第37話 ただの領主が魔王との戦いを振り返った件
目が覚めると知らない天井が目に飛び込んできた。
「お目覚めになりましたか?」
「あぁ。あんたは?」
「ブレクルス様に仕える治療師のサレアと申します。」
「そうか。ことの経緯を聞けるか?」
「はい。2日前、魔王サノイを討伐されたアラン様がヒナツ様に連れられ王都に戻られました。」
「2日?俺そんなに眠ってたのか?」
「はい。魔力が完全に枯渇してしまったことで魔力の回復効率も落ちてしまっていたようで回復にかなりの時間がかかっていました。」
「そうか。」
俺が立ち上がると・・・
「まだ本調子とはいかないので日常生活に関しては問題ないですが、できるだけ安静にしていてくださいね。」
「あぁ。わかった。」
部屋に戻る途中、ブレクルス王へ伝達が行っていたのか例の部屋に呼び出された。ヒナツとアラも来ている。
「ご主人!」
「アラン!大丈夫なの?」
「できるだけ安静にしとけとは言われたけど大丈夫だ。」
「無事で安心したぞ。」
「あぁ。それにしてもブレクルス王もあんな大技使ってよくピンピンしてるな。」
「あの程度で数時間動けなくなったのだ。俺もまだまだだ。」
「あの程度って・・・まぁ、いいか。それで、なんで呼び出したんだ?」
「これといった理由があるわけではないが、しいて言うのなら魔王との戦いに興味があってな。」
「何が気になる?」
「まずは俺の剣鬼の罪剣をどうやって耐えていたのかだ。」
「簡単な話だ。そもそも最初に俺たちが相手にしてた魔王が偽物だったってだけだ。」
「あれほど精巧な分身を作れると?」
「あぁ。それだけじゃない魔族ならではの魔力による肉体の再生もかなりの精度だった。本体自体の戦闘能力は世界樹の中で戦ったものよりも低かったが、再生能力まで含めた総合能力ではさすがに本体のほうが強かったな。」
「なるほど。では本題に入ろうどうやってそんな化け物を倒した?」
「どうやったと思う?英雄王の意見を聞いてみたい。」
「真剣流とアラの使う英雄剣術による戦闘の組み立てが基本になるだろうが、最終的な決着をつけるのはやはりアランのスキルだろう。」
「そうだな。まずは俺とアラで剣術による猛攻、だが再生能力と召喚されるモンスターの妨害で攻撃が通らなかった。そこでアラが英雄剣術を英雄双剣術へと双剣で使うことに最適化し、アラの剣術を中心に攻勢に出た。」
「それは気になるな。アラの才能は認めるが英雄剣術を完全に自分のものにできるとは。」
「それは本人に聞いてやってくれ。それで、究極の樹人も使い一気に攻撃を仕掛けようとするが、向こうの奥義的なもので封殺、神盾でこれを防ぎ、俺が新たに生み出した植手流によるサポートでアラの剣鬼の罪剣が命中した。」
「ここまでの話ではアランが魔力切れにならないということは効いていなかったのか。」
「いや、ダメージはあった。むしろ致命傷だ。だが魔族の再生には魔力をすべて消費することで致命傷であろうとなんであろうと再生するものがあるだろ?」
「なるほど。それで再生された、と。」
「あぁ。アラは世界樹の中に避難させ、俺と一騎打ちが始まった。といってもすぐに終わる。植手流での攻撃を用意しつつ一気に間合いを詰める。植手流は俺のスキルの神蔦が攻撃をする以上、俺は自由に動ける。」
「真剣流も合わせて使える。」
「それも正解だが、今回はそれじゃない。これだ。」
「なんだその草は?」
「こいつは解析草。触れている相手が使ったスキルや剣術などの技能を学習することが出来る。そしてこいつを吸収すれば俺も一時的にだがそれを使うことが出来るようになる。」
「サノイの召喚術か?」
「いや、再生能力だ。俺の体からは無限に魔力が湧き続ける。接近後、俺とサノイを神蔦で囲い、外側を植手流で対処。中にはモンスターを召喚するようなスペースはない。その状態で中も植手流で刻み続けた。」
「魔力切れはそういうことか。無理に無限に湧く魔力を使い続けたというわけだな。」
「そういうことだ。まだ完全に戻ったわけではないから安静にしとけって言われたからしばらくいさせてもらうぞ。」
「あぁ。ゆっくりしていくがいい。」




