うさぎうさぎ
白い毛並みに似せて作られたうさぎのコスチュームは、きっと子どもからすこぶる評判がいい。
そんな馬鹿げた考えで自分の娘の誕生日を祝おうとしていた私にとって、知った後の後悔はどうも受け入れられず、個人的に着てみたり、近くの老人ホームへ足を運ぶ時ぐらいにしか使い道はなかった。けれども、昨日は一日中着けていた。
昨日は柄にも合わないそれを着用し、常に体の形に沿うような密着する素材を素肌で感じ、ざらざらとした砂のような毛玉に身をくねらせ、蒸し暑いのを我慢して今日も子どもが寄るように努力する。
たまの休日だからこその趣味になったのかもしれないが、見返してやりたいという未練から来るやる気もあるだろう。
気が済むまで楽しませる事を考え続けていた私にとって、水は甘露の一滴。水を飲もうとして、初めて脱げなくなっている事を知った。
妻に頼んだり、病院へ行ったり、最後の手段として切って貰らったが失敗。
自然に取れるのを待つ事になったのが昨日。
そして今日、私は起きると同時に跳ね上がった。
月が地平線へ落ちているのを見ていると、自然と落ちたのだ。
嬉しさのあまり、うさぎのように跳ね上がろうとしたが感覚はなく、変わりにあったのは視覚からのベッドの暗い空間だった。