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転生ゲーマー令嬢は婚約者を玩具にする  作者: 御月源士郎
序章 幼少期編
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21 可愛いは許されない

 洗礼から2年が過ぎ、私達は14歳になった。1つ年上のラルフは王立学園に通うために王都へ旅立ち、少し寂しくなってしまった。

 そして漸く私達は魔獣討伐の同行が許された。本来、見習いは一人ずつの同行しか許されないのだが、私とアベルの異能の力を試す為にも、時折私が付き添いとして参加する事が許された。


 本当は森中を浄化して回りたいのだが、思いの外魔力消費が激しくて断念せざるを得なかった。

 しかし、毎回とは言えないが、魔獣を生きたまま普通の獣に戻す事も可能になってきた。

 でもそれは私一人の力でなく、周囲の協力があってこそだ。チームで動くと言う事の大切さを身に沁みて感じるようになった。

 それと共に騎士団の団結力も日に日に上がってきたように思える。


 討伐参加が許されてから、経験値が今迄とは段違いの速さで溜まっていく、ガチャポイントも討伐報酬で貰えちゃうんだから魔獣討伐が辞められない止まらない勢いだ。

 そして溜め込んだ素材で武器や防具やアイテムも色々と作れるようになった。特に浄化薬は重宝している。


そんな訳で現在のアベルのステータスはこんな感じ。


経験値:能力PT :37 スキルPT :26

筋力:71 体力:68 速力:76

魔力:74 知力:66  魅力:1

剣術10 、弓術5、槍術7、体術7、学力8

火魔法7、風魔法9、水魔法5、土魔法5

雷魔法3、陰魔法2、生命魔法3


 スキルのレベル上限は10のようなので、能力値の上限は99か100ではないかと思う。

 何かしらの解放条件が整えばそれ以上もあり得るかもしれないが、人間の能力の領域を超えてしまう気がする。

 そう考えると、14歳でこのステータスは既に天才レベルに等しい。このまま人外魔境に突入して良いものか……


「と言う訳で、そろそろ魅力を上げてみようか?」

「え?どういう訳?」


 アベルは眉間にシワを寄せ、怪訝な顔を私に向ける。しかも何故か不本意という顔をしている。


「魅力なんか上げる意味あるの?経験値が勿体ないだけだよ」

「意味はある!魅力があればモテる!」

「別にモテなくていいし」

「魅力って別に見た目が良くなる訳じゃないからね、人を惹き付ける力って事なんだよ、人の上に立つ者はカリスマ性も必要でしょ?」

「そう言われればそうだけど、他に優先する事があるんじゃない?」

「つべこべ言わない!」

「言うよ」


 アベルの嫁探しのために必要な事なのだ。だから魅力に注ぎ込んだ経験値は決して無駄にならない。


「という訳で魅力ドーン!!」

「えっ⁉ ウソ⁉ 残りの能力値全部⁉ 何考えてんの!」


 ステータスを見て驚くアベルの顔を間近でまじまじと見つめる。何か、何か変化は?


「なっ…何?」

「うわっ!破壊力ヤバイ!こっち見ないで!」


 私は思わず仰け反った。

 地味なイケメンが急に色気ダダ漏れのイケメンに変化していた。なんか思ってたんと違うんだけど⁉

 無自覚に首を傾げるな!私を殺す気か⁉


「えっ、魅力って見た目の破壊力が上がるの?そんなに恐い顔してる?それとも何かを破壊する力でもあるの?」


 アベルは不安そうに自分の顔をペタペタと触り始めた。

 いや、そういう意味じゃ無いんだ。


「私の心臓が壊れそう」

「それってつまり……どういう事?」


 言いながら再び首を傾げて顔を覗き込まれた。

 思わず一歩後ずさると、アベルも一歩迫ってくる。気が付くと背中が壁に付き、アベルは壁に両手をついて私の動きを封じた。

 コレはまさか、壁ドンと言うヤツでは⁉

 私はこの緊張感に耐えられず、大声で思いの丈を叫んだ。


「アベルがビックリするくらい可愛いくなったって事!」


 アベルは徐ろに両手を壁から離すと、大きくため息を吐いてから表情の抜け落ちた顔になった。


「あのさあ、いい加減、俺のこと可愛いとか言うの冗談でも辞めてくれる?」

「何で?」

「何でって、嫌だからだよ」

「嫌なの⁉」

「嫌だよ」

「褒めてるのに⁉」

「いや、むしろ馬鹿にしてない?男が可愛いとか言われて喜ぶと思う?」

「思う」

「思わないで」


 アベルはもう疲れたとばかりにガックリと肩を落とすと、踵を還した。


「もういい」


 後ろを向いたままそう言うと、不機嫌そうに早足で去って行った。

 それから暫く、アベルはいつもムッツリしていて、あまり口をきいてくれなくなった。

 そんなに嫌だったのか、男の子って難しいね。


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