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新たな出発

【ノアサイド】


 その日は雨が降っていた。

しとしと()り続く雨を見つめながら、(となり)のレイがため息をつく。


 「…はぁ……雨か、雨の日は身体(からだ)(きし)むから、あまり長距離(ちょうきょり)移動(いどう)したくないな………」

 「…レイ、何を(あま)えてるの?僕達は進まなくちゃいけないんだよ。」

 「………あ、あぁ、そうだったな……」


 僕はレイの身体にかっぱを(まと)わせる。


 「ノア、レイ、もうすぐ行くよ。」

 アールが出発の準備を()かしてきた。

 「うん、分かってる。」

 僕もフードを深くかぶる。

僕達は、こんなところで止まっていられないんだ。


 「じゃぁ、そろそろ出発かの……」

 相変わらず顔色の悪いアイが弱々しく笑う。

 僕はそれに気付かないフリをして、小屋を出た。


 雨はしとしと、降り続けていた。




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