第51話 ただの領主が悪魔階第1位と戦い始めた件
体の組成が人間の細胞から神蔦、すなわち植物の細胞に変わり、そのうえ常に植物細胞を活性化させることで再生し続けることが出来る。それが何を意味するのか・・・
「そんな無茶苦茶な動き、体が崩壊するわよ!」
「心配してくれるのか?だが、心配には及ばない。今の俺の体は植物の細胞で構成されている。それを活性化させ続け、再生し続けている以上俺の体が崩れ去ることはない!」
今この体は俺の意思では動いていない。いや、厳密には過去の俺の意思で動いている。
この技の仕組みは寄生元が意識を保つ場合はその意識の脳内情報から動きを再現、意識を持たない場合は神蔦に合成した植物モンスターの中でも最も知能が高い長寿樹人の知能がその体を制御する。つまり、数瞬前の俺の脳内で想像した動きをどのようなものでも、強引に再現できるということだ。
「魔族の魔力を使った再生とは違うプロセスみたいね。ますます欲しくなっちゃうじゃない!極大魔術 白新星 極大魔術 黒新星 混成極大魔術 超新星爆発」」
これは直撃したらまずそうだな。純粋な爆発だがヒナツの結界は越えれないから範囲が限られてはいるが、ブレクルス一国が一撃で消し飛ぶ威力だな。
すなわち、この結界内に逃げ場はない。ならばどうするか。
「勇者の割に汚いことするのね。」
「俺は勇者になりたくてなったわけじゃない。なるべくしてなっただけだ。」
「やっぱりあなたとっても素敵ね。」
「お前みたいなのにモテたくねぇよ。」
結界外に逃げ出す。これが最適解だ。ヒナツの張った結界は2種。展開後、自身が干渉できなくなり、展開時に残存魔力すべてを消費する代わりに結界内と結界外の生物以外のあらゆる物質を遮断する結界。そしてもう1つは対魔物用の結界。結界に閉じ込めた魔族や魔物を外に出られなくする結界だ。魔力が前払いなため、時間は限られている。
再び結界内に戻り臨戦態勢に入る。ロアンの魔力は残り6割ってところか。あの大技で2割くらいは使ってくれたがこれ以上は大技が無意味だとわかっているだろうし、撃ってくれることはないだろう。
「こうなったら直接叩かせてもらうわね。」
姿を変え始める。高速で移動できるアラのアドバンテージを捨ててまでどうするつもりだ?
姿の変わったロアンは元の悪魔の姿だ。その姿のほうが肉弾戦が強いのか?
「あれ?なんで?」
そうじゃないようだな。変身に失敗したのか。つまり変身には条件があるな。確かに能力をコピーできるのならサタンの能力をコピーできるってことになるしサタンよりこいつのほうが強いことになるはずだ。それができないということは・・・
「お前、格上相手に変身能力使えねぇんだろ。」
アラに使用できたが今回は失敗した。つまりこいつが変身しようとした先は・・・
「そんなことはずよ。これまで返信できなかったのなんて魔王様方だけですもの。」
「アラに変身できるということは一部の魔王には変身できるんだろ?そして今回変身に失敗した。すなわち、お前、俺かブレクルス王あたりに変身するつもりだったろ?そして格上相手が不可能という話ならお前はもう俺に勝てない。」
「さすが勇者というべきね。正解よ。私はブレクルスに姿を変えようとした。」
「お前は知らないようだが、俺はブレクルス王に決闘で勝利している。そもそも今日この場が設けられていること自体それが理由だ。」
「人の話を聞かない子ね。私が変身できないのは格上ってわけじゃないのよ。私と互角に戦える存在程度なら変身できないわ。」
「その互角は本気のお前とではないな?」
「その通り、よくわかってるじゃないの。私と遊べる存在といったほうがいいかしらね。」




