第56話 ただの領主が世界各国とのつながりを確保した件
「遅かったじゃん。何かあったか心配してたんだから。」
「すまん。魔導国の女王から直々に依頼を受けてな。会食ついでにそのすり合わせをしてきた。」
「ってことはお出かけ?」
「アラも起きてたのか。まぁ、そうだな。4日後に魔導国マジクルスに調査と魔王がいれば討伐に向かう。少なくとも悪魔系統ではないからディアブロではないだろうな。」
「誰がいるんだろ。」
「現状確認された魔物で最上位のものとなるとオーガロードだそうだ。ガメテを倒した後だったらしいからおそらく魔王の息はかかってるだろうな。俺とブレクルス王以外で魔王たちからして戦力的に一番厄介なのはマジクルスなはずだ。標的にされる理由も十分にある。」
「そのマジクルスってどんな国なの?」
「アラは知らないよな。俺も魔法技術に長けてるってことくらいしか知らないが、ヒナツはどうだ?」
「私はよく知ってるよ。私が神聖魔法を学んだのもマジクルスだから。」
「そうだったのか。どんな場所なんだ?」
「なんていえばいいかな。ほかの国に比べて発展してるって感じ。魔法の応用でいろんなことを便利にしてるから最低限の魔力を持つ人ならすごく住みやすいと思うよ。ただ、魔力が極端に少ない人とかはお仕事も少ないし、生活も不便かな。」
「なんでだ?」
「家の中のいろんなものが基本的に魔力で簡単に使えるようにされてるの。だから魔力があれば楽ができるんだけど、魔力がない人はすっごく不便ってわけ。アランにはあんまり関係ない話かもだけど。」
「そうでもないかもしれないぞ。」
「ご主人は魔力が無限にあるから悪い人たちが悪用したがりそう。」
「確かに。そんなことまで考えてなかったよ。」
「まぁ、女王からの招待なうえ向こうも状況は良くない。そんなことにはならないだろ。それにブレクルス王の力は同盟国な以上国民たちも知っているはずだ。それを倒したって話も聞いてるだろうし、俺にちょっかい欠けてくるようなバカもそうそういないはずだ。いたとして買えりうちにするだけだから安心しとけ。」
「それもそうだね。私、そろそろ眠いから寝るよ。」
「ボクも。」
「俺も疲れた。2人ともおやすみ。」
「「おやすみー」」
ハモった2人が出ていき、俺は簡単に湯浴みを済ませ眠りについた。
翌朝、ブレクルスを呼びつけた。
「どうかしたのか?」
「昨日の会談について話しておこうと思ってな。」
「急ぎの話があるのか?」
「まぁ、そうだ。まずこれを見てくれ。」
次元門を開いて見せる。
「それは何だ?」
「俺が植物で作り出したい空間に通じる門だ。次元門という名で各国の城に設置して回る予定だ。エルミーアとマジクルスにはすでに魔力を流すだけで設置できるものを渡してある。」
「何ができるのだ?」
「この中に文を入れれば俺だけはそれを取り出せる。」
「なるほどな。魔王の情報集めというわけか。」
「そういうことだ。これまでの同盟関係の維持に加え、魔王に関する情報提供と魔王や強力なモンスターの対処を引き受ける条項を加えた。」
「エルミーアとの関係が崩れていないようで一安心ではあるな。」
「まぁ、そうだな。で、さっそくマジクルスからの依頼だ。魔王ガメテ討伐後、オーガロードが確認されたらしい。そのほかにも各地に強力なモンスターが出現しているから調査してくれとのことだ。」
「要は、その間国を任せたいという話であるな?」
「そういうことだ。話が速くて助かる。」
「元は俺の国だ。任せておけ。いつ出立するのだ?」
「3日後の予定だ。向こうから次元門で世界樹を生やせるポイントを教えてもらう予定だ。」
「実験もかねてというわけか。」
「そうだ。報酬はマジクルスと交流のある国とつなげるよう頼んだ。クルスも俺が不在の間に各国にコンタクトを取っておいてくれないか?」
「いいだろう。」
エルミーア、ブレクルス、マジクルスの3か国は世界の中央に位置している。エルミーアが世界で最も中央にあり、ブレクルスとマジクルスはそれぞれエルミーアとの国境付近に山岳地帯が通っており、それは世界の端まで通じているため、その山岳を超えた交流は少ない。
エルミーアの東に位置するブレクルスと交流のある東国諸国、西に位置するマジクルスと交流のある西国諸国それぞれが東と西で軍事的に強大な力を持つ以上たいていの国とは交流がある。これで大抵の国とのつながりは確保出来たも同然だろう。




