迷宮・十階層
僕は目が覚め二人を見た。
「「すぅ〜、すぅ〜」」
どうやらまだ寝てるようだ。でもここは迷宮、いくらセーフティーエリアだからっていつまでも寝てるのは良くない。なので…
「二人とも起きろ、朝ごはん食べて進むよ」
二人を起こすことにした。
「「うぅ〜〜」」
二人揃ってまだ眠そうに目を擦り顔を上げた。
「朝ごはんはサンドイッチだよ」
「「本当!?」」
二人はサンドイッチと聞いた瞬間目を見開きキラキラした瞳で僕の方を見てきた。
どうして二人がここまで食いついてきたかと言うと。
この世界にももちろんサンドイッチはある、でも種類は少なくシンプルすぎだった。けど僕には前世の記憶がある。そのため日本にあった様々なサンドイッチを作りこの二人に食べさせたことがあった。その時の二人の反応がとてもよく僕がサンドイッチを作るたびにこのような反応を見せるようになった。
「本当に別人見たくなるよね…」
「当たり前じゃない」
「こんなに美味しいものはないから」
僕が苦笑いするのも仕方ないよね!?だって二人ともいつもと様子が違いすぎるんだもん。例えるなら新しいおもちゃを見つけた子供の様な目をしてる、かな。もう流石に慣れたけどね。
「早く食べましょ!」
「早く早く!」
「そうだね、それじゃあ…」
「「「いただきます」」」
僕達はバケットに入ったサンドイッチを手に取りかぶりついた。
うん、我ながらにうまくできてるな。
「「おいしい!!」」
二人そろってそう言った後サンドイッチを食べる速度が上がった。
「もうちょっとゆっくり食べたら?サンドイッチは逃げないんだから…」
「「ハムハムハム?」」
ハハハ、食べるのに夢中で聞いてなかったと…。まぁ歳的に成長期だしいいか。
僕も食べないと無くなっちゃうな、早く食べるか。
◆
僕達は朝ご飯を食べ終えセーフティーエリアから出てこの階層の階段を探していた。
この階層の魔物は鬼、オーガの様だ三メートルくらいの大きさで真っ赤な肌をしている。強さもゴブリンよりも遥かに強い、でも僕達三人の敵ではなかった。この調子なら目的の階層まで今日中に行けるかもしれないね。
「案外この階層の魔物も大したことないわね」
「あの影の魔物に、比べればマシ」
「そうね」
カナの言っていた影の魔物とは、特訓の時に僕が召喚した魔物だ。
その魔物の名は、シャドウウォーカー、その名の様に影を使って相手に変化する魔物。そしてシャドウウォーカーは変化した相手の潜在能力を完全に使いこなし戦ってくる。つまりその潜在能力を引き出すのにもってこいの魔物というわけで召喚した。
それに比べるとオーガなんてどうってことはないだろう。
そんなことを考えていたら階段を見つけた。
「二人とも、この調子でどんどん進むぞ!」
「「えぇ!」」
僕達は十一階層へ向けて階段を上った。