プロローグ
ちょくちょく更新します。
「ねえおかあさま。かみさまなんてほんとうにいるのぉ?」
舌足らずに風間 雪季は母に尋ねた。きれいな黒髪とつぶらな瞳をを持つ幼女は半信半疑といった表情だ。
「うん。雪季ちゃん。ここに神様はいるよ。」
雪季の母である風間 清羅は優しい口調で答えた。不満そうな愛娘の小さな頭を優しくなでると、雪季は目を細めて気持ちよさそうな表情をする。この表情をみるたび清羅の顔はほころぶ。そして『神様』のいる場所を指で指し、雪季に教える。それを見た雪季はまるで理解ができないようにポカンと口を開く。そして母にこういったのだ。
「ねーおかあさま。これ、ぴあのだよ?」
「そうだよ。ピアノだよ。」
清羅の指したのは風間家にあるグランドピアノだった。
「どこにもいないじゃん!おかあさまのうそつき!」
当然、雪季にはピアノに神様がいるなんて信じられなかった。
「かみさまなんて、いないもん。」
清羅は愛娘の言葉に苦笑しながら、おもむろにピアノ椅子に腰かけ、ピアノの鍵盤蓋を開ける。
そして鍵盤の上に手をのせる。そのまま、流れるように清羅は美しいピアノを弾いた。
その時、確かに雪季は神様を見た。姿は見えないけど、神様を。
「すごい!かみさまだ!ほんとーにいたんだ!」
この日から、雪季は神様に会うためにピアノを弾き始めたのは言うまでもない。