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黒歴史(カラーノート)  作者: 三概井那多
25/32

澄んだ青空よりも嵐の前の曇天の僕ら(オタクども)9

 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね。



 ―――ただ、ただ、死ね!!



 最悪な気分だった。ドス黒い感情が張り付いたようにして消えない。いや、むしろそれで全てが塗り潰されたようにして真っ黒で染まっているようだった。


 吉田に一発を入れた後、感情のまま更に殴りかかった。すぐに吉田もキレて、俺達は互いに頭に血が上って、俺に関しては完全に感情の臨界点が突破して本気で殺しやろうと思った。



 グラウンドはちょっとした乱闘騒ぎになり、それを見かねた他の教師達によって俺達は抑えられた。


 そのまま俺と吉田は離されて、俺は担任の柿原から説教を受けていたが腹の虫が収まらずに無視して逃げ出してきた。


 ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう!!


 激情によって駆り出されるがままに走り出して学校を飛び出した。自転車も荷物も全部置いてきた。だが、そんなことは全部些細なことだった。


 俺は……俺は! ―――……………俺は!!!


 ―――俺が何んば、悪かこっばしたっか!?


 力強く地面を踏み蹴った足が更に加速する。同時に湧き上がってくる感情の方も止まることを知らない。


 いつもの走るペースじゃない、乱暴で力任せで、走ることに関して何一つとして最適化されていない、猪の猛突進じみた走りによって真夏の田舎道を駆け抜ける。


 風を切る感覚がなく、足裏は大地に怒りぶつけてそれがただ返ってくる。腕の振りも、全身を使ったバネも何もかもが乱暴で、無理矢理で、今にも引き散れそうだった。


 常に走り出せば、走ることで夢想して、無走するようになっていたはずのこの体は、俺の心はいつものように穏やかさなく、ただ黒いものに囚われてそれに染まるものだった。


 悲しみ、怒り、嘆き、失意、反抗、憎悪、絶望、無為、攻撃、……そんなものばかりが沸々と湧いてきて走りも感情も全てを、杉田夕弌の全てを狂わせてくる。


 自分自身をコントロールできない。感情も体も何もかもが壊れていくのを感じる。



 ―――消したい。



 このまま何もかもを消し去ってしまいたい。


 アイツも、アイツも、アイツもアイツもアイツもアイツもアイツもアイツもアイツもアイツもアイツもアイツも、誰もかれも容赦なくこの手で消し去ってやりたい!


 視界に映るものすべての色彩が消えてモノクロに映る。うざったらいセミの鳴き声も消えない。波のさざめきも、森山の空気の音も、たまに通る車の音も遠くなる。汗の匂いも泥の匂いも血の匂いも潮も緑の匂いも無味無臭。


 すべて薄れては消えていく。


 ああ。あああ、あああああ。……ああああああああああ。あああああああああああああああああ。ああああああああああああああああああああ。ああああああああああああああああああああ~~~~~~~~!!!!



 こんなクソ田舎も、そこに蔓延る悪臭を放つお前らも、何もかもが、ぜんぶがぜんぶ、だいっきら――――。



「うー、いー!!、聞こえないの? おーい!」

 

 壊れて歪んで狂っていた世界に唯一聞こえたまともな声……いや底抜けたバカ丸出しの声。感情と共に下がっていた顔を上げた先にいたのは、アホそうな娘と顔だけ取り柄の貧弱な男の二人、リーとモカだった。


 二人の姿に気付いて、少しだけ世界がまともに戻る。


 そして自分が泣いていることを思い出して、慌てて涙を拭い去る。


(なんでこがんところに! …………どがんする?)


 まともになると一気にどうするべきか現状についてパニックになった。


 今、一番会いたくない二人だった。


 見られたくない、動揺されたくない、同情されたくない、何も言いたくない、何も聞かれたくない、悟られたくない、知られたくない、何もされたくない!


 今……こんな状態で、アイツらと出会いたくなんてなかった。

 プライドや虚勢、俺自身のキャラ像といったものがぐちゃぐちゃでメンタルが安定せず、何もかもをみんなぶっ壊してやりたいと思っている今の、最低最悪、最凶の状態で会いたくなかった。

 なぜなら我慢できる自信がなかったからだ。


 何か言われたら…………それが例え、心配した一言や気を紛らわせる軽口でも、今の俺は全てが悪意のある一言だと思って気に障って暴れ出す自信があったからだ。


 それだけ絶対にしたくない。

 身内には絶対に手を上げない。


 それも俺が……初めてできた、同じものが好きと共感し合える、大切な二人にだけは絶対にしたくなかった。


 どう考えても今は接触せずに回避するべきだった。だけど、引き返すことはプライドができず、一歩道であるため曲がることもできない田舎道、精神状態不安定な俺に何かをすること思い浮かべることはできず、中途半端に迷いながら二人の前に立つ。


 ……立ってしまった。


 二人は俺を見て驚き、困惑した。何を言っていいのか分からないといった表情。触れていいのか、切り出すとしても何から先に言っていいのか分からないという様子。


「……………」

「……………」

「……………」


 数分にも感じられる短く重い沈黙。三人とも口を開くことはなかった。


 なぜ二人は何も言わないのだろうと思って目を上げてみると、二人は俺に対して怯えの色が出していて、ああ、俺が怖いのか、とその沈黙の正体がようやく気付いた。


 心配されることの気まずさにどうするべきかと考えていた俺だったが……、なんてことのない二人は俺の存在に恐怖していた。


 都会に住んでいる喧嘩をやったこともないもやしっ子と平和ボケした底抜けの明るいバカ女にとってはかなり衝撃的でショッキングなものだったんだろう。


 そのおかげで触れないという空気ができたことに喜ぶべきだったんだろうけど、そんな感情は湧いてこない。


 ………やっぱり出会うんじゃなかった。


 意味もなく怯えさせてしまい、酷いことしてしまった。


 二人の空気を悪くしてしまったことを心底後悔して、その場から立ち去ろうと二人とすれ違った。


 そのまま再び徐々に加速させていき、速く遠ざかろうとする。一刻も早くこの場から逃げたかった。


 クッソ! クソ!! こんクソが!! マジで死ねよ!!


 先ほどとはまた違う胸糞悪い気持ちに支配される。怒りや憎悪によるものではなく、やってしまったという罪悪感や劣等心が俺の胸の中に締め付けてくる。


 けれど、そうなってしまった原因を思い出し、吉田やそれ以外の奴らの姿を思い浮かべてもう一度怒りと憎悪が湧いてくる。



「待って! うい!!! ねえ、待ってよ、うい!!!」



 背後からようやくと思えるくらい時間にも感じられるほど、実はそれほど大して過ぎていない頃に梶田の声が聞こえた。


 …………俺は、安堵した。


 ああ、よかった、本当に離れてよかった。


 声に聞こえて最初に抱いた感想が、頭カチ割って殺してやる、だったから。誰だろうと関係ないただ触れたからという理由だけでそうしていた。


 何度も呼ぶ、梶田の呼ぶ声を無視して加速させる。傍から見れば逃げている俺の姿は滑稽だろう。


 そして梶田の声はすぐに遠のいて聞こえなくなり、やがて自宅に帰ってきた。


「あ、夕弌兄ちゃんお帰り。……(あ、かなりのレベルでブチキレとるやん。無視せんば)」


「「おかえりー。((あ、キレてる。はなしかけんどこ))」」


 家に辿り付くと、外で遊んでいた妹の柚樹と双子の愛世、恋世がいたがそれを無視して家へと男部屋へと入る。


「はあぁぁぁ~~~~~~~~~~~」


 乱暴に座り込んで大きく嘆きを上げ、両手で覆うように額を叩いた。


 涙が零れて、「うっ、うっ、う~~~」と呻いた。感情が狂う狂う狂う狂う、狂う。


 嫌なものが大量に、広がって、大きく、激しく、うずいて、暴れて、外れて、害して、汚染して、崩れて………………。


 涙いっぱいに溜まった目元、歯を噛みしめて、拳を震わせて、感情がいっぱいいっぱいでいると、そいつは囁く。


 ―――もうわかっただろう。誰もお前なんかを認めない。

 いつも心の何処かにいる、理性の悪魔が囁く。……うるさい。

 ―――お前一人が悪い。夢を持ったお前が悪い。他人に合わせられないお前が悪い。

 そいつは黙らない。嫌味たっらしく言うのでなく、ただ事実を突き出すようにして告げている。……うるさい、消えろ。

 ―――吉田が言うように陸上をすればいい、桜美達と仲良くやればいい。そうすれば何も問題がなかった。この田舎(世界)に生まれたことを恨み、怒りを覚えることはなかった。そもそもお前に感じている理不尽自体、何の理不尽じゃない。

 そいつは言い続ける。周りが敵だらけなのは俺のせいなのだと。

 ―――お前が憎んでいるものは、全部お前自身が悪い。


 ………………………………………………………………………。


「ちっ、くしょーーーっっがああああ!!!」


 畳をぶっ叩いた。ドン、と家中に響き渡ったんじゃないのか、と思えるほどの震が響く。埃が舞い、衝撃で棚などの上にあったものが幾つか倒れ落ちたがそれらを無視する。


 涙を乱暴に拭い去って、起き上がる。


 書いてやる!


 自分の机と向かい、椅子に乗っかかり、ルーズリーフを出して、ペンを回して定置につかせて、ペンを走らせた。


 書いてやる書いてやる書いてやる書いてやる書いてやる書いてやる書いてやる書いてやる書いてやる書いてやる書いてやる書いてやる書いてやる書いてやる書いてやる書いてやる書いてやる書いてやる書いてやる書いてやる書いてやる。


 書いてやる!!


 てめーらのつまらない、いけ好かない、勝手に決めた、行きたくもないのに行かなくてはならないそこへとちゃんと行ってやるよ、行けばいいんだろうよ、行けばよぉ!!そしててめーらにとっての大切な大切な陸上選手だの、陸上大会での記録だの順位だので好成績とればそれで満足なんだろうが! それはさどかしとてもいい代物なんだろうよ、俺がやりたいと思って誠心誠意込めて、悩みに悩んで、全部という全部を使って描き上げた駄作なんかよりも何倍も価値がある代物なんだろうな! ああ、そうだよな! オタクの創作物なんて何の生産性のないただのガラクタでしかないもんな! まったく意味のないゴミだもんな! どれだけ頑張ってもどれだけ悩んでも何枚の紙やシャー芯を使い切っても、無駄の一言で切り捨てられるもんな!!


 ああ……、あ~~、あああ~~~~~、あ~~~~~~~~!!!


「んがんこつはわかっとるわ!!」


 ペンを走らせた。怒りからくる感情任せに執筆する。


 頭ではなく、感情で書いた。自分で何を書いているのか分からない。支離滅裂だった。でも関係ない。ペンを止めない。止まらない。止められない。


 真っ黒な感情で突き動かせたそれは、今までにないほどに書くことができた。それに対して俺自身には驚きも感動もない。これまであれだけ頭の中にあることを文字化して、文章に、物語にすることに苦渋していたのに、今はスラスラと書けている。


 その理由は俺の心と書かれる物語にリンクさせて書いているからか。そして同時に昨日まで不明だった物語の結末を決めたからだ。


 物語の結末は―――主人公は生き返らずに死ぬ、物語。


 自分の生存していた頃の記憶の蝋燭を見つけて、それを覗いてみたらそこに映った現実は最悪なものだった。


 とある夢を持っていてそれを叶えるために努力していた。けれど周囲の反対が厳しくて味方はおらず、けれど諦めずに夢見て努力をしていた。……いつかは成功して周りから認めてもらえるよう意気込んでいた。


 駄目だった。


 周囲は認めない。周囲は快く思わない。周囲は嘲笑する。周囲は反感する。周囲は足蹴にする。周囲は怒鳴り散らす。


 主人公は周囲と何度も何度も衝突した。その度に反発心を燃やして糧にしていた。いつか認めさせてやる、分かってもらえると信じて。


 だが、限界がやってきた。決定的な亀裂が入って折れたのだ。

 耐え続けていた心は擦り減らされて消耗し続けていた。歯を食いしばって振り絞ってきた根気は彼方に果てていた。


 誰一人認めてくれず、たった一人で抗い、もがき続けてきたのに、周囲の圧は強く、増して更に強固になっていき、それに耐えきれず主人公は壊れて自害した。


 別に彼らと争いたかったわけじゃない。彼らに何か不快で迷惑なことをしたわけじゃない。彼らは気に入らないという理由だけで足蹴にして踏みにじってきたのだ。


 認めさせることしか道はなく、努力してきたが、そもそも彼らには理解するという心がなかったことに気付いたのだ。


 世界は……。いや、彼の世界は。世界にとっては小さな小さな世界だったけど。だけど彼にとってのどうしようもない絶対の世界だったのだ。そしてその世界は彼に優しくはなく、無慈悲な世界だったのだ。


 そのことを思い出し、再び絶望して、もう一度死を選んだ。


 そんな物語が継ぎ接ぎの文章によって模られていく。


 黒く、黒く、黒く、黒く、黒く、どこまでも黒い文章は俺の感情そのものであり、物語の世界観に合い、真っ黒な世界としてカチリ合う。心情が世界の風景を書き上げていく。


 憎悪と悲しみと怒りによって黒い物語は皮肉なことに、これまでにないくらい執筆の力となっていた。


 そのことに気付いて歯を噛みしめる。


 俺は………俺は……………俺は!!!



 ―――こんな世界を書きたくなかったのに!



 書きあがっていく、作り上げられていく、物語(世界)を思いながら怒りと悲しみの感情が込み上げてくる。


 本当はもっと素直に生き返る物語にしたかった。生前の事を少しずつ思い出していき、生きたいという気持ちが強まっていき、最後には笑って蘇って、この世界で生きていきたい、という力強く祈って、幸せで感動するような物語を描きたかった。


 こんな絶望しかない、悲しいだけの物語にしたくなかった。


 困難や苦難の壁を乗り越えて、最後にはハッピーエンドへと終わる、ハラハラとワクワク、ドキドキするような物語が俺の理想とする物語として形だったはずなのに。


 だけどそんなことはなく、目の前に形作られているものはそれとは真逆の物語。幸せな世界を目指して抗ってきたのに、誰からも理解してもらえず、ただ争って敗北しただけの救いのない世界での些末な悲しい出来事の物語。


 滑稽で哀れな彼の一生を、忘れて去られていたのにもう一度見る羽目となった彼が絶望するだけの物語。


 そんな、物語には、したくなかった……のに………。


 幾つものの幻想が聞こえてくる、『才能がない』『時間の無駄』『面白くない』『現実を見ろ』口を並べて言葉にする奴らの声。


 …………やめてやるよ。


 ポタっと、紙に涙の雫が零れた。丁度新しい紙に変わったから字が滲むようなことなかった。


 手が止まる。ずっと動かし続けてきた筆が停止する。


 同時に胸の中にぽっかりと大きな穴が開いたような気分になった。その穴の存在に何とも言えない感情が渦巻く。失意に陥ると必ず生まれるそれ。


 ―――やめてやる。


 穴が大きく広がっていく。構わない、決意は変わらない。


 これを書き終えたら、俺はもう執筆をしない。物語を描かない。いやそれだけじゃないゲームもやらない。漫画も読まない、アニメも見ない、オタク行為を二度としない。


 周りが言うように陸上でもサッカーでも何でも言われた通りのそっちの道に進んでいってやる。


 自分の中の奥底にある何かが崩れていく音が聞こえてくる。関係ない。


 望まれたことを遂行して、それに関して本気の努力を費やして、望まれた結果を叶えてやる。


 ある人の事を思い出す。


 尊敬していた人。師というにはその女性のことを。


 ああ、あの人もこんな気持ちだったんだろうか。


 あの人は努力を続けたが結局周りから認めて貰えず、結果を出せず、なくなく夢を諦めて、敗れたあの人を。


 あの人の敵討ちというわけじゃないが、同じように突っ張ってこれまで頑張ってきた。が、結果は同じものだった。


 そしてそしてそしてそして、そして。


 何も思うことなく死ん―――。



「―――うい!」



 背後から呼ばれた。


 のそっと首だけを後ろへと振り向いてみせると、その声の主は梶田であり、仲村もいた。


 ここまで走ってきたのか、息をぜぇぜぇと吐いて汗をだらだらと流していて疲労感が一目でわかる。俺とは違い、運動が苦手なこいつらにとってはここまで道のりは辛かったんだろう。


 梶田は悲しげな顔で、仲村は居心地悪そうな顔をしている。


「………」


「こっち、向いてよ!」


「今……書いてる」


 俺もアイツらもなんて言っていいのか分からずにいることは互いにわかった。だから、逃げるようにして執筆を再開させたが梶田が絞り出すような声で止めてくる。それに対してすぐに言い返せた。


「……一回やめて。ちゃんと話そう」


 けれど梶田は耐えて、子供が親に泣くのを我慢してお願いするような優しい声色で執筆をやめるように言う。それに一度ペンが止まる。


「……なら少し待って。少し区切るけん」


「……わかった」


 梶田は納得して待つ。


 嘘だった。一度区切るなんていったが本当はもう区切りのいいところまで来ていた。本当は二人と話すのに心の準備がいる。荒んだ心を、自暴自棄で暴走している感情を落ち着かせるための間が欲しかった。


 目を閉じて、息を吸って吐く。そして二人の方へと振り返る。


 ……………………………………。


「で、なん?」


 努めていつもの調子を装ったが、言葉にひどくトゲがあるものだった。まだ完全に律することができていない。粗ついた俺の言葉に少しひるんだ梶田だったが生唾を呑み込んでそれでも口にする。


「……何があったの?」


 発した言葉は怯えが含んでいた。そして内容自体は遠回りするような無駄はなく、正面切っての単刀直入のものだった。しぶしぶと俺は返答する。


「………悪か。陸上で合宿がある。それに行かんばいけんくなった」


「え、あ……そういう」


「そう、なんだ………。ってことは……」


 目をそらして頭を掻きながら答えると、仲村と梶田にもそれがどういう意味なのか伝わるには十分だったようで二人は目をしばたたせて驚く。


 その様子から仲村はともかく、梶田の方はショックを受けていることがハッキリと分かる。


 陸上合宿に行くということは創作活動から俺は離れるということだ。一番ストーリーを作らなければならない俺が離れることは事実上創作活動の中止を意味する。


 提案者である梶田はひどくショックな内容だったがそれ自体はすぐに立ち直り、ううん、と首を振って梶田は改めて訊ねてくる。


「でも、それだけじゃないよね。何か他に別の理由が」


「いや、本当にそっだっけ。俺はそがんと行きたくなか、って言ったばってんそっで喧嘩した。そっだっけ」


 他に理由があると思ったのか聞き返してきたが、俺はそれ自体には首を振る。


 そう、それだけ。それだけなのだ。


 そっぽ向いていたが回り込んだ梶田は真剣な眼差しで俺の瞳に合わせてくる。傍から見ればまるでイタズラがバレて怒られている子供と叱る母のような構図だ。


「本当にそれだけ?」


「……本当」


 真摯な姿勢で接して、気持ちをぶつけてくる彼女の瞳。少し怯えて涙目のあるそれは、俺の事を心底心配していたものだとわかる。何か隠しているんじゃないのか、他にもっと深い理由があるのでないのかという不安を抱えたもの。


 目を合わせた俺はもう一度頷いてから視線を一度外し、目をつぶり両手で顔を隠す。


「………俺は………お前らと一緒にできなくなるのが嫌さい。陸上なんて本当にどがんでよか………」


「………うん」


 絞り出して発した言葉は同時に泣きそうになるくらいの感情も一緒に溢れてきた。胸が苦しい。そして同時にそれはいつもとは何かが違う苦しみだった。


 分からない。普段なら渦巻いて荒れるようなものなのに、今のは何かが刺さるようなものだった。


 苦しみに耐えつつ、感情を抑えて呑み込んで、口にしたくない言葉を告げる。


「でも、もうよか。さっさと書き上げて今日中か、明日には渡すけん」


 そう、諦めの言葉を吐いた。


 本当はもっと別の事を言いたかった。吉田のことなんて知ったことじゃあねえ、合宿なんか行かねえ、お前らと一緒に最後までやる、って。そう口にしたかった。


 ……だけどできなかった。


 今の俺は反抗心がなく、心労が集って自暴自棄な状態だった。


 だから、子供じみた八つ当たりで奴らの命令を機械のように言うことを聞いてやっては、他人の人生をつぶした最低な奴らの汚名を永遠に刻み込ませてやろうと思っている。足が壊れようと走り続けて、自分の体がどうなろうと関係なく、「才能があるから走れと言われたから」という理由で意地汚く生きていこう本気で考えている。


 行き過ぎた暴走する感情で狂わされた思考回路がそんなバカげた結論に出てきて、全てをかんなり捨ててようとしている。もっと他にやりようはあるはずなのだが、真っ黒に染まった俺の中身はそんなことしか考えられなかった。


 でも、だけど、……そんな俺でも残った本心が告げていた。三人でやろうとしていた創作活動自体投げ捨てていいわけじゃない。と。


 だから諦めた。本当に書きたかった世界をやめて、ただ完成を目的とした作品に、面白い面白くないなんて関係ない、ただ書き上げるだけ、仕上げただけのそれを、こいつらに渡して約束を守る。


「書き上げられるのか……?」


 驚いた声を出したのは仲村だった。俺はだんまりと頷いた。

 ただ感情をぶつけただけの作品、酷くて、いびつで、汚くて、不細工な出来のもの。俺の感情で書き上げたそれ。それでも完成としての形はとれている。


 歯を食いしばって、拳を握りしめる。


 違うそうじゃない、そういうことじゃない。俺がしたかったのは、書きたかったのはこういうことじゃないのに……!


 殺しきれない感情が叫ぶ。仕上げたかったもののとは違いに、まだ俺は大きく心が揺れて動く。


 眉を顰めた仲村は少し考える顔になって、ああ、と踏ん切りがついたように納得して告げた。


「―――出来上がるならいい。もう無理するな。後はこっちでやっとくから。お前は頑張ったからもう無理するな」


「―――っ!」


 納得された、理解された、関与された。優しく受け入れてくれた。そのことがどうしようもなく、


 ―――悔しかった。


「俺はな!! わっだば裏切りたくなかっさい!!」


 思わず叫んでしまった。


 歪んだ顔で仲村を見るとぎょっとした表情をする。急な咆哮と怒り狂った瞳で俺がキレたのだと思ったのか。そうなんだが、違う。違うんだ。俺が怒ったのは、怒鳴ったのはそういうことじゃなくて、もっと! 別の!


 ………上手く言葉にできなかった。


 伝えたい言葉が口から出てこない。説明するための頭が上手く整理がつかない。


 ―――お願いだから……納得しないでくれ。受け入れないでくれ!


 矛盾だらけの本音と建て前。そんなわがまま感情ばかり先走って、肝心な部分は何も思いつかない。


「違うよ。もか。それは違うの」


 歯がゆい思いをし、気まずい空気が部屋を静まりかえしていた時にそんな優しい声がその間を差し込まれた。


「………いやごめん。……本当は分かってる。分かってんだよそんなことは。杉田自身が一番何に苦しんでいるのは。本当はちゃんと分かってんだよ」


 梶田の言葉にほどなく仲村も顔を落として口から零した。その表情は悔しそうに何かを思い出して後悔しているようだった。俺と同じように拳を握りしめている。


 うん、と理解したように頷いた梶田は続けて言う。


「ういは私たちと一緒にやりたいんだもんね」


「それこそ、最初から最後まで………俺達が三人でないと意味がない。それぞれの担当作業を出来上がって、『はい、終わり』みたいな、なーなーな、分轄の義務的作業ってわけじゃなく……」


 梶田の言の葉を継いで仲村が言う。うん、と梶田はもう一度頷いた。


「作業そのものも思い出にしたい、って…………その気持ちはすごくうれしいんだ。それ自体、私も、……私だけだと思っていた。少しでも二人がそんな気持ちを持ってくれていたらいいな~、ってわがままみたいなこと思っていたんだけど……。ういも同じことを思っていたこととっても嬉しい」


 そう笑顔を零す梶田。


 その顔を見て、ようやくいつもと違う胸の苦しみの正体が分かった。これは罪悪感だ。


 今、自分自身でも叫んだはずだ。『裏切りたくない』って。これまで俺一人でやってきてこれたのは周囲への反発心と、周りに合わせた方がいいという自分のお利巧さんな理性とのぶつかり合いで生まれた苦しみ。


 だけど、今のは苦しみは初めてこいつらという味方ができて、自分自身が裏切ろうとしている罪悪感からくるものだ。


 そのことにようやく気付くことができた。


「ッグズ、…これが……最初で最後だと思った」


 嗚咽交じりのかすれた声が出た。俺が口にすると、二人は静かになって次の台詞を待った。少し間をおいて続きを告げた。


「こんがこつ言いたくなかったばってん……俺にとっては初めてやった。同い年の奴と話が合うこととか。一緒にネタやったら通じ合って、バカばやるることとか。作品を一本作ろうとか言ってくれたことが。そっまで(だん)もおらんかった。皆、バカにしておらかったんや」


 それがたまらなくうれしかった。本当の友達が、仲間に出会えたのだと思ったんだ。


 今まで過ごしてきた島の連中は成長と共に漫画やアニメを卒業していき、幼稚だと言って離れていった。


 それがたまらなく悔しくて、寂しかった。好きなものを馬鹿にされて、同時に好きなものから心が離れていく姿を見るのが。


 自分もそうなりたくなかったはずなのに、好きなことは好きなままでいたいだけだったのに。けど周りはそれを許してくれなくて、強い同調圧力で攻め立ててくる。それに歯向かう毎日に嫌気をさしていた。なのに、アイツらは飽きもせずに毎日くるのだ。


 多人数に対してこちらは一人、いくら俺でも限界がくる。そしてそれが今日来たのだ。


「どがんすればわからんかった。俺はただ小説を書きたかだけやったとに、そっば否定されたからに……。やりたくもなかことば強制されて。やること自体ば別に……。走ること自体はすきやったけん。やらんばいけんことならやる」


 力弱く吐き捨てるように言う。


 走ることは好きだった。走らされるのは嫌いだったけど、タイムや順位は興味なかったけど、大会とか合宿とか遠出したくなかったけど、走らなければならない状況なら走っていた。


 それは仕方がないことでやらなければならないことだったから、我慢できた。だけど!


「……でもなんで本当に好きなことば押し殺さんばいけんとや! 好きなことくらい自由にさせろや!! 別に迷惑自体はかけとらんどもん! そっなのにどやつもこやつも!!」


 好きなことを押し殺して優先度を強要して、好きなものを取り上げようとする行為が非常に許せなかった。やるべきことは最低限やっているのに、それを最大限として要求する。好きなことは無駄の一言で切り捨てられて踏みにじる。それが許せなかった。


 だから戦ってきたはずなのに……………。


 失意に陥る。感情の爆発の反動でズタボロの心は戦う意欲が消え去っていた。


「もう本当に意味わからん……。なんば悪かこつばしたか? ただやりたいことばやっとるだけ。人に迷惑もかけとらんし、邪魔もしとらん。なのに、書けば馬鹿にされてからに、キレたら無駄な時間ば費やしとる俺が悪かといわれて……。小説ば書くことんなにがわるかん? ……俺のなにがわるかん?」


 もはや堂々巡りだった。答えが出てこないものをひたすら、なんで? 何が悪いの? と同じことばかり口にする。俺が悪いはずではないのに、俺が全部全部間違っているような気がしてならなかった。


 心が壊れる。


「うい、そんなに自分を殺さないで。お願いだから」


 うずくまった俺の肩に梶田がそっと手を置いた。顔を上げると梶田は泣いていた。とても痛そうに辛そうな顔で泣いていた。

「……なんで、お前も泣くとや」


「ういが自分を殺そうとしているから。それが嫌なんだ」


 優しくも痛々しい口調。本当に自分自身が傷ついているような声色。


「苦しかったね、辛かったね。きっと、ずっと一人で何人の人ともずっと戦ってきたんだね。ういは強いのに、こんなに弱ってるのは……それだけのことだったってわかるもん」


「…………」


 梶田の言葉が胸の中に沁み込んでいく。冷えたものに温かいものが流し込まれていくような感覚。今までそんな言葉を貰えたことは一度もなかった。嫌味か皮肉、文句、罵詈雑言だけでこんな労りと共感はなかった。


 ぐちゃぐちゃした頭を必死に働かせて言葉を絞り出していく。

「ずっとわかってほしかった。受け入れてほしかった。……応援だとかそがんとどがんでよかったとばってん、だけどずっと続けてくれれば認めてくれると思っとった」


「うん」


「でも、そっば証明する方法がなかった。賞に応募したかったばってんパソコンとか持っとらんし、そっでお前ら(わっだ)と一緒にやると決めた時にこっでなんかが変わるかもしれんと思った」


「うん」


「そっで本気でやろうと思ったら、合宿があって。そっば断ったら。才能がなかとか時間の無駄とかまた言われて、頭にきてからに喧嘩になって。……なんか溜まっていた今までのコツがいっぺんに爆発して、こん作品やったら、もう創作自体やめようかと思った。そっでアイツらの言う通りのこと全部やる機械人形のごつ生きてやろうかと思った」


「…………」


「仲村に納得された時、すげー怖くなった。もう本当に小説を書けなくなるって思ったらすげえ怖くなった」


「………悪い」


 何かを噛みしめるようにして仲村は頷いた。コイツもコイツで何か思っての発言なのは俺にだって頭では分かっていた。だけど、気が付けば感情が爆発していた。


「……そっで気付いた。お前らと一緒に最後までちゃんとやりたかし、まだ全然書きたかって。こっじゃなか、もっと他に書きたかもんは、別のもんやったはずやって。こっで終わらせんのは嫌やった」


 本音を口にした。照れくささや恥ずかしさなどなくて、ただ紡がれていく言葉を口にすると楽になっていくような気がした。荒んだ心が落ち着きを取り戻していく。


 やりたいことをやりたかった。


 周りから見れば遊びや現実逃避の何かでしかないのかもしれない。だけど、俺の中では、心の底から真剣に向き合っている大切なことだった。それを蔑ろにするなんてことは死ねと言われているのと同じことだった。


 周りには俺の気持ちはいつだって伝わらない。伝えているのに、伝わらない。


「書かせろよ……。好きなように、書かせろよ……!」


 ぐちゃぐちゃな感情で、絞り出した言葉と共に涙が零れる。


 物語の結末を悲しいものに………。


 俺の人生は挑戦すらさせてもらえずに、灰色に染めてあげた。……今を、そんな黒歴史にさせないでくれ。


 頑張っていた、それだけあの頃は本気だったのだ、とそう思える黒歴史にさせてくれ!


 そっと、触れるような温かい声が耳元から届いた。わかった、と。


 感情と涙で歪んだ視界に映った梶田はすぅー、と息を吸ってから


「私のわがまま言うね。合宿に行かないで作品を書いて。私達と一緒に創作活動を続けて最高のものを書き上げて。最後までちゃんと思い出を作って!」


 和らげな笑みは切り替わり、真剣な表情で告げられたのは、これまでずっと欲しかった言葉を初めてもらえた。


 書いていい。本気でやっていい。


 今であって来た敵ではなく、信じて共にいたい味方としての言葉。


 心に何か満たされるものを感じる。苦しくて押しつぶしてくるような、あるいは大きく穴を開けてくるような感覚は消えて、再び熱くて、強く煮え滾るような燃えるような感情が湧いてくる。

 強く鼓動が打つ。


「ういにこの夏の時間を私に頂戴!」


 梶田は嘘偽りのない本気の瞳が告げてきた。貴方が必要なのだと。


 才能が良し悪しは関係ない、その才能があればその道で生き行けるなどと身勝手な話じゃない。


 ただ好きなことを本気でやってもいい、夢に対して真摯な気持ちでいい、というように。


 ―――俺は立ち上がった……!


「話ばつけてくる。合宿になんかいかん。お前らと作品ば作って認めさせたる!」


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