武技の稽古
僕とエリーが生まれてから五年が経った。
「お兄ちゃん、ご飯だって」
「わかった、すぐ行く」
僕もエリーもちゃんと話せるようになった。そして今僕は家の地下室にいた。この地下室は僕の祖父の部屋だったらしい、祖父は僕が生まれる前に亡くなったらしく、でも祖父は生前は有名な魔法使いだったそうだ。そしてこの部屋には祖父が残した魔法の本がたくさんあり今はそれに夢中なのだ。
「シリウスまた地下室にいたの?」
「うん、そうだよお母さん、僕ね冒険者になりたいんだ、だからそのために冒険者育成学校にかよいたいんだ、だから魔法を早く覚えたいんだ」
まだ両親には僕が魔法を使えるって言ってないんだよね。エリーには使ってるところを見られちゃったけど内緒にしてもらってるから知らないと思うけど、大丈夫だよね?
「学校の入学条件って確か、魔法が使えることと、何か武器が使えることだったわね、シリウス何か武器使えたっけ?」
「うん、午後は剣の稽古をしてるから大丈夫だよ」
「お兄ちゃんはすごいんだよ」
「そうね、この年でこんなに立派なんだもの」
僕はそんな評価だったんだ、ちょっと嬉しいな。
確か、冒険者育成学校は10歳からだったはずだからあと五年もある、それまでに自分ができることをやれるだけやるんだ!!
「じゃあこれから剣の稽古に行ってくるね」
「わかった、日が沈む前に帰ってきなさいね」
「はーい」
「お兄ちゃん、私も行っていい?」
そんな上目遣いで頼まれたら断れないじゃないか。
「いいよ」
エリーの頭を撫でてやったら満面の笑みが返ってきた。う~ん、かわいい。
剣の稽古をするために村のすぐ近くにある山に来ていた。
「とりあえずこの前の続きの武技の練習をするか」
「お兄ちゃん、武技ってなに?」
「武技はね、その武器の熟練度を上げると使える技だよ」
僕はこの三年でさらにスキルを手に入れた。
・《熟練度10倍》
・《武技 極》
と、この二つを手に入れた。《熟練度10倍》のおかげで全ての武技が使えるようになった。今は武技の組み合わせを練習している。自分だけの組み合わせができるからすごく楽しいんだよな。
「この前練習に使ってた木はっと」
目の前にボロボロになった木があった、この前の練習でボロボロにしすぎてしまった。
「別のにしよう」
「お兄ちゃんこっちの太い木なら平気じゃない?」
「おぉ~、いい木だな、ありがとうエリー」
また、頭を撫でてやると満面の笑みが返ってきた、かわいい。
よし!それじゃあ始めるか。
「エリー近いと危ないから少し離れてね」
「はーい」
てくてくと少し離れたのを確認してから剣を抜いた。
「ふぅ、今日はこんなもんでいいかな」
周りを見ると青かった空が真っ赤になっていた。
「エリーそろそろ帰ろう」
「うんわかった、やっぱりお兄ちゃんはすごいね。でもなんでお父さんとお母さんに魔法のこと内緒にしてるの?」
「魔法を五歳児が使えるなんて帝国がしったら騒ぎになるからあまり広げたくないんだ」
「難しい話だけど、わかった内緒にする」
「ありがとう、さあ帰ろう」
来た時と同じようにエリーを負ぶって走って帰る。