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転生ゲーマー令嬢は婚約者を玩具にする  作者: 御月源士郎
序章 幼少期編
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18 作戦会議

自分的には早くふざけた話をやりたいのですが、もう少し説明的なお話しが続きます。

 ディスクルークに遭遇した数日後、私は父上に会議室に呼び出された。

 そこには先日ギルドで出くわしたリオネル小隊長も居る。まさか、今更またあの件でお叱りを受けるのだろうか?でもだとしたら何で私だけ?

 内心ビクビクしながらも、それを表に出さぬよう注意しながら入室した。


「父上、私に御用でしょうか?」

「うむ、取り敢えず席につけ」


 顎で唯一空いている末席を示されると、私はそこに腰を下ろした。

 父上は腕を組み口をへの字口に曲げて何やら難しい顔をしている。暫くの沈黙の後、父上はゆっくり口を開いた。


「先日遭遇したディスクルークの討伐に、レイニーナ……お前を参加させる事にした」


 は?討伐に参加?見習いの私が?

 予想外の発言に返事を窮していると、今度はリオネル小隊長が口を開いた。


「先日の魔獣探索の報告を聞き、レイニーナ様のお力をお借りしたいと思いまして」


 父上の様子を伺うと、何時ものしかめっ面でコチラを見ている。私をここに呼んでおきながら、不本意だと言う顔をしているのはどういう訳ですか?


「討伐に参加させると言っても、お前はあくまでもサポート役だ、決して戦闘には参加するな、護衛も付ける」


 はいはい、流石にそれ位は弁えております。

 そのまま討伐の作戦会議へと話は進むが、聞いているとどうも行き当たりばったりで、具体的な作戦は無いに等しい。闇雲に探して見つけたら戦うみたいな?

 魔獣化したクルークの討伐はどうやら初めてのようで、皆どう対処すべきかいい案が出ないようだ。

 私が口出してもいいのかな?提案位はしてもいいのかな?皆が考え倦ねて会話が止まったタイミングで切り出してみた。


「あの、この中に雷魔法の使い手は居ますか?」

「私が」


 おずおずしながら尋ねると、騎士の一人がスッと手を挙げた。


「上空を旋回するディスクルークに閃光を放てられますか?」 

「閃光ですか?」

「タイミングを見計らって閃光を浴びせれば、目を眩ませてから上空から地上に墜落するはずです」


 コレもアレだよ、ゲームでよく使う戦法ですよ。

 接近戦の武器だと上空の敵に攻撃し易くするためだったり、スタンさせてボコボコにするために閃光玉を使う。

 材料さえあれば錬金術で閃光玉を作ることも出来るが、材料を調達して調合するより雷魔法でピカッとやってもらった方が早いなと。

 なんせ、ここは魔法のある世界ですからね。ゲームと全く同じにする必要は無いわけで。


「それと、先日の魔獣遭遇の後、結界の形を変形できないかと試行錯誤したのですが、半球状ではなく円形状に結界を形成する事ができるようになりました」


 私なりに日々能力を使いこなす努力を続けているのだよ、ゲームばっかりして遊んでる訳じゃないのさ。


「それが何か作戦に使えるのか?」


 父上が興味深そうに訪ねてきた。


「はい、円陣の中に魔獣を落とす事ができれば、周囲から集中攻撃を行えるのではと思いまして」

「成程、一考の価値はあるな」

「そうなると、円陣の中に誘い込む手段があれば成功率は上がりそうですな」

「クルークが魔獣化しても食の好みに変化は無いでしょうか?」

「恐らくは」

「なら、ルドリスの実を餌に使うのはどうでしょう?」


 クルークは雑食系の鳥だが、主に樹の実や果物を食べる。そしてより甘い樹の実を好むため、果樹園の果物がクルークにやられてしまう事もしばしばだ。

 ルドリスの実は外側は硬めの皮に覆われているが、それを取り除くとそれはもう甘ったるい匂いが周囲を支配する勢いで放たれるのだ。

 それを餌に誘き寄せたらどうかと提案してみた。


「ディスクルークの生息地は、多分この辺りになると思います」


 私は机の上に広げられた地図の2箇所を指で指し示した。


「この辺りはクルークが生息するのに都合の良い環境が揃ってるんです。当然、ディスクルークにとっても住みやすい場所なんだと思います」


 この辺りに私達が潜んで、ルドリスの実の匂いで誘き寄せ、閃光で地面に叩き落としてボコボコにすると。


「先日初めて森の奥地に赴いたお前が、何故そのような事まで知っている」


 ビーストハンターのゲームをプレイしてたら殆どこの辺りにクルークが出現するから……なんて説明しても分からないだろうから…あれだ、こんな時の為の上等句!


「異界の賢者の知識です」

「成程」


 なんて便利!

 コレ1つで何の説明も要らないなんて!


「もし、生きたまま弱体化出来れば、私の魔法で浄化する事も可能です」


 取り敢えず私の思いつく事は全部言った。採用されるかどうかは別として。

 父上は再びへの字口で眉間に皺を寄せながら目を瞑る。暫く考え込んだ後、父上は目を開いて私の顔を見つめた。


「分かった、お前を指揮官補佐に任命する」


 は?

 本日2度目の「は?」なんですが⁉

 目が点になるとはこういう事か。


「状況に応じてお前が作戦を指示しろ」

「え?皆はそれでいいの?」


 余りに予想外の決定に、思わず口調が素になってしまった。

 父上にギロリと睨まれる。


「私がその様な任を受けて、皆が納得できるのでしょうか?」

「皆、相違無いな?」


 父上が何時もの怖い顔を更に増して周囲を見渡すと、皆無言で頷いた。

 やだ、本当に大丈夫なの?まさか父上が怖くて不本意ながら従ってるとかじゃ無いの?

 私まだ子供だし見習いだし、初めて本格的な討伐の参加だよ?もしかして、これって何かの試験?


「私のような若輩者に務まるでしょうか…」

「大丈夫ですよ、お嬢様はあくまでも補佐ですからら、基本的には私が指揮を取りますので」


 私の不安そうな顔に気がついたのか、リオネル小隊長が声をかけてくれた。しかもウィンク付きで。

 この人こんなキャラだったのか。


「……最善を尽くさせて頂きます」


 私はぎこちない笑顔で皆に頭を下げながら、これは大変なことになったぞと冷や汗が流れた。


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