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そのぼっちは花金を満喫したい

キーーーン コーーーン カーーーーンーーーー コーーーーーン


また、今日という日が終わりを告げる。


ふうー、と一息ついて気配を戻す。


「うわっ!!」と隣の席のやつがビックリしている。


毎日毎日、飽きもせずよく驚けるものだと少し感心する。


今日は金曜日だ。


今、俺の心はウキウキワイキキだ。


早く帰って行きつけの銭湯へ行こう。


ゆっくりと汗を流したら、楽しみにしているDVDを見ながらの腕立て伏せ。


からの、寝落ち・・・という三段コンボでゴートゥー夢の中。最高だ。



「おい、お前!!」


廊下へ出たところで、変なダミ声に俺の週末妄想は破られてしまった。


しかし、返事をする必要もないと思い、そのまま下駄箱へと歩を進める。


「お前だよ!おまえ!無視するんじゃねえ!」


ダミ声の主に肩を引っ張られ、無理やりに半分後ろを向かされる。


「上級生に対してその態度は何だ!」


「俺は、『お前』という名前ではない」


俺はそれだけ言うと、また下駄箱の方へと歩き出した。


「タカ?どうしたの?」


俺が歩きだした廊下の角から秋帆が出てきて、不思議そうに俺に尋ねた。


「ダミ声の上級生と名乗る男が、俺をナンパしているだけだ」


「そうなの?ついにタカもそちらの世界の住人、なのね・・。お姉さんとしては寂しくもあり、嬉しくも『バシッ!!』・・・」


俺は調子に乗りそうな秋帆の頭を少し強めにシバいてやった。


「いった~い・・・叩く事ないでしょう、タカ・・」


右手で頭を撫でながら、秋帆はふくれっ面をしている。


「か、鏑木・・・」


「ん・・・?あれ?権藤君?」


その声で秋帆はダミ声の主、権藤に気付いたみたいだ。


「そ、そいつは鏑木の弟、なのか?」


「ん~、みたいなもんかな?法律上は従姉弟だけどね!」


秋帆は権藤にそう答える。


「では、そう言う事で」


俺はサッと二人の横を抜けると、走れば5秒先の下駄箱へと急いだ。


「あ、タカ!!!」


ガシッと、秋帆に俺は腕を捕まえられてしまった。


気配を消している俺を捕まえるとは、流石は秋帆だ。


「あの、か、鏑木・・くん・・」


「え?権藤君、本当にタカに用があるの?」


「用がある、と言えばあるのだが・・・」


「俺には無い」


秋帆の腕から脱出を試みるが、こいつ・・いつの間にこんなに力をつけた。


「どういう事、権藤君?説明してくれる?」


ジタバタしている俺を抑えながら秋帆は権藤へと問いかけている。


「うっ・・・仕方ない。ここでは目立つので、こちらへ来てくれ」



そこは、剣道部の道場だった。


この週末の金曜日に、なぜわざわざこんな男臭い所へ来なければいけないのか。


「さてと・・。じゃ、説明して。どうしてタカに声を掛けたのか」


「・・・お、お前たちは付き合っているのか?」


「は~っ???」


秋帆の声が響く。


「こいつが入学してから、いつも鏑木は仲良さそうにしているじゃないか・・」


「そりゃあ、従姉弟で幼馴染だからね~・・」


秋帆は少し呆れた感じで返事をする。


要は、〈横恋慕〉したこのダミ声の主が俺の存在を邪魔だと思い、何らかの嫌がらせをしようと思って近づいて来た・・・・そう言う事だろう。



「ならば、僕は正式に秋帆君の彼氏に立候補しよう!!」


その声の方へと目をやると、一人の男子学生が入り口から入って来ていた。


「真鍋さん?」


秋帆は先程より驚いた声でその男子学生の名前を叫んだ。


「権藤君、悪かったねここまで連れて来てもらって」


「いえ、それでは失礼します。副会長・・」


「ああ、ありがとう」


ダミ声の主、権藤はそれだけ言って剣道場から出て行った。


なんだ、アイツはただの噛ませ犬か・・。


・・どうでも良いが秋帆よ、離してくれ・・・。


「真鍋さん、これはどう言う事でしょうか?」


「ああ、すまない。本当はその彼だけをここへ連れて来てくれるように権藤君に頼んだんだけどね。どうも上手くいかなかったようだね」


「どうして、タカだけを?」


「ん?決まってるじゃないか。決闘するためだよ!秋帆君を掛けてね!」


ああ、黒幕はこいつだったのか。


「私を掛けて・・って。いったい何を言ってるんですか?生徒会の副会長ともあろう人が・・」


「彼は秋帆君にとって、特別な人(・ ・ ・ ・)なのだろう?ならば、僕と君の最大の障壁になる事は間違いない。だから早いうちに教えてあげるのさ。誰が一番秋帆君の隣に相応しいのか・・をね」


はあ・・告白くらい普通に出来ないものかね。策を弄する奴とはこんな男しかいないのか・・。


これが副会長だとは、この学校もたかが知れてしまうな。


「確か、真鍋さんは剣道の有段者ですよね?それで決闘するのは、少しタ・・彼に不利なのではないでしょうか?」


「秋帆君、確か君の家は居合剣術の道場だったね?幼馴染の彼がそこに通って無い筈はないだろう!」


まあよく調べているな、こいつ。秋帆のストーカーか?


どうでもいいが・・・秋帆、マジで離して。お願い・・。



最後の一文が消えていたので、書き足しました。

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