邪神教団誕生秘話1
「へーい、来たぞ〜」
「ああシュンさま、今日もよろしくね」
「あっそうだ、おーいスズ、こっちに来なさい」
「はいよー…」
「えっ…」
「「………」」
「えっ、どうしたのスズもラナさんも」
「ラナ姉ちゃん〜」
「スズっ」
「どういうことで?」
「ああ、前の世界での知り合いなんじゃない?」
「この世界以外の世界ねえ、」
「ああ、知っているだろう」
「確か、神達が作った『ファーム』の一つなんだろう」
「そうだね、ここは第五養殖場だけど、他のところに転生したのだと思う」
「転生か、確かにあの時死んでたもんな、はは、まさかここに来てまた会えるなんて思ってもいなかった」
「ふふ、ぼくに感謝したまえ、別の世界に行った妹さんを元の世界に戻したんだから」
「相変わらず【邪】の力はすごいよ」
「シュンさーん、やっと追いついたぁ」
「ああ、ミカエル、すまんな今日も」
「いえいえ〜わたしが毎日弁当を作るって言ってたじゃないですか」
「そういえば、もう育休は終わりでいいかな?」
「ミカエル復帰しましたー」(敬礼)
「「いえ〜」」
「このノリについていくのね、すごい大変そう」
「大丈夫だろ、前前世の記憶があるんだよ、大丈夫さ」
「ああうん、はい…あのお兄ちゃんがいろいろやらかしたやつね、フェルマーの最終定理を本気で解こうとして9日間不眠不休で頑張っていたけど、もうすでに解かれてたってショックで2日間寝込んだこと?虚数時空について考えて3日間不眠不休で頑張って理解しようとしたこと?クリスマスプレゼントにゲーム機とかパソコンじゃなくリーマン予想の本を欲しがったり、多次元方程式の本を欲しがったりしたけど、プレゼントされた後でそういうのを解説してるサイトを見つけてショックを受けたこと?」
「うん、うん(泣き)」
「しっかししてシュンさん、泣かないで」
「ありがとうミカエル」
「あっやべ、砂糖漬けになりそうだ」
「残念だけど、私達夫婦もそんなだから」
「えっ、ラナ姉ちゃん結婚したの‼︎」
「ええ、タナン様とね」
「そういえばお兄ちゃんがそんなことを言ってたな」
「もちろんこの教団のは私と邪神様とで作ったんだ」
「聞かせて聞かせて」
「俺よりも、よその子に懐く妹(泣き)」
「大丈夫ですよ、本当ならお父さんなんだから、普通だったらかなり娘に嫌われますよ」
「ミカエルくん、それ逆にダメージがはいっちゃうよ」
「俺はお父さんなんだなぁ」
「しっかりしてください、シュンさん」
「それでね〜こっちに戻ってきた時にね〜」
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「ここは、どこ?」
あたり一面には草原が広がっている
しかし、普通と違うところは、モンスターがいるところだろう
「っ」
慌てて私は魔法を使う
脚竜と呼ばれるモンスターは豪炎に巻き込まれて灰になった
「危なかった」
おそらく、ここは元の世界ではないだろう。
なんせ魔法が使えるし、モンスターがいるのだから
「食料と野営場所を確保しなきゃ」
そんな簡単な知識はある、何しろ前世の記憶があるのだから
「野生の動物はいないかなぁ」
私にとって魔法は簡単に扱えるもので、調理や整地、加工などはお手の物だった
「スズ…フランさん、アムスさん、」
心に引っかかるのは、別々になってしまった三人だった、しかも、おそらくスズは…
「はは、私一人か…いつものことさ」
私は見た目が悪役令嬢だった、悪人ズラだった、だからこそ自分がオタクだといいふらしていた、
あれはとある夏の日だっただろうか女教師と私とで話たことを
『あんた、となりの席の女の子いじめてるでしょ』
『そんなことしてないよ』
『体育館の裏側で女二人でいる、もういじめてるのは確定でしょう、ちゃんと目撃されているからね』
『あれはただ、貸してた本を返してもらってただけで』
『口ごたえしない、そんなの本当のことを隠蔽するための口実でしょう』
『本当にいじめてないもん』
『いじめてる人は皆そう言います』
そうして私は見た目からいじめをしているという烙印を“また”押されたのだ、まぁ実際にはいじめられていると思われていた子が正直に言ってくれたおかげで冤罪だとわかったが、逆にいじめられる方が多かった、顔つきが悪いので周りから好かれなかったのと、教師達は皆彼女は明るい性格だと思い込んでいた。なぜなら夏の一件以来自分の顔つきにコンプレックスを持つようになり少しでも好印象を与えればいじめッ子に見られないと思い仮面を被るようになったからだ、
それがアダになった、どんな時でも好印象を持たせるためニコニコしていたが、そのせいでいじめられていると気づかれなかった。
そこまで来たら人間不信に陥るだろう。
そして、私は引きこもってしまった。
そんな私に家族はみんな呆れてしまった。いじめられているのに言わないなんてとか、感情を押し殺しているからとか。
しかし、引きこもったことを叱ることはなかった。私の苦労をわかってくれていたし、ねぎらいの言葉さえ言ってくれたのだ。
毎日いつものように来る唯一の友達だけが、勉強を教えてくれた、だんだん塾に通い始めた、少しずつ復帰している私を見て友達や家族はみんな喜んだ、それが力になった。
そんな中学校生活だった。
3年生で完全復帰し、死にものぐるいで勉強し、内申は少し足りないぐらいだったけど、高校には無事受かった、もちろん友達とも一緒の高校だ。
しかし、私は現在一人ぼっちだ