表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異界調整官 ~異世界で官僚、奮戦す~  作者: 水乃流
第五章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

170/188

助っ人、登場

ここから現代日本が舞台となります。

 “(ザ・ホール)”を抜け福島の施設を出たところで、私たちは意外な人物と再会した。


「サクラ!」

「カイン王子、どうしてここに?」


 ヴェルセン王国第二王子、カインが頬を赤らめながら走ってきた。


「サクラが大変と聞いて、ボクも手伝おうと思い来たのだぞ。……迷惑だったか?」

「いえ、そんなことは。しかし……」


 大変なのは私じゃなく、妖精だ。


「ご無沙汰しております、殿下」

「おぉ、ヴァレリーズ師ではないか。久しいな。師もこちらに?」

「はい。これはヴェルセン王国……異界(インタタス)の問題でもあります故に」

「うむ、大義である」


 カイン王子、留学の成果か、すっかり日本語が上手くなって……一人称まで代わって……って、違う、違う。ヴァレリーズさんを連れてきたことだって、外交的にはギリギリアウトかも知れないのに、そこに王子が加わったらとんでもない大事になっちゃう。


「殿下、お気持ちはうれしいのですが……」

「分かっているよ、サクラ。ボクが動くわけにはいかないことくらい。前に()()で、“スゲェ”怒られたからな」


 そういうと、王子は背後にちらっと目線を送った。そこには、でっかい男の人と細くて綺麗な女性が立っていた。


「剣士ゾーマ殿か」

「……ヴァレリーズ師」


 男の人は、ヴァレリーズさんの知り合いらしい。


「ゾーマは、ヴェンダ侯爵家に仕える剣士だよ。ボクの護衛にと、侯爵が付けてくれたのだよ」

「そうなんですか。では、こちらの方が王子の代わりに?」

「いや、違う。そろそろ……あぁ、ちょうど来たぞ」


敷地内に黒塗りのワンボックスカーが、すごい勢いで入って来た。ヴァレリーズさんと<パム>が身構える中、クルマは私たちの目の前で煙を上げながら止まった。ゴムの焼ける臭いがした。


「ボクの代わりに、彼女らが助けになるはずだ」


 カイン王子の言葉を待っていたかのように、ワンボックスのドアが開いてふたりの女性が降りてきた。助手席から降りてきたのは、カイン王子と同じブレザーの制服を着ている少女だった。茶髪のショートカット、目がクリクリして可愛い。なぜか、黒い指貫手袋をはめている。運転席から降りてきたもう一人の女性は、私より少し下くらい、黒髪を後ろでひとつにまとめたメガネの女性。薄いピンクのジャケットと同色のスカート姿だ。


「サクラ、紹介しよう。私が通う学園の同級生である立花杏奈嬢と、数学担当教師の三船星菜女史だ」

「立花杏奈。アンナでもアンでも、好きなように」

「三船星菜っす。セナと呼んでくださいっす」

「は――はぁ」


 いやいやいやいや、ワケがわかんない。女の子ふたりが自分の代わりって。


「あぁ、すいません、混乱させちゃいましたかね。自分ら『文部科学省就学児童学内凶悪犯罪特別対策室』の人間なんすよ、先輩」

「え? がく何? 先輩って?」


□□□


 文部科学省就学児童学内凶悪犯罪特別対策室、通称「がくはん」。閉鎖的な学校という領域の中で発生する(特に凶悪な)犯罪に対処、これを未然に防いだり処理したりする文科省内の秘密部署――なのだと、後で知った。そんな組織があるなんて、この時までまるっきり知らなかったよ。


「カイン王子から相談を受けて上に聞いたら、事務次官からも先輩に協力するよう指示を受けたっす。ともかく時間がないんで、とっとと乗っちゃってください。道すがら状況を説明するっす」

「は、はいっ」


 セナさんに促されて、私とヴァレリーズさん、そして<パム>がワンボックスカーの後部座席に乗り込んだ。セナさんが運転席、アンナさんが助手席に座った。エンジンがかかって、ドルンと車体が揺れた。


「あ、ヴァレリーズさん、これ乗り物酔いの薬です。口の中で融けるので、このまま口に含んでください」

「すまない」


 カイン王子がわざわざ車体を回り込んで、私に声をかけてくれた。


「では、サクラ、がんばるんだぞ」

「はい。殿下もお気を付けて」

「出発するっすよ~。シートベルト締めるの、忘れないでくださいね~」


 ワンボックスカーは、見事なターンを決めながら、東北自動車道へ向けて施設を出た。



カイン王子が助っ人と思わせて……。

なお、作中に登場した「がくはん」の設定は、境三保さんがカクヨムで連載している小説「ハイスクール・エスピオナージュ!」からお借りしました。さんぽさんに感謝。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろしければ、こちらもご覧ください。
異世界転霊 ~祓い屋のアフターライフ
転生ではなく、霊体で異世界に行ってしまった男のお話です。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ