第29話 ただの領主が魔王戦の対策を講じた件
神様に力を授かったのち、俺は改めてブレクルス王の元を訪れた。
「その様子だと力を受け取ったようだな。」
「いや、食べないなら回収すると言ってリア様がもう一度来られたから、ブレクルス王と同じものをもらった。」
「あえて不老の道を選んだと言うのか!」
「あぁ。無限の寿命を得られればこいつらとずっと共にいられるからな。」
「そうか。確かにヒナツは虎人族だったな。それにアラは魔王、寿命なんてものはないか。」
「そうだね。殺されでもしない限りは死なないかな?」
「ってことだ。俺は不老になる方が頑張れるってだけだ。」
「なるほどな。まぁ、今はそのことはいい。先ほど緊急の報告が入った。魔王サノイが単独で王都に向かって進行中だそうだ。」
「そうか。」
成長限界の突破と言ってもすぐに強くなれるようなものではないはずだ。今の俺でサノイに対抗できるのか?
「サノイの相手は俺がする。アランは俺の邪魔をさせるな。」
「いいのか?」
「構わん。そもそもその方が勝機があるのだろう?」
確かに俺がサポートに回る方が勝機はある。だが、だからと言って任せていいものなのか?
「勇者が魔王を倒す必要はない。今後はそう言うわけにもいかないだろうが今回に限ってはそうだ。」
「わかった。出陣は?」
「1時間後だ。3人とも準備するのだ。」
「王都に被害が出る場所まで近づけるわけにはいかない、か。」
「そう言うことだ。最大限の装備を整え出撃の準備をするのだ。」
「俺は常に出撃できる状態にしている。2人とも準備してこい。」
「うん。」
「はーい。」
「なぜ残った?」
「いや、俺の作戦を話しておこうと思って。」
「確かに知っておくべきか。聞こう。」
「おそらくサノイは先の戦闘同様軍勢を用いた数の力で押してくるだろう。そこを突く。数の力というのはそれだけ情報が統制されない。俺のスキルでブレクルス王の身を隠し俺たち3人で軍勢を処理しサノイの意識を複数の方向に向ける。その間に身を隠したまま接近したブレクルス王とサノイを世界樹の改良版に閉じ込める。」
「世界樹の改良版?」
「あぁ。世界樹は樹とつくが厳密には植物を核とした結界だ。巨大な木に張り巡らされた結界は通常、意味を持たない。それを侵入するとスキル、能力が使用できない結界に書き換えた。」
「なるほどな。俺の剣術と何も持たない魔王サノイ。どちらに軍配が上がるかは見るまでもないな。」
「そういうことだ。身を隠すのにはどんな背景だろうと溶け込み気取らせない植物を作成した。それを全員に被り、音を立てないように移動すればバレずに接近できるだろう。」
「世界樹へはどうやって?」
「結界の効果で俺が2人以上の対象を指定し、それらが全員直接触れた瞬間に世界樹の中に飛ばされる。飛ばしてから15分後に世界樹を生やす。」
「わかった。それまでに決着をつければいいのだな?」
「あぁ。頼むぞ。」
「こっちこそ。作戦通りにことが運ぶことを祈っている。何か問題が起きた時の判断はお前に任せる。」
「あぁ。撤退の場合無理やり世界樹に引き込むから安心してくれ。」
「頼んだぞ。」




