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異界調整官 ~異世界で官僚、奮戦す~  作者: 水乃流
第四章

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精霊探索へ

「それって、丸投げじゃないの」


 <統括>の提案を聞いた、私の素直な感想だ。彼は、私に<システム>とやらの管理者権限を渡すと言ってきたのだ。つまり、私になんとかしろと……。もちろん、そんな提案突っぱねてもいいんだけど、管理者権限を譲渡してもらえば、<書庫>にフルアクセスできるという。違う世界の責任まで負うか、元の世界に帰るヒントを捨てるか。

 えぇい、今更だ。今までだって、私の実力を越えた責務を負わされてきたんだし。そもそも、元の世界に戻る前に、この惑星(せかい)が壊れちゃったら死んじゃうし。それに、メリラやエスリー村のみんなも助けたい。

 ……よく考えれば、<統括>の願いを受けるしかないわね。


「いいわ。管理者権限を預かりましょう。でも、一時的によ?」

『感謝する。……これを』


 私をここに案内した棒ロボットが、トレイを掲げてこちらに近づいて来た。手、あったのね。

 そのトレイには、金属製の腕輪? が置かれていた。腕輪にしては大きいわね。


『<システム>との連絡用デバイスです。上腕部に装着してください』


<アテナ>の上腕部、って大きさじゃないわね。私は、一旦<アテナ>の中から出て、腕輪をはめた。


『マーク部分を触るとロックされ、<システム>との回路が繋がります。もう一度、同じ部分に触るとロックが解除されます……可能な限り装着し続けることを希望します』

「分かった」


 マーク部分を触ると、カチリと小さく音がした。


「これでいいの?」

『はい。権限は正常に譲渡されました』


 そうよかった。それじゃぁ、精霊がいるという山の情報を……。


『その前に、二、三片付けなければならないことがあります』


□□□


 軍事のこととか分からないけれど、戦況が良くないことは素人の私にも分かった。


「ねぇ。この戦闘って、続けなきゃいけないの?」

『続ける必要はありません。資源や人員の損耗を考えれば、直ちに中止すべきです』

「なら、全員引き上げ……あ、できるだけ損害は出さないようにね。人命優先で」

『了解しました』

「それから、可能ならタルーアン側との和平交渉を検討して」


 なんとかなる、とは言わないけれど、権限を得た以上、できることはやっておきたい。そのほか、大きな方針――人命優先、戦闘回避、節約――を指示。細かいことは<統括>に任せた。で、こっちの希望も叶えてもらわないと。


『かつて伝説に“精霊の住まう山”などと呼称されていた地域が存在します。シェラ山と呼ばれていました』

「それね。そこに行ってみたい」

『あまりお勧めはしませんが……お望みとあれば、移動手段を手配いたします』


 そう言って<統括>が準備してくれたのは、一人乗りようの小型飛行機だった。


『シェラ山までの往復は十分可能ですし、いざとなればこちらからもエネルギーを伝達できます。ただ、タルーアンの勢力圏内ですので、相手に発見されると攻撃される可能性があります』

「そのくらいのリスクは承知の上よ」

『操縦方法は、<アテナ>に転送してあります』

『私が補助しよう』


 久々にみくりん登場。御厨教授譲りの上から目線で、操縦方法を教えてくれた。これがアクセルで、こうすれば方向が変わると……基本、スクーターみたいなもんね。いいわ。とっとと行きましょう、精霊を見つけに。



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