならば絶対愛花が気を使ってすぐに洗ってくれるはずだった
「まぁ洗いもんくらいならいけるかな」
わきまえてザルとコッブを洗う
スポンジに洗剤をつけてもみもみさせる そしてコッブを洗っていった
ザルはこびりついてそうめんを落としスポンジで洗うが食器洗いなどしたことない祐介にには泡が少し残っていたことにも気づかない
「まぁこんなもんだろ、俺もやればできるからな!」
今日に限って漬け置きされた食器たちに目が止まった祐介は漬け置きされた昨日の食器も洗うことする
漬け置きされた食器はヌメヌメとしていて洗うのが汚い
「マジなんだよこれ!汚いな!」
イライラしながら食器洗いしていると洗剤を大量に入れたことで泡がたくさんでて食器も滑りやすくなったのか 手から食器がこぼれ落ちた
「ガシャーーン」
壮大にぶち破ってしまったお皿に思わず絶句する
「これ、絶対愛花に怒られるやつだ」
俺は愛花に怒られる前に破片を拾い集めゴミに出そうとするが ゴミが分からない
「食器って何ゴミなんだ?」
当然ゴミ出しという概念などない祐介にとって 指定ゴミ袋がなんなのかよくわからなかった
「これ、マジで大変なんだな」
俺は愛花に面倒な家事というか全ての家事 掃除洗濯お買い物全てを任せていた 彼女も仕事をしているのに同居してからずっと我慢してやってきたことに感謝しかなかった
「愛花をありがとうって言わなきゃダメだ 負けたとかなんてどうでもいい!」
俺ははじめて自分のプライドを捨て 愛花のところに会いに行くことを決意したのだった
***
俺と愛花が出会ったのは高校生の時だった
最初の頃は話も挨拶程度でろくに話してなかった 気になりはじめたのは 冬服から夏服に変わり半袖になった頃だった
俺は大学に入学するため夏期講習をしていた
愛花も夏期講習のために参加していたのだが
愛花は勉強道具も教科書も一式全てを忘れてくるというとんでもないドジっ子だったのだ
「なにしにきたのー?(笑)」
案の定笑いの種にある愛花を俺は遠くでみていた しかし愛花は気落ちすることなくこう言う
「わ、私は!別に 勉強に来たわけじゃないんだからね!」
「え!?」
俺は夏期講習まで来て勉強のためではないとすると何をしにきたのかと疑問に思った
「いったい何をしに来たのよ!」
「うーんと!」
愛花は困り果てている 素直に忘れてきたって言えば解決するのにと遠目ながら思った
「お、男 が好きです!」
「え、、、?」
「か、彼氏を作りたくて夏期講習に来たのよ!」
「え?今夏期講習に来ている男の子って、?」
「そう!祐介くん!君だよ!」
「えーーー!なんだってー!」
彼女は満面の笑顔で僕に微笑んだ
その時、強がりな彼女がときどきみせる儚げな笑顔に俺は好きになってしまったのだった
隣の席に座ることしかできなくなってしまった愛花は こう言った
「ごめんね、迷惑だったよね?」
「いや、別に」
その間も 俺の心の中はフィーバーをむかえていたドキドキが止まらなくて心臓が飛び出そうだ
「へー祐介くんって頭がいいね すご~い!」
「ちょっと近づきすぎじゃ」
「ん?」
小首をかしげてくる彼女
(何も言わなかったら言わないだけで勉強なんかできないんだよ)
それから夏期講習の日は愛花といつも隣の席になることが多くなる
夏休みも終わりを迎え いつも通りの学校生活になった
俺は悩んでいた 大学の勉強に手を付けられなくなってきたのだ
「うーん、これじゃ大学が」
「あ!祐介くんだ!どうしたの?」
「ちょっと勉強が進まなくてさ」
「えーじゃ私が勉強を教えてあげよっか?(笑)」
(勉強ができなくなった原因に勉強を教えられてもはかどるわけがない)
「なーんて、私が勉強ダメダメだから!忘れてね!」
「愛花ー遊びに行こー?」
「うん!分かった!」
「じゃまたね、」
「うん、また」
「あ!」
髪を揺らしながら俺に振り向いた愛花
「頑張って!」
「あぁ」
悲しみとか苦しみとか生きていればいろいろあるけど 君の「頑張って」の一言で一瞬で魔法にかかったように勇気をもらい大学に入学出来たのだった
***
辺りは夕焼けが辺り東雲に包まれている中 俺は愛花にいる実家に向かっていた
あの時は 何気ないことで笑いあったり 支えあったりしてた でも今は違う 俺はなんてことを言ったんだ
「愛花?」
誰もいない公園で1人ブランコに座って泣いている愛花をみた
愛花もまた祐介の存在を気がかりに思っていた 「冷蔵庫が空っぽだった」とか 「私が言い過ぎた悪かった」とか 母に聞いてもらい なんか祐介に会いたくなってしまったのだった
そしてお互いが妙にプライドが高く 先に謝ったら負けだと思っていたのだった
「愛花」
「祐介くん」
学生時代の呼び名につい恥ずかしくなって赤らめる姿に俺はキュンとする
「俺が悪かった ずっとずっと 思っていたのに」
「あの時みたいだね」
***
愛花は祐介くんの大学に入学するため一生懸命勉強していた お母さんには無理だ無理だと言われながら 祐介くんにまた学校生活をともにしたい一心で祐介には内緒で勉強していたのだった
合格発表の日 愛花は大学の校門にいた
愛花の番号を一生懸命探すがその番号はなかった
「1年頑張ったげじゃダメだよね、」
そう、心で思った瞬間 急に涙がこぼれてきた
それは単に大学に堕ちただけではなく 祐介ともう会えないということだったからた
「やだぁよ~ーー!」
公園のブランコに座って人目を気にせず号泣する
その時もあの人がきた
「愛花」
泣きじゃく私の背中をそっと抱きしめる その腕は温かくて気持ちよかった
「落ち着いた?」
「俺と同じ大学に?」
「なんで?知ってたの? 」
「好きな子の居場所なんて分からないはずがないだろ!」
「マジ? ストーカーじゃん(笑)」
「なんだよ!」
「ありがと!大学 頑張って」
「あのさ、愛花?」
「ん?」
「もしも 今みたいにその小さな背中が震える時は俺が今すぐ君を抱きしめるから ずっとずっと そばにいて」
「え?それって?」
「愛花が大好きだ!付き合ってくれ!」
「うん!」
***
「ドサ!」
「ちょ!ちょっと!祐介くん!」
「言ったろ? もしもまた君の背中が震える時がきたらまた君を抱きしめるって」
「もう!祐介はホントに! 私は大嫌いよー」
使い古された大嫌いも君が口にすれば反対の意味の言葉になる そして俺は抱き寄せ続ける
「まだねぐせついてるぞ(笑)」
「はー!?今なんて言った?」
「どんなに年連を重ねていってもねぐせが似合う愛花でいて」
「ズルいんだからもう!!」
頬をぷっくりと膨らませる愛花もかわいい
「ただいまー!」
「いろいろあったけど無事に仲直りできた これで めでたし めでたしって 愛花?」
「ムムム」
「どうしたんだよ」
「ムムム」
「ん?」
「祐介!これはどういうことよ! 」
愛花がみたのは台所に散らばっているお皿たちであった
「私のお気に入りのお皿だったのにー!」
「マジごめん 許してな」
「もう知らない!出ていく!」
「ええーーーー!」
これが俺たちのいつも通りの休日
了




