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ただの領主が神様に勇者認定された件~植物研究のためだけに世界を守る~  作者: 雲英侑李


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第8話 ただの領主が冒険者として再び活動し始めた件

1か月後、国王からの連絡はなく、俺の覚醒に関しては何も進まないまま面会の日を迎えた。この1か月で2人で実践レベルの戦闘を可能にした。多少強いモンスター、レッサードラゴンくらいなら余裕で倒せるレベルだろう。スキルに頼った戦い方ではあるし、俺の身体能力が向上しようとできることが大幅に増えるわけでもなかったから結局は発想力が問われることになってきている。

基本は様々な植物の複合によって生み出した最強のツタ、進化蔦(しんかつた)と名付けたツタで戦う。このツタは強度としなり、棘を顕現させたときの鋭さ、どれをとっても植物界最高峰のものになっている。それが俺の意のままに操れる。

ある時はツタを編んで足場を作りそれで空中を自由自在に移動し、ある時は、相手の足元をツタで固め行動の自由を奪い、ある時はツタそのものが相手を貫く槍となる。

そんな感じでツタの力でそれなりのモンスターであろうと倒すことが出来るレベルになった。1か月間でここまで戦略の幅が広がり、肉体的にも少しずつではあるが動けるようになってきている。防御面でしか鍛えていなかったから機動力が低かったが、そこもカバーできてきている。



コンコン


そんなことを考えていたらもう来たのか。思ってたよりも早い時間に来たな。ヒナツもお昼ご飯を買いに行っていていないタイミングだが仕方ないか。


「どうぞ。」


「失礼いたします。」




席につかせ、さっそく本題に入る。


「で、月に一度の訪問ということだが、何かあるのか?俺たちからは聞きたいことなどないが・・・」


「こちらからいくつかご報告とお聞きしておきたいことがございましたので本日はわたくしに聞くことがないということであれば、それだけお聞かせいただいたら失礼しようと思います。」


「聞きたいこと?」


「はい。まずはご報告のほうから。指定されていたモンスターなのですがどうにかあと2週間ほどで用意が整いそうです。亜空間に集めているのでそちらで覚醒をしていただくことになります。」


「分かった。で、聞きたいこととは?」


「はい。具体的にどのような条件で覚醒するのかをお聞きしたく。」


「それは俺にも分からん。だが、一定範囲内にいて、3分以内に倒すくらいのことしかわかっていない。一定範囲がどれくらいかもわかっていないしな。」


「アラン様はどのくらいだと睨んでいらっしゃいますか?」


「前回の発芽を考えると少なくともコロッセオくらいのサイズは問題ないはずだ。だが、それ以上は正直分からない。俺をモンスターの群れに突っ込んで魔法で全滅させてもらったっていいぞ。」


「場合によってはその提案も考えさせていただきますね。ところで今日はヒナツ様は?」


「買い出しに行っているからそろそろ戻ると思うが?」


「そうでございましたか。」


「なにかあるのか?」


「いえ。ですが、お仲間を突然亡くしてしまってお二人とも精神的に大丈夫かと勝手に心配をしておりまして。これは国王様の名代としてではなく私個人の考えですが・・・」


「大丈夫だ。ヒナツも俺も前に進めてるさ。でなきゃ仲間たちに怒られちまうからな。」


「そうですか。そうでしたら安心しました。それではまた今度は覚醒のご用意ができたタイミングで訪問させていただきます。」


「あぁ。」


そう言い残してモスは去っていった。国王は気に入らんが彼は本気で心配してくれているのを感じた。腐っても元貴族だ。その程度の人を見る目くらいは持ち合わせている。


「ただいま。モスさん来てたの?」


「あぁ。入れ違いだったな。」


「だね。お昼どうぞ。」


ヒナツが買ってきてくれたお弁当を食べながらいつものように会話に花が咲く。まるでみんながいるかのようなそんな空気感がいつも食事の時だけでも流れてくれる。そんなこの家が俺は好きだ。




翌日、俺は久々のクエストに出るため、冒険者ギルドに来ていた。ここでクエストの受注をする必要があるのだが、俺とヒナツは新たにパーティー申請をする必要があるだろう。

通常パーティーのレベルに応じて割り当てられるクエストが変わるのだが、仲間が戦死するなどして2人以上人数に変動があった場合新たなパーティーとして登録するか以前のパーティーとして更新をしなければならない。ただ、2人以下になった場合は更新はできないから新規の登録が必要なのだろう。


「お久しぶりです。アランさん、ヒナツさん。」


「あぁ。新規のパーティー登録をお願いできるか?」


「もう活動を再開されるのですか?お仲間を亡くしてまだ1か月しかたたないというのに。」


「あんまりグズグズしてるとあいつらに怒られちまうよ。だから頼む。」


「分かりました。パーティーメンバーの確認をしますので、こちらに記入をお願いします。」



「アランさんとヒナツさんお二人での登録ですね。2名ですので以前のパーティーからの更新ということはできません。新たなパーティー名を決めていただき、ランクは最低ランクのEランクからのスタートとなります。」


もともと俺たちは最上位のSランクパーティーだ。

Eランクまで下がると受けられる依頼もかなり減ってしまうが仕方ないか。


「ちょっと待ってくれ。」


「ギルドマスター?以下がしましたか?」


「アラン君たちが復帰するとは本当か!?」


「はい。ご本人たちから復帰されると申請がありましたので。」


「ランクをAにするからたまってる依頼を消化してはくれないだろうか?高難易度の依頼に限って君たちがいなくなってから異常な数たまっているのだよ。」


「いいのか?ほかの冒険者からの反発を買いそうだが。」


「いいのだよ!それに君たちの実力は彼らもよくわかってるだろう。」


「それならありがたく受けさせてもらおう。」


「助かる!とりあえず急ぎで行ってほしい依頼があるのだがいいかね?」


「あぁ。登録の手続きは任せてもいいか?パーティー名もそっちで勝手に考えてくれ。」


「分かった。それでは依頼の説明だが、町を出て西の森でエンシェントスパイダーが縄張りを作り、中に入ったものを駆逐しているという報告が入った。縄張り内にに入らなければいい話なのだが、いかんせんその範囲が広くてな。君たちに討伐を任せたい。」


「分かった。すぐにでも行って来よう。」


「助かる。報酬は上乗せして渡させてもらうからしっかり頼むよ。」


「あぁ。任せろ。」


俺とヒナツの冒険者として2度目の人生が始まる。

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