第34話 ただの領主が魔王を追い詰めた件
流派として確立することでその精度を上げた植手流、菖蒲籠にとどまらず更なる技を繰り出す!この流派の型は異界から伝わったという植物に関する言葉から名前を取っている。その中でもとりわけ猛毒を持つという・・・
「植手流菫」
神蔦剣の性質を変化させ、一時的に強力な毒性を持たせ回避不可能な連撃を繰り出す。掠るだけでも猛毒が流れ込む。
なぜ常に毒を神蔦剣に巡らせていないのか。それは神蔦剣の性質にある。あくまでも神蔦で作ったものである以上俺の魔力が通っている。俺と神蔦の間で循環する魔力に乗って俺にも猛毒が流れ込んでくる。少量であればスキル使用者の恩恵として無効化できるが、技1回程度の時間しか不可能だ。神蔦の内部でしか発生できない毒性なせいで他の剣に付与するなんてこともできない。
「その程度!」
なんとか回避するサノイだがこれがどのような技かわかっていないようだ。
「掠れば十分だ!」
「ウッ!なんだ、これは・・・?」
「猛毒だ。成分はこの世界に存在していないトリカブトという植物のものだ。」
「架空のものですら呼び出せるというのか・・・」
「いや、俺が植物だと認めればどんなものであろうと呼び出せるし操れる。極論俺がお前を植物と認めればお前すらも支配下に置くことができる。」
「無法だな。だが、この程度の毒!」
あまり効いていないのか?いや、再生能力で無理やり無効化しやがったな。さっきのアラの一撃も完全に再生されてしまった。だが、魔力は消費しているはずだ。魔力切れになって再生できなくなるまで攻撃し続ければいいのか?いや、魔王の魔力は膨大だ。魔法を使えないアラですら老魔法使いの魔力量を優に超えている。それなら・・・
「アラ、あれをやれ。サポートは任せろ!」
「いいの?もし仕留めれなかったら・・・」
「問題ない。」
「何か企てているようだが無駄だ。我の魔力は未だ1割も減っていない。貴様らの攻撃では我の命には遠く届かぬと知れ。」
再生には魔力を消費しているみたいだが、魔物の召喚は別枠みたいだな。なら魔物で防げないほどの攻撃を叩き込み続ける!
「植手流彼岸花」
これも毒のある花の名前らしいがこの剣術はそれ以外の特徴を持っている。ヒガンバナは群生し、まるで絨毯のような景色すら作り出すそうだ。そんなこの剣術は・・・
「なんだ!?」
サノイの周囲を大量の神蔦とそれらが持つ神蔦剣が包囲する。魔物を召喚する隙間すら与えずに切り裂き続ける!分体の威力は大したことがない以上再生速度のほうが早いだろうがそれでも確実に魔力を消費し続けられる。
数分間の攻撃が終わり、サノイの姿が顕になる。
「よくもやってくれたな。」
サノイの標的はもはや俺だけだ。隠密性の植物型モンスターにサノイの近くまで護送させ隠密行動をとっているアラのことなんて気にも止めていない。
「喜んでくれたようで何よりだ。残り7割といったところか。」
「かなり削られたがまだ余裕はあるぞ?」
「その余裕が続けばいいな」
魔力による再生には2種類ある。植物か生物かだ。
魔力を持つ植物の場合、どれだけ損耗しようと一部分でも残っていれば魔力を継続的に消費して少しずつ再生していく。
生物の場合それをコントロールできる。さっきの連撃を受けていたサノイのように受けた分を再生し続けることもできれば、致命傷であろうと自身の残り魔力を全て消費して再生することもできる。まぁ、これは大量の魔力を持つものが残存魔力を代価として支払い回復しているに過ぎない。
そもそも魔力による再生自体魔族くらいしか使えない技術だ。この技術を習得している時点で魔力が少ないということがそもそもあり得ない。
だが、逆に言えば一度致命傷を与えれば魔力を枯渇させられる。
「貴様こそスキルの連続使用、そろそろ魔力の限界だろう?」
「残念ながら俺は体の中から無限に魔力が湧き出てくる。俺の魔力が尽きることはないさ。」
「ほう。確かめさせてもらうとしよう。・・・・・・・確かに本当のようだ。」
他者の魔力を覗き見れるのか。腐っても魔王だな。そのくらいの力は持つか。
「なぁ、俺にばかり構っていていいのか?」
「なに?確かにあの落ちこぼれがいないようだが、逃げ出したか。気配も感じない。我の情報を持ち替えられるのは厄介だが貴様を仕留められるのならそれで良いとしよう。」
逃げ出したと判断するか。油断も隙も無限にあるやつだな。
「英雄双剣術 剣鬼の罪剣!」




