第32話 ただの領主の従魔が新たな剣術を生み出した件
「「剣舞・殺戮連戦!」」
オーガロードレベルなら30体程度余裕で葬り去れるであろう真剣流奥義の2人同時発動。舞は相手がいることで効果を増し、威力も増強される。サノイに回避できるとは思えないが・・・
「なるほど。剣術を納めているのか。その辺の貴族だとは聞いていたが、最低限というところか。アラまで習得しているというのは予想外だったがな。」
強がっているわけではない。直撃の瞬間にモンスターを大量に召喚することによって直撃を避けているのだ。能力の使い方が上手いな。
「ボクがこれを使えるのがそんなに変?」
「あぁ。貴様のような最弱の魔王が一朝一夕で習得できるような剣術でもあるまい。」
「うちの従魔をえらく馬鹿にしてくれるじゃないか。」
「そんなのを従える飼い主も大概か。」
「アラ、魅せてやれ。」
「はーい。英雄剣術 兜割!」
サノイの脳天を直撃、したかのように思えた。だが、直前でモンスターの召喚が間に合ったようだ。頭上に召喚されたスケルトンの骨が砕けるが勢いを消した。
「その剣術、先ほどの英雄のものだな。先の剣術といいどうやって習得したのやら。」
「それがわからないうちはお前は武術に関して半人前だ。」
「なんだと?」
「教えてやろう。アラは体術の才能がある。先の真剣流にしろ今の英雄剣術にしろ一度見ただけで使用している。武術を体得している者なら一目でその才能がわかるのだがな。」
「まさか、そんな・・・」
「だが、英雄王が以上に強いのも事実だ。彼以上に使いこなすことはできない。だが・・・」
アラの武器は双剣だ。ブレクルス王の持つような両手剣とは違い、リーチも短く本数も違う。本数は2本を重ねて持つことで再現していたが、リーチの短さゆえ少し危険な間合いまで入っていく必要はある。だが、アラの才能なら・・・
「英雄双剣術 兜炎割」
兜割と炎を組み合わせ、それを双剣術として成立させた新たな剣術、英雄双剣術。やはり、アラの才能はとどまるところを知らないな。
「グハッ」
炎を纏うことでモンスターをクッションに威力減衰をしたとしてもその炎でモンスターへのダメージを増し、威力をある程度だが保持したままサノイに攻撃を通した!
「随分と痛そうだな。」
「この程度どうということはない。」
すましているが再生は終わっていない。このまま畳み掛ける!
「いでよ究極の樹人」
「ここに来てモンスターだよりとはな!呆れたぞ勇者!」
「モンスターに頼ってる魔王に言われたくねぇよ!それにこっちのは俺が作り出したものだからな!」
究極の樹人を最大数の5体召喚。こいつらを維持するために俺の体内に存在できる全魔力を消費するため、俺は魔力による身体強化や再生速度の強化を受けることができない。だが、その分のメリットは十分にある。
「この程度一撃で吹き飛ばしてくれる!魂の砲撃」
大量のモンスターを召喚したかと思えばその肉体が一瞬にして崩れ去っていく。それと同時にサノイに膨大なエネルギーが集まり・・・それがエネルギー弾として究極の樹人に発射!
「なんだと!」
驚きの声を上げたのは俺だ。本当に一撃で消し飛ばされた。おそらくは召喚したモンスターたちのエネルギーをエネルギー弾に変換し発射したのだろうが、あの程度の数のエネルギーなら耐えれるはずだ。なのに1体も残っていない。
「たとえアンデッドだとしても死というのはありとあらゆる力の代価となりうる、か。」
「よくわかったな、勇者よ。そうだ。大量のアンデッドたちの魂を代価に触れたものを消滅させるエネルギーを生み出すのだ。もっとも元になったモンスターの弱点になる属性を持つ相手にのみだがな。」
なるほど。究極の樹人は神聖属性を持っている。アンデッドの弱点になる神聖属性を持つ以上死を代価に反逆されたというところか。
「なるほどな。だが俺は勇者だ。そして特別魔法が使えるわけでもなく、俺が有利を取ることができるのは魔王のみ。魔王のみの弱点が勇者な以上俺には使えないのだろう?」
煽ってみるが正直まずい。アラは種族上属性を持ち過ぎているし、サノイが操れる魔物の種類は多い。おそらくだがアラに有効なものは作れるだろう。
アラの反応速度なら避けれるだろうが・・・・
「その通りだ。だが、その程度の研究を怠るほど、我は愚かではない。」
「まさか・・・」
勇者が弱点をつけるのは魔王だけなはずだ。俺の持つ特性や属性は勇者だけだ。俺に有効なものなど作れるはずが・・・
「二重身」




