表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

館の化物

作者: 黄金馬鹿

夏のホラー2013への投稿作品です

とある町……仮にA町と名付けよう。その町ではとある噂が女子高生の間を駆け回っていた

『幽霊が出る館』

普通はあははと笑われながらスルーされるような話題だ。だが、噂の中には『一度入ったら出られない』というのもあった

ならば、何故そんな噂が広まっているのか

そんな当たり前の質問を、とある女子校生、香李かおりは噂を話してきた仲間に話していた

「大体、出られたからそういう噂が広まったんじゃない?デマだよ。デマ」

「まぁ、そうだよねぇ」

と、相槌を打ったのは香李の友人の一人、加奈子かなこ

「でも、本当だったら怖いよね……」

想像したのか、少し怖がっているのは霊陽れいひ

「でもよぉ、少し面白そうじゃねぇか?香李と加奈子は少し無関心すぎだぜ」

と、言ったのは噂を他の三人に話した張本人、なお。男口調だが、立派な女子高生である

この四人は学校の中でも殆ど固まり、休日はよくゲーセン等に遊びに行く仲良し四人組である

「面白いって……こんなのデマでしょ?」

「そうだよ。乗らない方がいいって」

「ほ、本当だったら怖いし……」

「はい、今は何月だ?」

そういって自分の携帯を見せつけてくる尚。別に何月かは三人とも把握しているので、わざわざ携帯で確認する意味は特にない

「何月って……七月でしょ?もう下旬だけど」

「夏と言えば肝試し!!そう言うわけでその館に行ってみようぜ!」

「わ、私は反対……」

「どうせデマだって!ほら、ちょっと立入禁止の所に入るような好奇心で行ってみようぜ!」

「無駄よ、霊陽。尚は一度言ったら止まらないから……ってか、尚もデマって言っちゃってるし。心配ないわよ」

「うぅ……」

と、加奈子は霊陽を宥めるように呆れながら言う。だが、霊陽はちょっと涙目である

香李は後で好きなお菓子買ってあげるからと言ってなんとか霊陽をその気にさせた

霊陽はお菓子が好きで、何時も何かお菓子を常備してたりする

ウキウキしてる尚を見て、香李と加奈子は呆れた顔で溜め息を吐いた。やれやれといった感じで

霊陽は何買ってもらおうかな~等と言いながら、自分の世界に入っている。あ、これ、財布の中のお札が一枚飛ぶなと思う香李であった

「よし!善は急げ!!すぐに出発だぜ!!」

『えぇ!!?』

これは予想外だったのか、三人は驚きの声を上げる

流石に数日後かと思っていたが、やはり決めた直後というのは予想外だったようだ

一人で歩いていく尚を見て、今度は三人で溜め息を吐くのだった

そして、場所は代わり、数分後、件の館である

「中々ボロい館だぜ」

尚の言った通り、外見はかなりボロボロで、烏が館の屋根を飛び回り、いかにもな雰囲気を醸し出していた

蔦も無造作に伸び、玄関である門は草と蔦で覆われていた

予想外の不気味さに、一歩後ろに下がる三人。霊陽はまた涙目になっている

「ほら!早く探検するぞ!」

と、門を蹴り開け、意気揚々中に入っていく尚。その光景を見て、少しだけ三人は笑顔になり、加奈子、霊陽、香李の順で入っていく

が、香李は入った瞬間、何か変な匂いを嗅いだ

それは、生臭い、腐ったような匂いだった

香李は門に一歩入った所で周りをキョロキョロと見回す

すると、草むらの中に赤色の液体を発見した

その液体を辿り、目の行き着いた先は……

「ひっ!!!」

最早、腐敗しきって何がなんだか分からないが、それは間違いなく、死んでから何日も経っている……

「ひ、人……!!?」

人間の死体だった

「あ……い、あ……!」

声を上げて皆を呼ぼうとするが、ショックの余りに大きな声が出ない

が、その様子に加奈子が気が付いた。香李は尻餅をついて、指を指して、明らかに何かを見せようとしていた

「どうしたの?香李」

「あ……あれ!」

と、香李は一瞬横を向いて、すぐに前を見た……が、その場所には何もなかった

「何もないじゃん」

「……へ?」

香李は疑問に思い、立ち上がって周りをもう一回見渡す。が、死体は何処にもなかった

いつの間にか、生臭い匂いは消えていた

「ごめん、見間違いだったみたい」

「もう……ほら、早く行くよ。尚がご立腹だよ?」

「は~い」

加奈子が先に歩き、その後ろを香李がついていく

だが、やはり気になり、もう一回後ろを見てみた

が、やはり、そこには何もなかった

そして、加奈子と香李は中に入った。玄関は開けておいた。何かあったらすぐに逃げれるようにだ

入った先には、霊陽しか居なかった。一人でいたからか、やはり泣きそうである

中は案外暗く、まだ夕方にもなってないにも関わらず、目が慣れないと先が見えないほど暗かった

「尚はどうしたの?」

「あ、あそこに入っちゃった……」

と、霊陽はとある部屋を指で指す

香李と加奈子はあははと枯れた笑いをしながら、呆れ顔で霊陽の頭に手を当てた

「まぁ、その内戻ってくるから放っておこうか」

そういって、鞄をガサガサと漁り、霊陽に飴玉を一つ渡す

霊陽はそれを笑顔で受け取って、すぐに舐め始めた

そして、加奈子は携帯を取り出して、ライト機能を使えるようにした

その直後だった

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

尚の悲鳴が響き渡ったのは

その後、ゴトッと何かが落ちるような音がする

香李と加奈子は霊陽の前に回り込み、何時でも霊陽を逃がせるように構える

そして、そのドアが開き……

「あ~……ビックリした」

尚が何事もなかったかのように出てきた。それを見て香李と加奈子は息を吐き出し、構えを解く

「いやぁ、悪い悪い。ネズミがいきなり目の前に出てきてな。ビックリして置いてあった置物を落としちまったんだよ」

と、説明して笑顔で頭をポリポリと恥ずかしそうにかきながら三人に近づく

「もう……私たちもビックリしたじゃない」

「霊陽、大丈夫?」

「うん……ありがと、加奈子」

「わりぃわりぃ」

と、笑顔で手を合わせて軽く謝る

驚かせた罰と言って携帯のライトをチカチカと尚の顔に当てて四人で笑っている

そして、コホンと咳払いをして、尚が三人と顔を会わせる

「で、こっから二手に別れようと思う。悲鳴を何回上げたか勝負だ」

「面白そうね。じゃあ、私と霊陽。加奈子と尚で」

「ほぉ、余裕だな」

「ハンデよ。ハンデ」

笑いながら霊陽の手を引き、携帯を取り出す。電波はちゃんとあるため、いざとなったら連絡できる

ちょっとホッとしながら、霊陽にもう一個飴玉を渡す

「じゃ、私と加奈子はこの一階を回るから、お前と霊陽は二階な」

「はいはい。ほら、行こっか、霊陽」

「う、うん……」

「探検終わったら合流な~」

「霊陽~泣いちゃダメよ~」

と、ふふっと笑いながら尚を追いかけるように探検に入る加奈子

じゃあ行こっかと言って霊陽と手を繋いで二回へ上がる階段を上っていく二人

二回はそこまで広くはなく、長い廊下と何個かの部屋があるだけだった

探検もすぐに終わりそうだと思って、ちょっとだけ笑顔になる二人

早く探検してこんな不気味な館とっとと出ようと思い、一つ一つ部屋を探索していく香李と霊陽

蜘蛛の巣だらけの部屋や、ホコリだらけの部屋くらいしか見付からず、目ぼしいものも何もなかった

香李が門の先で嗅いだあの生臭い匂いは無かった

ついでに、窓を開けておいた。これは何となく、気晴らしのつもりである

霊陽も安心したのか、もう涙目ではなかった

最後の部屋を調べようとした時……

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

加奈子の叫び声が聞こえた。しかも、その後にべちゃっ、ぐちゃっという生々しい音まで

驚いたくらいでこの叫び声は明らかに可笑しい

そう思い、霊陽の手を引っ張って一階へと降りて、声のした方へと向かった

何事も無ければいい。ただ驚いただけで、行ったら尚と一緒にごめんとちいさく謝ってくれればいい。そう思った

が、希望は裏切られた

「……嘘…………」

加奈子は瞳孔の開いた目で、血を流して仰向けで倒れていた

腹から何か、赤色の物体を飛び散らかせて……

「あ……い……うっ」

霊陽は、悲鳴を上げようとしたのか、少し口から言葉を漏らしたあと、にその場で踞り、腹の中の物をぶちまけた

吐瀉物と血が混ざり、異臭がその場で漂う

香李はすぐに逃げ出そうと思った。いや、逃げ出した。本能が逃げろと警告していた

が、数歩走った所で止まった

ここに居たのは……死んでいたのは加奈子だけ。じゃあ、尚は?

一緒に行動していた尚は?もし、まだ生きていたら?

「尚を……探さないと!」

尚を探すため、香李は霊陽の手をとって、親友だったものの上を通り、走った

涙を流しながら、全ての部屋をしらみ潰しに漁った

が、どの部屋にも尚は居なかった

だが、一つだけ、探していない部屋があった。尚が最初に入った部屋だ

もしかしたら、危険を察知して、安全確認した部屋にいるのかもしれない。そう思って、霊陽を連れてその部屋へと向かった

「霊陽、尚を連れてここをでましょう。そして、警察に連絡してこの館を捜索してもらいましょう」

「……」

霊陽は何も喋らなかった。ショックが強すぎたみたいだった

そして、尚が最初に入ったドアを開け、携帯のライトを付ける

そして、人の足を見付けた

「居た!!」

そういって、霊陽と共にその足の元に走って……止まった

何故なら

「あ……」

尚の顔が、体と離れていたから

さらに、ネズミが集り、尚の体を食べ始めていた

しかも、ネズミの顔はよく見るネズミの顔と違い、何処かが変だった

ライトを当てると、ネズミの顔が分かった

ネズミの顔は……人の顔だった

「ひっ!!」

動揺でライトがずれ、一匹のネズミにライトが当たる

そのネズミの顔には見覚えがあった

いや、さっきまで見ていた

その顔は……加奈子の物だった

「イ、イヤァァァァァァァァァ!!!!!!!!」

霊陽が叫び声を上げて香李の手を思いっきり振りほどく

「霊陽!?」

「貴女もグルだったんでしょ!!?」

と、いきなり霊陽が叫び出す

「皆、私を殺そうとしてたんでしょ!!?」

「何言ってるの!?」

「私を騙してここに連れてきて、誰にもバレないように殺すつもりだったんでしょ!!?それで、あの二人が裏切ると思って貴女があの二人を殺したんでしょ!!?」

「違うの!!落ち着いて!霊陽!!」

香李の携帯のライトが一瞬、霊陽を照らす

霊陽の顔は恐怖に支配され、目に光は灯っていなかった

そして、精神的なショックにより、疑心暗鬼となったのだろう

「来ないで!!近寄らないで!!」

そう叫んで霊陽は部屋を飛びだしていった

「待って!一人は危険よ!!」

そう叫び、霊陽の後を追う

霊陽の鞄が開いてたからか、お菓子が霊陽の走っていった先を提示していた

ライトで地面を照らしながら、霊陽の後を追う

なんとかして、霊陽を連れてこないと。その思いで一杯だった

数秒走ったあと、今度はべちゃっ、という音が香李の先から聞こえた

嫌な予感しかしなかった

悲鳴こそ無かったが、先の二人のように残酷な死に方をしているのではないか。こんな予感しか頭を駆け巡らなかった

そして、地面にまた赤色の液体が流れていた

香李はライトをゆっくりとその先へと向けた

まず見えたのは下半身。下半身だけである

そして、その先には……

「もういや……もういやぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

ピクリとも動かない、霊陽の上半身だった

自分も殺される。その恐怖で体が支配され、その場で踞る

歯がガチガチと鳴る。全身が震える

何分たっただろうか。コツンコツンと足音が先から聞こえる

涙と鼻水でグシャグシャになった顔を上げて、ライトを当てる

そこに居たのは……香李だった

「わ……私?」

「そうよ。貴女よ」

何言ってるのか分からなかった。自分の顔をした人物が何か言っていた

「ドッペルゲンガー……知ってるかしら?」

その言葉を聞いた瞬間、後ろを向いて走った

ドッペルゲンガー。それと会ったとき、本物は殺されてしまう

殺される。この思いだけで一杯だった

玄関は開けておいた。何時でも出られる。そう思って玄関へと走った

が、玄関は閉まっていた

「何で……」

そんなのを疑問に思っている暇はない。すぐさまドアを開けるために取っ手を掴む

だが、

「開かない!!?」

引いても押してもドアはビクともしない。全力でやっても、開く気配がしない

蹴ってみてもビクともしない

「開いてよ!!開いてったら!!!」

何度か押して引いてを繰り返していると、後ろから何かが近付いてくる気配がした

見たくなかった。だが、香李は振り向いてしまった

そこに居たのは……

「あ……ぁ……」

死んだ筈の自分の仲間だった。だが、加奈子は腹からナニかが飛び出て、尚は顔が無く、霊陽は下半身が無かった

「ぁ……は……あはは……アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!」

香李は狂ったように笑った。涙を流して、自分の股から何か流れるような感覚があったが、笑った

「アッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!」

そして、三人の奥から誰かが近付いてくる。香李の外見ではなかった。いや、人でもなかった

触手が集まったような外見で、見たものは狂ってしまう。そんな外見だった

「あらあら、壊れちゃったのね」

そういうと、その人物はゆっくりと香李に近付いた

香李は逃げなかった。逃げられなかった。腰も抜けて全身に力も入らず、ただただ、笑い狂った

数秒後、果実が潰れるような音が館に鈍く響いた













数日後、警察に、とある女子校生四人の捜索届が出された。が、その四人は見付かることは無かった














とある館の中。血の海の中で、一人の少女が立っている

その子は美しく、見たものは間違いなく綺麗だと言うだろう

その子は、虚空を……いや、こちらを見つめている

そして、口を開いた

「次は貴女よ」

少女は、その場から消えた

以上が物語です


怪物達はクトゥルフ神話に登場する怪物をモチーフにしてみました


怪物達の正体は秘密です


ホラー作品は初なのでつまらなかったかもしれませんが、所詮この程度だと思っていただければ幸いです


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] どうも、数年ぶりです。仲村あるいは俊泊こと錠です。 数年前の作品だそうで、今更ながら読ませて頂いたのですが、恐怖なシーンの書き方が 少し弱い感が見受けられなくもないものの、話を理解し終えれた…
[一言] お初です。 ホラーにしては分かり易いですねー。 こんな風に書けるようになりたい・・・ いあ!いあ!くとぅるふ!ふだぐん! って事は怪物は『あのネズミ』ですね? 『人面ネズミ』でしたっけ?
2014/01/25 22:39 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ