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転生ゲーマー令嬢は婚約者を玩具にする  作者: 御月源士郎
序章 幼少期編
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5 模擬戦1

 今日はいよいよ模擬戦の日だ。

 現在の騎士見習いは14歳の者はレボット、ドリゴ、ゲルドの3人、レボットは士族で代々ウチに使える騎士だ。他の2人は平民だが、ドリゴの父親はウチの騎士団に所属している。

 ちなみに、私とアベルを馬鹿にしていたのはレボットとドリゴの2人である。コイツらいつか絶対に泣かす。

 そして13歳はラルフ1人、12歳は私とアベルの2人だけだ。

 その下もぼちぼちいるが、正式な騎士見習いは洗礼を受けられる12歳になってからのため今回の試合には参加できない。


 騎士団の規模に比べると見習いの数は少ない。全ての騎士の子供達が騎士を目指す訳でもないし、正規の団員は各地からも配属されてくる。

 騎士見習いになった子供には15歳になると平民士族貴族問わず、スワンドレイク家の援助で王立学園に通わせている。もちろん洗礼も受けさせている。

 でもその場合、他の騎士団を選ぶという選択肢は無くなり、加えて危険な魔獣討伐に赴く辺境の地の騎士を目指す者は決して多くはなかった。

 そんな訳で今回の見習いの模擬戦参加者は6人、総当たり戦で全員と闘う事になる。


 一回の試合は10分、時間内に剣を取り落すか降参すればそこで終わる。時間までに勝負がつかなければ引き分けとなる。

 対戦場所は3箇所に分け、それぞれ騎士達が審判を行う。

 13歳、14歳の見習い達は、この時の戦いぶりによって魔獣討伐に同行できるかどうかを判断される。

 勝ち負けよりも身のこなしや咄嗟の判断力、持久力を見られるため、全ての試合に全力で挑まなければならない。

 一回戦目はレボットとランドルフ、ドリゴと私、ゲルドとアルベルトだ。


 模擬刀を手に取り向き合うと、ドリゴはへらりと笑った。


「お嬢様相手に本気を出しませんから安心してください」

「いいや、本気で構わないよ、この試合は貴方の評価にも繋がるのだから、手加減して負けましたなんて言い訳にできないでしょ?」

「そう言うなら遠慮はしませんよ」


 開始の合図と共に、先手必勝とばかりにドリゴの懐に飛び込んだ、下段から剣を振り上げるのをギリギリで躱されたもののドリゴは態勢を崩した。

 その隙きをついて足払いをかけると簡単に転がすことが出来た。ここで勝負がつくと思いきや、ドリゴは左手から風の魔力を放った。


「風刃!」

「…チッ!」


 私はそれを交わすと一度地面を転がって距離を取った。

 得意げにニヤリと笑うドリゴを尻目に、私は全身に魔導壁を張った。

 無属性だからって人並みの魔力はある。魔力があれば魔導壁は張れる。多少の魔法はそれで凌げる!舐めるなよ!

 魔導壁は魔力を身体に纏わせて身を護る為のものだ。属性相性による利点は無く、各属性の防御魔法より防御力に劣るが、弱点なく魔力依存の攻撃から身を護る事が出来る。

 魔導壁を張る練習はかなりやり込んだ、なんせ魔法が使えない者からしたら、魔法防御や魔法をぶつけ合って相殺できない分、コレが命綱にもなりうる。

 ドリゴは次々と風刃を私に向けて放った。威力は弱いが連続で魔法を放つ能力には長けているらしい。コントロールも悪くない。

 私はそれを躱しながら再びドリゴの懐に飛び込もうとした。

 すると風刃の1つを避けきれずに私の肩に当たった。


「あっ!しまっ……た?」


 しくじったと思いきや、やけに衝撃がない、まるで火のついた棒を水に漬けた時のように、シュワッと蒸発するように魔力が弾けて消えた。


「あれ?」

「えっ?な、なんで!?」


 一瞬、2人して呆けたものの、一足先にドリゴが気を取り直し再び風刃を連発してくる。

 私は咄嗟に顔と頭を庇うように腕を前で交差すると、全ての攻撃が身体中に命中した。

 しかし、やっぱり攻撃のダメージどころか衝撃すらない。全ての魔力が私の身体に触れると霧のように消えた。

 唖然とするドリゴ、ニヤリと笑う私。


「ふっ…ふふふふっ」


 思わず漏れる笑声に、ドリゴは顔を青くした。

 わはははっ!効かぬ効かぬ!痛くも痒くもないわぁっ!魔法が使いものにならない貴様など、我が剣の錆にしてくれるわっ!

 ここぞとばかりに連続攻撃を繰り出すと、数撃打ち合った後にドリゴはあっさりと地に付した。


「こっ、降参!降参する!」

「1人目!勝ったどー!」


 この時、ピロンと言う音と共に無機質な音声が流れたのだが、ハイテンションになっていた私はそれに全く気が付かなかった。



 2回戦目の相手であるゲルドは平民でパン屋の息子だ。ゲルドの家の菓子パンは特に美味しい。おばさんもとても気のいい人で、街に出る時には何時も立ち寄っている。

 父親は森の近くの麦畑に現れた魔獣に襲われて亡くなったそうだ。下には弟と妹がいる。

 家族を支え守るために騎士見習いになったと言う、真面目でしっかり者のお兄ちゃん的存在だ。

 皮肉な事に、そんな彼の才能は料理だった。傷ましい事件すら無ければ、パン屋の跡取りとして皆の舌を喜ばせていたかも知れない。

 それでも腐らず、努力を続け、着実に力を付けている。ギフトによる「才能」が全てではないと言ういい見本だった。


 ゲルドの戦い方は魔法と剣術をバランスよく使いこなした戦い方だった。

 水の魔法の使い手で、水を鞭のように操って攻撃してくる。しかし敢えてそれを手で捕まえると、水の鞭は霧となって消えた。

 私に魔法が効き難いとわかると、今度は魔法で霧状の壁を幾つも作り出し、撹乱する作戦に出つつ剣での攻撃をしかけてくる。

 最初は回避に徹していたが、慣れてくれば足音や色々な気配で位置が分かるようになってきた。

 結局最後は剣のみでの打ち合いになり、手こずったものの、最後は私がゲルドの剣を跳ね上げ勝敗がついた。


「レイニーナ様、また腕を上げましたね」

「ありがとう」

「先程はアルベルト様にも負けてしまいました。俺ももっと頑張らないと」

「ゲルドならもっと強くなれるよ、一緒に頑張ろう!」

「はい、頑張ります」


 うむ、やはり好青年である。


戦闘シーンに苦戦しております。

まだあと2話分もある……

ゲームっぽい話までなかなかたどり着けません。

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