賢者と邪神教団
「おらあッ」
男がツルハシを持ってこの教会の壁を崩そうとしているようだ。
「なんだこりゃぜんぜん崩そうにないぞ」
そこに近づく男が一人
「あんた、何やってんのか分かってんの?」
「決まっているだろう、邪教団がここにあると聞いて、退治しなくてはとおもってな」
「生憎だがここは邪神教団であって邪教団ではないからな」
「そんなことは関係ない、エル教でない限りそれは邪教だ」
「そうか、ならば他をあたるんだな」
そう言うと、ツルハシを持った男は消えていった。
「ただいまーって ……………何してんの」
「「はっ」」
「そういうことは夜にやりなさい」
「いや、その、これはただじゃれあってるだけだからね、聞いてる?シュンくん」
「目を逸らしているくせになにいってんの?」
「諦めましょうタナン、いっそのこと私たちのことをよく見てもらいましょう」
「やめてっ、聖女くんやめて」
「ということは、俺が仕事している間にいちゃいちゃしてたんですか」
「ええ」
「もう辞めたいこの仕事」
「そんなことはないよね、そうだと言ってくれ、シュンくん、いや、シュンさま〜」
「ますます辞めたくなったわ」
「邪神様、それでは逆効果ですよ、こういう時には、小遣いを増やすから見逃してください。って言うんですよ」
「なるほど、そうか‼︎」
こんなこんなを過ごしている間に、
〔カーン、カカーン、カカーンカーン〕
と聞こえてきた。
「またあいつか」
「そういえばさっき来てたね〜」
「なぜ気づいてたし」
「そういえば居ましたね」
「えぇ、こっちも」
「全く迷惑だよね〜、こっちの身にもなってよ」
「俺のポテチ食ったやつが言うな」
「あっ来やがった、やってくださいよ、賢者様ぁ」
「「あっ」」
「最近まったくいないと思ったらこんなところに居たんだ」
「違うよ、たまたまだよ、偶然にもシモダに住んでて、何か変な音がしたから見てみたらこの男がいたから、何故か聞いたら邪教徒を退治しようとしてここに飛ばされたと」
「シモダって、確かリュウキもそこに住んでいたよな」
「確かお隣さん…いや、そもそも森の中を切り拓いた所に住んでいるからなぁ」
「一ついいか、まさかと思うが、ハーレムしてただろお前、まさか」
「いやいや、お隣さんだから、いつも教えあっているだけだよ」
「おい、お前寝取りとかしてないよなぁ」
「うん、エル神に誓って言えるね」
「まったくお前もエル教から離れたらどうだ」
「嫌だよ、せっかく居場所を見つけたのに」
「だからってNo.3ぐらいに着くか」
「ははは」
「ここじゃなんだし中で詳しい話を聞こうか」
「いやぁ〜連れ去られる〜」
「さあこい」
こうして入り口から賢者が放り込まれた。
「俺、空気?」
過激派のエル教徒は困惑しているようだ。
「あっそうだこの壁は壊れないし、防音の為表面を柔らかくしたからね」
「えっ」
そうして男がツルハシを振り落とすと「グニュ」とタコを触ったような音がした。ついでに滑っている。
ツルハシにヌメヌメがついた
「気持ち悪っ」
男は黙って退散したようだ
転がり込んだ賢者の目の前には、いちゃいちゃする男女の姿が、
「やっぱり邪神様の触手は素敵ですね、とってもカッコいいし可愛らしいですね」
「そんなこと言ってラナったら、可愛らしいんだから」
「「ふふふふ」」
賢者は少し引きながらリア充爆破の呪文を唱えた
「おい、おまえら目を離した隙にいちゃついてるんじゃねーぞ」
「「はっ、お小遣いやるから見逃して」」
「見事に重ねてるんじゃねーぞ、ほら客だぞ客、おもてなしの用意しとけよ」
「金に釣られている、あのシュンが」
「うるせーこの寝取り野郎」
「やったねーわ、さっきからうるさいな」
「はいはい、お茶だよー」
「紹介がまだだったな、この触手野郎が邪神タナン、そして触手フェチのが邪神聖女ラナ
、そして俺が邪神教団団長をやっている」
「私はエル教の最高司祭を務めているケンです。付かぬ事をお伺いしますがラナさんって先代聖女ですか?あの『悪役聖女』のラナさんですよね」
「そんな過去が、ってあなたなんで知ってるし」
「自分探しの旅をしたら話を聞いたんだ。聖女が行方不明になったこととか、どこぞの公爵令嬢がなったとか、ほぼほぼ聖女じゃなくて騎士というか戦士のような立ち振る舞いだったとか、戦い方も後方支援じゃなく戦いの先頭に立って戦ったとか、賢者の石を持っているとか、邪神の生贄にされたけどむしろ邪神が生贄になったとか、世界を裏で牛耳っているとか、エリクサーを大量にがぶ飲みしたとか、国王に対する態度がゴブリンに対するようなものだとか」
「ぼく、そんなことしてないよ、じゃしんさまとだって、いいふうふでいるつもりだし、ちゃんとみんなをいやしてたよ」
「幼児退行を起こしたラナちゃん、可愛い」
「おい、正気に戻れお前ら、」
「あわわわ、どうしよう、」
「私は大丈夫ですがね」
「「「おい」よかった」なんだ、ロリっぽいラナちゃん、可愛かったのに」
「おい邪神、それ危ないから、正気に戻れ」
「でも、いつものラナも可愛いなぁ〜」
「うわぁ、これだからね」
「口から砂糖吐き出しそう」
「まあ、それは邪神様と出会う前のことですし、あまり関係ないですね」
「邪神が生贄になったってやつは?」
「知らない、知らない、私は何も知らない」
「まったくこれだから、このコンビは、さあ事情聴取の時間だよぉ〜」
「ひぇ〜、ぼくはそんなことしないってばぁ〜」
「やばい俺もう死にたい、何で俺の周りはこんなのだけなの?」
兎人族やエルフ、猫人族の妻とハーレムしているという衝撃の事実を知ったシュンは悟った。
残念だったなぁ、勇者パーティーは全員、愛の巣持ちだ
「早くうちに帰ってミカに愚痴を聞いて欲しいなぁ〜」
こいつも大概である