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ただの領主が神様に勇者認定された件~植物研究のためだけに世界を守る~  作者: 雲英侑李


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第3話 ただの領主が弱すぎた件

訓練場での戦闘訓練を経て分かったことがある。

まず、貴族の剣術なんてものは実戦で使えるようなものではないこと、そして武術も同様。実戦で使用するレベルではないとのことだ。

そこでいろいろな武器を試したのだが・・・


「これは・・・」


普段から実戦で鍛えられているし、ある程度鍛錬を積んでいるとはいえ、手加減しているプリーストのヒナツにさえ一撃を入れることができなかった。というより身体能力で劣っている。


「こりゃまずは体作りからだな。」


レンゾはそう言ってくれるが俺に戦闘の才がないことくらいわかっている。


「それと同時に魔力を制御する訓練をしたほうがいいかも。今戦ってて感じたんだけど、アランの持つ魔力量は膨大だよ。ボクだって魔力量には自信があるけど、ボクなんか足下にも及ばないくらい・・・」


「私も感じました。武器を持ち訓練が始まった瞬間から膨大な魔力があふれだすのを感じました。制御ができておらず暴走している風に感じましたしそれが身体能力に影響を及ぼしている可能性もあります。逆に言えばそれを制御できるようにさえなれば魔法が使えずとも魔力循環の技術だけで身体能力を大幅に向上させることができます。」


「それができれば剣術は無理かもだけど、さっきの武術は達人並みになれると思う。」


「私もヒナツと同意見です。」


ヒナツにチョスがそういってくれるが、本当なのか?


「まぁ、身体能力が足りてないのも事実だから同時進行だね。でも前衛が足りてないからアランにはこれかな?」


これは巨大な盾?


「大楯だよ。基本的な扱い方と体捌きはレンゾが教えれるから。基本的には前衛で敵の攻撃を盾で受けてそれをレンゾとヒナツがサポート、後衛の私たちで仕留める感じかな?」


「それがいいだろうな。俺と同じ魔防の鎧のフルプレートを用意する必要はあるが・・・」


「さすがに国王様が出してくれるでしょ。フルプレートだから結構動きづらいし重いけど体を鍛えるためだと思って頑張ってね。」


「分かりました。いろいろとありがとうございます。」


「いいって。いずれは世界を救ってもらわなきゃいけないんだから。このくらいお安い御用だよ。」





ということでレナから国王に申請を出し、それが通ったらしく2日後にはフルプレートが届いた。それと同日、俺は彼らが拠点としている家に引っ越しをさせてもらった。といっても持って行ったものはなく、レンゾを中心に買いそろえておいてもらったのだが。


「これで大丈夫か?」


「十分すぎるくらいです。すみません。生まれてこの方貴族として育てられたもので常識もないので。」


「お安い御用さ。ほら、今日はアランの歓迎会だ。普段アランが口にしてるものからしたら粗末なものかもしれないが・・・」


「そんなことないですよ。普段の私は・・・っとこの話はせっかくならあとで皆さんとしましょうか。」


「そうだな。俺たちもアランのことをもっと知るべきだろうしな。」


自分のことを話すというのは貴族同士の駆け引きとしては0点だが、こういった背中を預けあう関係にとっては大切なことだろう。それに少なくともしばらくの間頼ることになる相手だしな。


「それじゃ、『黒狼(ブラックウルフ)』新メンバーの加入を記念して、乾杯!」


「「「「乾杯!」」」」


生まれてこの方こんな自由な感じでの飲食はなかったな。ここ最近はこんなちゃんとしたもの食べてなかったし。

貴族の間で出てくることはないだろうが、国民たちの中ではかなり豪華な食事なのが見て取れる。


「ごめんね。こんなものしか準備できなくて。」


「いえいえ。さっきレンゾさんとも話してたんですけど普段の私こんなちゃんとしたもの食べてなかったので。」


「そうなの?貴族って豪華なもの食べてそうなイメージあったんだけど・・・」


「基本はその認識で会ってますよ。私の兄弟たちはそういう生活をしていますし。ですが私は公務以外の時間は趣味に費やしたいので手軽に摂取できる栄養食的なものを口にすることが多かったのです。」


「趣味?アランがどんなことしてたのか気になる。」


「私も気になります。」


「まぁ、趣味に使える時間が今はあまりなかったので趣味といえるか怪しいですが、植物の研究をしていました。私の兄弟たちは皆領主になりたがらなかったのですが、将来的に研究に必要な予算、時間を確保するために私が領主となったのです。そのくらいには植物というものが昔から好きなのです。」


「そうなんだ。植物っていうと私たちがお世話になるのは薬草とかかな?」


「そうですね。あとは植物系のモンスターなんかについても知識はあります。実物を見たことはありませんが。」


「そっか。植物系モンスターも元をたどれば植物なんだ。」


「そうですね。」


「一つ気になったのですが、それではなぜ勇者となる責務を受けられたのですか?失礼ながらお話を聞く限り戦いに向かう要素がないように感じますが・・・」


「世界が終わったり、私が死んだりしたら研究ができなくなるからです。理由なんてそれだけです。」


さすがに引かれたか?


「ハハハハハハ!確かにそうだね。でもびっくりだよ!好きなもののためにそこまで命を懸けられるなんてwww」


植物や俺の心根を笑っているわけではないのはわかる。これまでであったことがない価値観に笑っているのだろう。


「おい、レナ、失礼だろ!」


「そういいつつも笑いそうになっていますよ、レンゾ。」


「仕方ないだろ!植物のために命を懸けるなんて、はっきり言ってぶっ飛んでるだろ。」


「そうだね。クスクス」


ヒナツまで。笑ってないのはチョスだけか。


「すみませんね。」


「いえ、私を馬鹿にしていたりそういうわけじゃないのはわかっていますし。私だって皆さんの立場なら我慢できませんから。」


こんな感じでいろいろと話しながら時間はあっという間に過ぎ眠りについたのは夜が更けたころだった。普段研究室でそのまま寝てることが多い俺からしたら寝床も十分すぎるし、食事も贅沢が過ぎる者だった。明日からはフルプレートを着用しての戦闘訓練とだけ聞かされているがいったい何をするのだろうか?

ただ1つ言えるのは仲間が親切でこんないい人たちばかりでよかった。すでにこれだけは確信している。

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