第44話 ただの領主の敵が魔王だと思っていたら悪魔階3位だった件
「彼岸籠・縮!」
俺の詠唱に合わせて彼岸籠が縮小していく。彼岸籠の強度は神蔦と同等。そうそう破壊できるものでもなく、神蔦剣以外のものはどんどん壁に圧殺されていく。神蔦剣は壁に触れた瞬間に吸収される。
ヒナツの結界もあるのか壊されるようなこともなく、あっという間に人が1人入るかどうかくらいの大きさになった。
バキ・・・バキバキバキ
彼岸籠にヒビが入る。さすがに死んでるわけもないか。
「クハハハハハハ、よくも我が軍勢を葬ってくれたな勇者よ!」
「ディアブロじゃ・・・無い!」
ドゴォ
彼岸籠が破られた。中からはほぼ人と見た目の変わらない悪魔が出てきた。ディアブロじゃないだと?俺ですらかなりの圧と魔力を感じるぞ?
「ディアブロ様?あぁ、そういえば落ちこぼれ魔王を従えているのだったな。勇者よ、我が名はネビロス。ディアブロ様の忠実なるしもべにして悪魔階第3位に位置するデーモンロードである。」
悪魔階3位⁉仮にディアブロが1位だとしてもすべての悪魔の中で3番目に力と権力を持っているということになる。そんな化け物まで従えるのか。悪魔階の序列は絶対だと聞いたことはあるが、歴史上でもせいぜい二桁までしか聞いたことがない。魔王だと思っていたが、まさかその下位でも最上位にあたるとはな。
「こっちは魔王と戦う気で来ているんだ。さっさと片をつけてやる。」
「貴様ごときにできるものか。どうやら魔力自体は多いようだが我には遠く及ばない。それにそこの聖職者は結界の維持で手がいっぱいなのだろう?」
「その結界がお前にとって面倒なものであるのも事実だろ?」
「否定はしないでおこうか。悪魔にとって魔力量の差がどのようなものか教えてやろう!地獄」
!?
足元が溶岩に変わった!
「防護結界!」
ヒナツが神の領域を解除し、俺とアラを守る結界を展開する。まさかあの結界内で魔法を使えるとは。大抵の悪の存在はあの結界内では自身のものでも魔力に干渉すらできないはずだ。それができるということはそれだけ結界への抵抗力が高いということだ。だが・・・
足元がもとに戻ってすぐ、俺は足元の雑草を5つ口へと運ぶ。
「雑草を貪るなど、気でも狂ったか?」
「そう見えるだろうな。神聖結界 神の領域」
念のため解析草5つに解析させていたヒナツのスキルだ。この結界の維持には大量の魔力が必要だ。さっきまでは神蔦を伝ってヒナツに俺の魔力を供給していた。それでこの悪魔には俺の魔力が少なく見えたわけだ。
「あの娘の魔力量が多いわけではなかったようであるな。」
「今更気が付いたか?」
「なるほど。その植物を伝って魔力を供給していた、と。それに先ほどの雑草。おおかた、スキルを解析する力があるといったところか。厄介なことをしてくれるものだな。勇者というものは。だが・・・」
「だが、なんだ?」
「貴様の魔力も有限であろう。その結界が維持できなくなるまで戦線を維持すればいい。」
「悪魔階3位と聞いて楽しめるかと思ってたがそうでもないみたいだな。」
「?」
「これだけの魔力消費の結界。さっきからすべて俺の魔力で補っていたとしたらおかしいと思わないか?人間の魔力量のそれじゃない。そもそもこの結界は1分維持するだけで貴様の総魔力量を消費する。本来は1瞬だけ結界を展開し、その力で大量のアンデッドや悪魔といった悪の存在を浄化するものだ。強敵の足止めに使うものではない。」
「それが何だと・・・」
「ここまで言って分からないか。俺は魔力が無限に湧き出る体質なんだよ。だからお前はこの結界の中で戦うしかないってわけだ。」
その刹那、ネビロスが逃走した。が、
キィィィィィン
「言い忘れていたが、一度中に入ると善なる存在以外は出ることが出来ないんだよ。お前は俺を殺すか、お前が死ぬ以外の方法でここから出る方法はないってわけだ。」
「だが、悪魔には残存という力がある。その力があれば世界の好きな場所に復活ができる。貴様の結界は徒労に終わるであろう。」
「おいおい、神の名を持つ結界がその程度をケアできないとでも思うのか?」
「何?」
「この結界には強い浄化の力と、悪の存在を閉じ込める力、そしてその存在の間量捜査を妨害する力、そしてもう1つ。そのものの種族的な力を封じる力だ。つまり残存による復活はできない。貴様の力であれば可能かもしれんが、復活するとしてもこの結界の中だろうな。」




