冷凍保管
【先生サイド】
絶対死んだと思ったのに。
なんでわたしが生きてて、この子が虫の息なんだ…!!!
「…ヒナ……ちゃ……ん、なんで………」
ヒナちゃんが魔力を全力展開して、草の壁を作ってくれた。
けれど焼け石に水、草等…一瞬で焼け落ち、ヒナちゃん自身がわたしの壁となった。
「…どうして、なんで………」
ヒナちゃんは痛々(いたいた)しい傷を背中全体で受け、苦々(にがにが)しく笑いながら、わたしの上で倒れていた。
「…役立たず、隠れててって、言ったのに………」
「…ご、ごめ………ヒナちゃん…ど、どうしよう………」
傷の具合を見てみたが、とても…助かりそうにない………
「…そ、そうだ、アイちゃん……!」
瓦礫の何処に居るかも分からないアイちゃんの名前を呼ぶ…が、返事がない………!
「アイちゃん!アイちゃん!ヒナちゃんが!助けて!!」
そこに、レイが現れてヒナちゃんの状態に顔色が真っ青になる。
「………ヒナ!」
レイがヒナちゃんの状態を一瞬で把握し、覚悟の顔になる。
「…っレイ!ご、ごめ…わた…わたしの、せいで…ヒナ、ちゃんが………!」
「………黙って離れてろ…」
レイが虫の息のヒナちゃんの身体を凍らせていく………。
「そ、そうか、一時的にでも冷凍することが出来れば………!」
わたしはヒナちゃんから離れて見守る事に…したが、次第にレイの身体まで凍りついていく………
「…な!レイ!それ以上魔力を使ったら、君まで………!」
「………煩い、黙ってろって言っただろ…!」
レイが怒鳴りながら全力で氷の魔力を使っていく。
まずい、このままでは意識の無いヒナちゃんは助かってもレイは魔力切れのまま凍死する可能性も……!
「…っアール!適当に容れ物を作るのじゃ!」
「…へ?適当って…何を作れば…」
「動ければ何でもいい!はよう!」
「…後で文句言わないでね…!」
アールが機械傀儡を作製し始めると共に、アイちゃんがレイの身体に魔力を使い出した。
…丁度氷漬けの2人が完成する頃、一瞬の隙を見てアイちゃんがレイの身体から光る玉を抜き取ると、そのままアールの作った機械傀儡へと光を移動する。
ヒナちゃんとレイは、2人セットで氷漬けの冷凍保存が完成してしまった。
「…アイ、ちゃん…今のは…ヒナちゃんとレイは………」
「ふぅ…何とか間に合って良かったのぅ…ヒナとレイの肉体は冷凍保管になってしまったがの、レイの魂は無事じゃ。ヒナは意識が無いから無理だったがの。肉体に入っていても魔力があれば問題なかろう。」