第41話 ただの領主と新たな魔王との戦いが決まった件
「どうだった?」
「ちょっとまずいかも。」
「アラにしてはずいぶんと疲れてるな。何があった?」
「まず、外に出てすぐなんだけど、遠くから魔物の大群が向かってきてて、明らかに指揮官がいるみたいだったよ。で、バレないよう潜伏しようとしたんだけど、探知能力が高い魔物がいたみたいでボクの居場所がバレちゃって全力で逃げてきたんだよ。」
「なるほど。魔物を指揮できるほどとなると・・・」
「魔王?」
「ボクもそう思うよ。」
「だよな。ちなみにどのくらいの大群だったんだ?」
「ぱっと見でわからないくらいには多かったよ。」
「少なくとも数百下手をすれば万を超えてもおかしくないな。」
「モンスターの系統が悪魔系統だったから多分魔王ディアブロだね。」
「ちょっと待て。ディアブロって言ったら数千年前に封印されたっていう伝説の悪魔だろ?なんでそんなもんが復活してんだよ。」
「本人が言うには封印自体が5000年だけ持続するのを条件にディアブロを封印できるような強力な封印だったんだって。それでちょうど今年で5000年だって言ってたよ。」
「魔王が大量に誕生したのに何か影響していそうだが、今は何も準備できていない。一旦退くぞ!」
即座に世界樹を消滅させ、王都近くまで戻ってきた。アラの報告通りならコリスの町まですぐに到達するなんてことはないはずだ。俺も植物の感覚共有を使ったがおそらく3日後、コリスの町は襲撃されるだろう。なんとしてでも防がなければな。群を動かすとか言い出すかもしれないし、念のため、王とブレクルス王にも報告しとくか。今日は忙しいな。
「アラ、ヒナツ、モスさんに今日のことを伝えておいてくれ。俺の植物との感覚共有からの予測ならコリスに到達するまでは3日間だ。」
「アランは?」
「俺はサノイとの戦いから数日で申し訳ないが、ブレクルス王に会いに行く。ブレクルス王が戦えずともディアブロに対する対抗手段くらいは見つかるかもしれないからな。」
ブレクルス王も人間の身でありながら長く生きている。俺らと比べたら博識だろう。
「アラン様、いかがいたしましたか?お帰りは2週間ごと伺っておりましたが?」
「部屋を整えてくれているのだろう?大丈夫だ。部屋は使わない。それはそうとブレクルス王がどこにいるかわかるか?」
守衛が親切に案内してくれた。例の俺たちようの会議室といわれた部屋にいるようだ。
「ブレクルス王、アランでございます。入室してもよろしいでしょうか。」
「アラン?しばらく戻らぬのではなかったか?」
「はい。少々込み入った事情がございまして。」
「よい。入れ。」
守衛の手前、いつものように話すわけにもいかない。
ドアを閉めると一気に緊張感がほぐれる。
「いったいどうした?ただ事ではないといった様子だな?」
「どうもこうもない。直近で魔王と戦わなければいけなそうだ。」
「ほう?詳細を聞かせてくれるか?」
「あぁ。俺は国に戻ってドルマニス王と謁見した際に討伐依頼を王から受けた。強力なモンスターが多数コリス付近で目撃されているから討伐をして来いとのことだったんだが、いざ世界樹で移動し、アラが偵察をしたら悪魔の軍勢を発見した。」
「軍勢ともなると魔王の可能性が高いか。」
「あぁ。一目で把握できる数ではないそうだ。」
「そうか。そしてその軍勢がコリスに到達するまで時間がないといったところか。」
「そうだ。さすがにブレクルス王の力とは言わないが、知恵を貸してほしい。」
「知恵といわれても敵の詳細がないのであろう?」
「そういうわけでもない。アラ曰く、おそらく今回軍勢を率いる魔王は魔王ディアブロだろうとのことだ。」
「ディアブロだと!?数千年前に封印されたという伝説の!?」
「そうらしい。5000年の封印から目覚めたと本人は言っていたらしいが真偽はわからない。仮に本当だった場合、世界を滅ぼす力をも持つ悪魔だ。」
「その通りだ。俺ですら封印の地に近づくだけで吐き気を催すほどの悪意に包まれた。あんな化け物を相手にするつもりか?」
「元領主として元とはいえ領民を見捨てるわけにはいかないだろ?それにコリスは商業都市だ。あの町が消えてしまえば外交にも大きな影響が出てしまう。」
「それはその通りだが、あのディアブロだぞ?」
「だから知恵を借りに来たんだ。」
「そうか。だが、俺もディアブロに関してはほとんど知らない。わが国の国立図書館にはその手の書籍があるかもしれぬが数日時間をくれ。城のもの総出で調べさせる。」
「猶予は2日だ。軍勢は3日後のおそらく夜に襲撃を始めるだろう。」
「満月の夜。悪魔の力が最も強まる日か。」
「確かにそうだな。でもやるしかないんだ。」
「もちろんだ。協力しよう。それが次期王の望みとあらば。」
「やめてくれよ、今はまだあんたが王だろ?」
意外と冗談が好きでノリが軽い英雄王と2日後に会う約束だけ取り付けて分かれ、俺はエルミーアへと帰還した。




