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ただの領主が神様に勇者認定された件~植物研究のためだけに世界を守る~  作者: 雲英侑李


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第53話 ただの領主が国王になった件

戦いの翌日、戴冠式が執り行われ、2週間が経過した。

俺は国王にブレクルス元国王が俺の補佐として就任した。アラは俺の従魔、そしてヒナツは・・・


「アランは本当に良かったの?」


「あぁ。それよりもヒナツは良かったのか?俺なんかで。」


「もちろんだよ。アランは鈍感だから気づいてなかったのかもだけど、私ずっとアランのことす、好きだったんだから。」


「好意を抱いてくれてるなってのは知ってたさ。ただ、恋愛的なものだとは思ってなかったが。」


ヒナツを王妃として公表した。国王に即位するに際してヒナツの立ち位置を悩んだ末、提案したら逆にプロポーズを受け、正式に籍を入れることにした。


「いちゃつくのはその辺にしておけ。自室とはいえいつ臣下が入ってくるか分からんのだぞ?」


「分かってるって。それよりも魔王の動向はつかめてるか?ブレクルス。」


呼び捨てはなんだか変な感じがするな。戴冠式の後、魔王の動向を探らせるよう指揮を執ってもらっていたから話すのは戴冠式以来だ。


「これといった情報はない。あと、ほかの臣下の前ではそれでもいいが、ほかの者が聞いていない場所ではもっと気楽に読んでくれていい。」


「分かったよ。クルス。」


フルネームでは敬称に聞こえてしまうのも仕方ないよな。国名にもなっているくらいだしな。

一応、この国は王の名前を国名にするというしきたりがあるが、のちにブレクルスが王として戻るということもあり、国名は変わっていない。


「ところで、もうじき出立ではないのか?」


「あぁ。明日朝に出立する。」


明日、俺が即位したということでエルミーア王国と魔導マジクルス王国との同盟会談が行われる。本来よくはないのだが状況を鑑みて世界樹での転移で移動することになった。


「あの王と仲が悪かったようだが問題なさそうか?」


「どうだろうな。外交問題にならないように気を付けはするさ。心配ならついてくるか?」


「いや、アランに護衛をつけるほうが相手に警戒されるだろう。」


「それもそうだな。まぁ、せいぜい心配しておいてくれ。明日中には戻る。」


「本来は一国の王がこのように移動するのは好ましくないのだがな。」


「一時的に王の任を任されただけだし、いつ魔王が現れるかもわからない状態だ。こうするのが最適だという判断さ。相手も納得してくれるだろ?」


「まぁ、理解はされるだろうな。ミラン女王陛下もおられる。問題ないであろう。」


「ミラン女王陛下には俺とドルマニス王の不仲は見せてしまってもいいものなのか?」


「同盟に問題が生じないと判断する程度であれば構わぬ。はっきり申しておくとミラン女王陛下はドルマニス王のことを好ましくは思っていないようであるのでな。普段から3国会談の後エルミーアのレストランを貸し切って俺たちのみで会談をしていた。誘われたら断るでないぞ?」


「もちろんだ。ミラン女王のことは信頼ができる。」


「それならよい。それでは俺は軍の指揮に戻る。何かあれば呼びつけるがいい。」


「あぁ。遠慮なく呼ばせてもらうとするよ。」


会話を終え、クルスが部屋から出ていく。それと入れ替わりでメイドが1人入ってきた。


「アラン国王陛下。明日のお召し物をこちらにご用意いたしました。至急の仕立てで申し訳ないのですが、こちらの2つから選んでいただき、採寸をさせていただいてもよろしいでしょうか?採寸の後、調整をしてお召し物を改めてお持ちさせていただきます。」


「あぁ。ササっとやっちゃってくれ。」


「かしこまりました。」


それから採寸が行われ、夕食後には衣服が自室に届けられていた。万が一城にスパイが存在した際に備え、ヒナツは俺と隣の部屋、アラはあえて少し離れヒナツの退魔結界を俺の植物で学習させ睡眠中のみ起動している。スキルの進化でその辺のことは比較的自在にできるようになった。


そして翌日・・・


「アラン、気を付けてね。」


「あぁ。今日の夜には戻る。それじゃ行ってくる。」


ということで出立した。ローブを羽織り、正面から顔が判別できないようにする。衣服は世界樹を応用し、神蔦の中に異空間を作成し、そこにキレイに格納している。王城についてから着替える算段だ。


「怪しい奴、何者だ!」


王城前で案の定止められる。だが、クルスから紹介状は受け取っている。できるだけ小声で


「英雄国ブレクルスの王アランだ。先代の王からの紹介状だ。」


衛兵が紹介状を確認し、顔を青ざめる。しかし人の目もあり、空気は読めるようで小声で、


「失礼いたしました。すぐにご案内いたします。」


一度城に入り、フードを外す。衛兵に案内されつつ、衛兵と軽く会話を交わした。


「先ほどは申し訳ございませんでした。」


「いや、こっちも怪しい格好だったのは否定できないからな。あんた案内役だろ?事前に連絡もできなかったうえ、護衛もいなくて済まないな。護衛をつけるわけにもいかない事情があってな。すまない。」


「いえ、謝らないでください、アラン王。それでは改めて、本日の予定をお話しさせていただきます。この後1時間後にミラン女王陛下のご用意が整うとのことでしたので、1時間後より会談を開始予定でございます。」


「分かった。」


「ドルマニス王よりの言伝が待機室に置かれているとのことですのでそちらにも目を通して会談にご出席ください。」


「助かる。それでは時刻になれば迎えに来てくれるのか?」


「はい。わたくしめがご案内させていただきます。それまでお待ちください。」


「あぁ。」


ということで衛兵と別れ、部屋に入り、いったん着替えを済ませた。随分と派手だが戦闘もできそうだな。鎧がベースになっている。前回の会談のブレクルス王もこんな感じだったな。

あとは、伝言だったか?


『英雄国ブレクルス 新国王アラン殿、この度はご就任、お慶び申し上げます。この度は会談へのご出席誠に感謝いたします。どうか良き時間をお過ごしください。

エルミーア王国 国王ドルマニス』


随分と淡白な文章だな?俺だということは知っているだろうに。

もはや深くかかわりたくないんだろうな。それか、関係値がこれでリセットされるとでも思ってるのか?いや、おそらく外交問題くらいは気にすると踏んでいるのか。

間違いではないが、正解とも言えないな。


「アラン王、お時間です。」


「あぁ。案内は頼む。」


「はい。それではこちらへ。」


案内役の近衛に案内され、会談の間の前へとたどり着いた。

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