1/7
新たな出発
【ノアサイド】
その日は雨が降っていた。
しとしと降り続く雨を見つめながら、隣のレイがため息をつく。
「…はぁ……雨か、雨の日は身体が軋むから、あまり長距離は移動したくないな………」
「…レイ、何を甘えてるの?僕達は進まなくちゃいけないんだよ。」
「………あ、あぁ、そうだったな……」
僕はレイの身体にかっぱを纏わせる。
「ノア、レイ、もうすぐ行くよ。」
アールが出発の準備を急かしてきた。
「うん、分かってる。」
僕もフードを深くかぶる。
僕達は、こんなところで止まっていられないんだ。
「じゃぁ、そろそろ出発かの……」
相変わらず顔色の悪いアイが弱々しく笑う。
僕はそれに気付かないフリをして、小屋を出た。
雨はしとしと、降り続けていた。