#2 神社と人とその巫女と
どこだ、ここは。たしか俺は……寝てて……それから、どうしたんだっけ?
『それじゃあ、行ってくるわね』
誰だ、この人は……どこかで見た気が……
「やだ、行かないでよっ……!」
どうして俺は、この人を必死に止めようとしているのだろう。何も……思い出せない。
『大丈夫よ、すぐに帰ってくるから』
「そう言って███は帰ってこなかったじゃん!!」
███……?誰だ、それは……
『お願いよ、幸輝……行かなきゃ、行けないの』
「やだよ███、僕を置いてかないでよ!」
口が勝手に開く。これは果たして俺なのだろうか。
『……そう、私の言うこと、聞けないんだ』
途端に、空気が冷えてきた。感覚は……あるみたいだ。不思議な空間だ。
「███……何を」
すると、███は急に表情を変え、キッチンに向かった。
『……なら、こうするしか』
███……いや、そいつはナイフを取り出し、俺に向けてくる。
「がっ……」
頭が急に痛くなる。なんだよ、なんなんだよこれは……
「ハッ……!」
結局、あれはなんなんだ。
「……おはよ幸輝、よく寝れた?」
あぁ、そうか。俺はルーミアに膝枕をされて……それで
「まぁ、な」
「そう? なら良かったのだ〜」
嬉しそうにえへへと言うルーミア。それを見るだけで少し、心が癒された気がした。
「もう朝か……そういや、ルーミアは寝たのか?」
「私は妖怪だから寝なくても大丈夫だよ?」
「そうか……妖怪は寝なくてもいいのか」
「うん!」
結局、夢か俺の記憶かは分からないが、あれは分からなかった。けれど、なぜだか俺の一部のような気がしてならなかった。
しばらくして、俺とルーミアはこの世界にある神社に向かうことになった。ルーミアが言うにはこの世界には色々な種族がいて、その中にはもちろん人間もいる。俺は人間だから、とりあえずその神社にいる人間に会いに行こう、という流れだ。
「……これ、登るの?」
「そうだよ〜?」
神社前の階段というのは大体短いというのが俺の記憶にあった。だが、この神社前の階段と言うと、とてつもなく長い。軽く500段はありそうだ。
「仕方ない……か」
俺は勇気を出して階段を登る。上を見ると、絶望が押し寄せてくる。だから下を向いて歩いている。
「……ルーミアは浮けるのか」
横を見ると、ルーミアは浮いていた。だけど、俺のスピードに合わせてくれている。
「妖怪だからね〜」
そんな感じで歩いていると、ようやく頂上が見えてきた。体幹30分くらいだろうか、ものすごく疲れた。
「あら、来客なんて珍しいわね」
登り切ると、巫女らしき人が掃除をしていたようだ。
「って、なんで妖怪と一緒に居るのよ……!? もしかして、あんたも妖怪?」
巫女はお祓い棒を手に取り、俺に向けてきた。
「いやいや、俺はちゃんと人間だよ」
「……怪しいわね」
なんだか話を聞いてくれ無さそうな雰囲気だ。そんなに俺って信用ない?
「なぁルーミア、この巫女っていつもこんな感じなのか?」
「う〜ん、そうだね〜」
「とりあえず俺は人間だ、それは事実だ。証拠という証拠は出せないが……」
「…………」
しばらく巫女との睨み合いが続く。そして……
「はぁ……わかったわよ、とりあえずはあんたを信じてみるわ。その代わり……嘘だったら分かってるわよね??」
ゴゴゴゴゴと、巫女の後ろから殺気が溢れ出る。正直死にたいので今殺されてもいいが、せっかくならこの世界の全貌を見てみたい、という気持ちがある。
「あぁ、分かってる。その時は容赦なく俺を殺してくれ、それと……ルーミア」
俺はルーミアの方を振り返り、こう告げる。
「ありがとな、ルーミア」
よしよし……と、頭を撫でる。
「えへへ〜」
嬉しそうに微笑むルーミア。本当に癒しだな……この子は。
その後ばいばーいと手を振り、神社の方向へと歩むのであった……。




