嘘つき
【ウイサイド】
目が覚めると、目の前にウタちゃんがいた。
顔が半分無いながらも、わたしを優しそうに見つめていた。
「…お兄…ちゃん…?」
「………」
既に、事切れていた。
「………なんで、どういう…どうして………」
わたしは混乱した。
わたし達が犠牲になる事はないって、ずっと2人一緒だって…
「………なんで!!!」
「……どうしてくれるの、お兄ちゃんが…お兄ちゃんが……死んじゃったじゃないの!!!」
わたしは意識が揺らいでいくのがわかったが、そんなのはどうでもいい。
早く、何とかしないと…
「………アイちゃん、お兄ちゃんが死んじゃった…生き返らせてよ…」
レイの魂を移動しているアイちゃんの肩を掴む。
「………ウタが、そうか……」
「アイちゃん、早くして。」
「いや、ウイよ、死んだ者は、生き返りはしないのだよ…」
「…生き返るよ、アイちゃんはそういう能力持ってるじゃん。早くしてよ!!!」
「……お主、何処でその情報を手に入れた…」
「そんなのどうでもいいじゃん!早くして!じゃないと、アイツが来るよ!!!戦力欲しいんでしょ?!今度こそ皆殺しにされるよ!」
「…アイツ?………シンキ以外に誰か来るというのか…?ウイ、お主は何を知ってる、今回の事も、知ってたというのか…?」
「知らない!知らない!知ってたらお兄ちゃんは死ななかった!早く!お兄ちゃんを生き返らせて!!!」
突如、突風が吹き荒れ、白い羽根を持ったアイツがゆっくりと降りてきた。
「…あらあら、ウイ、そんなに取り乱しちゃってぇ…大丈夫よ、ウタはウイとずっと一緒に居られるようにしてあげるからねぇ」
「………嘘つき…お兄ちゃんは死んじゃった!嘘つき!!!」
「ま、失礼な子ねぇ…まだ嘘なんてついてないわよぉ…ほら、アイ、生き返らせてあげなさいよぉ、じゃないと、生き残りから1人ずつ殺していってあげるわよぉ」
「………お主、何者じゃ…悪趣味にも程があるじゃろう…!『ノア』の皮なんて被りおって…!許される事ではないのじゃが…?!」