表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様のピアノソナタ  作者: 宮本 旬
3/3

こんくーる?

私が物心ついたころ、お母様はむかし有名なピアノ奏者だということを知った。

それは6歳のころだった。

当たり前のようにピアノを弾いていた私には正直それが意味することがよくわからなかった。

お母様は私のピアノの教師である優お母様だ。お母様と一緒にピアノを弾くのは楽しかったし、ピアノを弾かされているというより弾くことが普通だと思っていた。お父様はそんな私達を優しく見守ってくれていた。今思えばこの日常は私にとって、とっても幸せだった。

ある日、お母様は私にこんな話を持ちかけた。

「ねえ雪季。コンクールに出てみない?私が審査員をするのだけれど。」

「こんくーる?こんくーるってなにぃ、おかあさま。」

「コンクールっていうのは、とにかくピアノを弾くのよ。みんなの前で。」

「それはおかあさまも、ゆきのピアノをきいてくれるの?」

「うんそうだよ。私が雪季のピアノを聴くのよ。出てみない?」

「いいよ!ゆき、こんくーるでる!」

「じゃあ決まりね。」

コンクールなんてわけの分からないことは私にとってどうでもよかった。

ただ、お母様が私のピアノを聴きたいから出てというので出るのだ。コンクールにでる理由なんて

幼い私にはそれだけでよかった。嬉しそうに顔をほころばせるお母様を見て、私は無性に嬉しくなった。

コンクールの曲としてお母様は私にモーツァルトのキラキラ星変奏曲というものを教えてくれた。

お母様が喜んでくれる。お母様が私のピアノを喜んで聴いてくれるのがうれしかった。

もっとピアノを弾きたい。もっとお母様を喜ばしたい。それだけ、たったそれだけの理由で私はピアノを

弾いていた。1曲弾けるようになるたび母は喜び。私もうれしくなった。

これが神童、風間 雪季が生まれた物語だった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ