再び真っ白な空間で… ①
周りをいくら見渡しても真っ白な空間が広がっているのみ。
僕はまた、死んだのか?それにしての急だな。
『いえ、あなたは死んでなどいませんよ、大翔さん…いえ、シリウスさん』
良かった、死んでいないのか。
そういえば今回は体がしっかりあるし。
「お久しぶりです、女神様」
『お久しぶりです。それと女神様ではなくアーシアの方で呼んでください、女神は私以外にもいますから』
「そうなんですか。…わかりました、アーシア様」
この世界には神様は一人じゃないんだ。
「それで、僕はどうしてまたここに?」
『それはですね、あなたも知ってると思いますが、私の加護があなた自身のスキルになってしまったからです』
「あの、頭の中で聞こえた声が言っていたことですか?」
『はい、多分それで合っていると思います。それの影響か加護の機能が正常に作動していないものがあるみたいなんです』
そういえば、メアちゃんが返事をしてくれなかったな。
『多分、それもあなた自身のスキルになってしまったからだと思います』
「そうなんですか……ってあれ?声に出していないのに…」
『声に出していなくても、分かりますよ』
アーシア様が微笑みながら、言っていた…。
…そういえば最初に会った時もだけど、話しているとき口が開いてなかったな、それに耳からというより心に直接って感じだ……そうか、心だ。
『はい、あなたには心に直接語り掛けています。それで話を戻しますね』
『あなたをここに呼んだのはその加護についてともう一つあるのです』
「もう一つですか?」
『はい、でもまずは加護の事を話しましょう』
『先ほども言いましたが、私の加護があなたのものになってしまいました。そこで機能の異常それと私の私の管理から外れてしまったのです。なのでこの後スキルがどうなっていくのかわからなくなってしまいました』
「アーシア様の管理内だった場合どのようになっていたのですか?スキルは成長するんですよね?」
『あなたの言う通りスキルは成長します。しかし、あなたの加護は成長はしません』
「えっ!?でもメアちゃんが…」
『成長しませんとは言いましたが、それはあなた自身で、です。私が初めから上限レベルを設定して加護を与えていますので、加護の機能の《案内人》はあくまでその世界の事しか知りません。加護の事についてここまで話したのはあなたが初めてですし。あの世界で知る者はいません。それで、私はあなたに強力な加護を与えた代わりにその加護の上限を1にしました。ですがあなたのものになって私の管理から外れ、レベルが上がりました。おそらくですが、あなた自身に関係があると思います。何か強い思いとかでしょうか』
「もしかしてあの時の……」
『どうやら心当たりがあるようですね。ですが起こってしまったことはもうどうにもなりません。それにもうその加護はあなたのものですから。私が干渉することはありません。今停止している機能は《案内人》と《通話》の二つのようですね』
「《案内人》と《通話》ですか…」
《通話》って使ったことがないんだよね。
『《通話》はですね、出会ったことのある者に伝えたいことを伝えることができる機能でした。一方的にですが、ただもう一つ機能があり、それが《案内人》とのやり取りです。二つの機能にはつながりがあるので、そのせいでしょう。ただ《案内人》に自我が宿るとは思いませんでしたが』
「そんな便利な機能だったのか《通話》…。それと《案内人》に自我が宿ったのはアーシア様のおかげじゃなかったんですね」
『そうですね、あなたの運のおかげですかね、ですがレベルが上がれば機能が復活するかもしれませんよ、予測ですが』
「そうなんですか!?」
『はい、とは断定できませんがおそらくですよ、それも全てあなた次第です』
「そうですか」
『これで、加護について伝えたいことは伝えました。さて、もう一つも話に入りましょう』
その一言でアーシア様の顔から笑みが消え一気に真剣な顔になった。