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ただの領主が神様に勇者認定された件~植物研究のためだけに世界を守る~  作者: 雲英侑李


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第36話 ただの領主と魔王討伐の余韻

「ごしゅじーーん!!!!」


世界樹を生やした途端アラが飛び出してきた。なんであんな大技を使っておいてまともに動けてるんだ?


「アラ、大丈夫だったか?」


「ボクは大丈夫。ちょっと体痛むけど、そのくらい。」


「やっぱ魔王ともなれば反動も小さいんだな。」


「ご主人は?大丈夫?」


「あぁ。元魔王はそこに転がってるよ。吸収しとけ。」


「いいの?」


「あぁ。俺は目を離しとく。」


「ねぇ、ご主人。」


「どうした?」


「あ、もう食べちゃったからこっち見ていいよ。」


「ならよかった。で、どうした?」


「サノイの体から人間の血の味がしたんだけど・・・」


「あぁ。俺の血だろうな。かなり出血したが・・・」


「大丈夫じゃないじゃん!あんなに血を流して人間が無事なわけないし・・・」


「そう慌てるな。サノイの再生能力を一時的に模倣して再生してあるから平気だ。魔力で血も肉も無理やり再生したからあとで多少の反動はあるかもしれないが、問題ない。」


「そう?それならいいんだけど・・・」


「アラン!」


ヒナツか。タイミングがいいな。


ガクッ


なんだ?なぜ俺は膝をついている?こんな感覚は初めてだ。いらない全く力が入らない。でも意識ははっきりしている。


「アラン!大丈夫!?」


「ご主人!」


「大丈夫だ。変な感覚だがな。」


ヒナツがすぐに容体を見てくれた。少しして不思議そうな顔をしながら口を開いた。


「魔力切れみたい。」


「俺がか?」


「うん。ほかに異常も見えないし、症状も一致してる。それに何よりいつもアランから感じる魔力を感じないもん。」


「そうか。すまないが、アラは先に行って王都の入り口にだれか呼んできてくれないか?そこまではツタでなんとか行けるが王都の中となるとそうもいかないだろ?」


「うん!行ってくる!」





「いったいどんな無茶をしたのよ。」


「魔王もろとも自分を切り刻んだ。」


「え?」


「だから、閉所に魔王と自分を閉じ込めて自分もろとも切り刻んだ。魔王の再生能力を植物の力でコピーして再生はしてたがな。」


バシッ


「痛っ!」


「どんだけ心配かければ気が済むのよ!」


「ごめんって。それ以外に手がなかったんだ。これからはもっと強くなって魔王くらい余裕で倒せるようになるから許してくれ。」


「もう。もっと私のことだって頼ってよね。私だって虎人族、戦えるんだから。」


「そうだな。ただ、どうしても神聖魔法が得意なヒナツは魔王と相性が悪いんだよな。数で押してくるから。」


「そうだけど、って言っても無駄だね。私もアランと一緒に強くならないとね。隣で戦えるくらいには。」


「そうか。そうだな。アラと俺たち3人で強くなろう。この世界を守るためにも。」


俺の中からこんな言葉が出てくるなんてな。ヒナツとアラのことはずっと大切にしてきたつもりだ。でも、この世界を守るのはあくまでも植物の研究のためだった。だが、今出た言葉は俺の心から出た本音だ。いつの間にか勇者としての自覚が芽生えたってことか?


「なんだか、アランらしくないね。」


「俺もそう思った。俺らしくないが、これも今俺の心から出た本音だ。」


「なんだか世界を救う勇者って感じだね。」


「だな。」


この世界に勇者という概念はなかったがそれでも勇者はそういうものだとなぜかわかる。それも勇者として成長しているってことなのか?


「ねぇ、アラン。」


「なんだ?」


「魔王との戦いが終わったらどうするの?」


「俺は植物の研究だな。」


「そっか。」


「ヒナツさえよければ一緒に住むか?」


「いいの?」


「あぁ。もともとそのつもりで倒した後の魔王の生活費の保証は国王にさせてある。まぁ、各国から魔王の監視をしろってヒナツも一緒に住むことになるだろうけどな。」


「それもそうだね。じゃあ、一緒にいたいな。」


「みんなが残してくれた家もあるしな。」


「だね。2人にはちょっと広かったもんね。」


レナ、レンゾ、チョスと5人で住んでいた家だ。5人にはちょっと手狭だが3人なら十分広々と仕えるだろう。あの3人のためにも絶対にヒナツだけでも守らないとな。


「王都が見えてきたよ。」


「アラが呼んできた人が運べなかったら担架を作るから運ぶの手伝ってやってくれ。アラもああ見えて剣鬼の罪剣を使ってる。反動は小さいみたいだが、体の疲労は残ってるはずだ。」


「もちろんだよ。」


「植物で担架を作るし俺が乗るから重いかもだが頼むな。」


その言葉を最後に数刻前から襲ってきていた強烈な眠気に俺は身を預けた。

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