第26話 ただの領主が最強のモンスターを生み出した件
「魔王サノイ、そう来たか・・・」
「どうする?俺が退くことは可能だろうが敵がそんな約束を守るとは思えない。」
「絶対守らないよ!サノイってそういうやつだもん!」
「アランよ、酷ではあるが我が国とサノイとの戦争においてサノイの首を取ってきてはくれぬか。」
「ブレクルス王が望むのなら。」
「すまぬな。国民には俺とアランとの決闘は延期と伝えておく。サノイ本体と戦うのはアランとアラの2人だ。俺とヒナツはそのサポートをする。」
「あぁ。問題は民間への被害だな」
「そうだな。どこから攻め込んでくるかわからない以上守りも足りない。」
「サノイは眷属の召喚をしていた。つまり軍を率いずともその場で軍を用意することが出来る。」
「事前に発見することは敵わない、か。」
「あぁ。どうする?」
「各貴族たちに伝令を送り兵を集めよう。王と周辺全域を兵たちで監視する。動きがあればすぐに情報を伝達できるよう手配しよう。」
「それしかないか。」
「確認したいことがあるのだが、サノイはどれだけの軍勢を召喚できる?」
「寂寥の丘全域をアンデッドが埋め尽くしていた。最低でも1万は倒したが無限に湧いているような感じだったからおそらく一度に召喚できる上限はあるだろうが、召喚できる数自体は無限だ。」
「厄介な・・・」
「あぁ。厄介極まりない。とにかくこちらの軍は軍勢の足止めを中心に。俺の眷属を数体配置しておく。眷属が死んだら同じものを同じ場所に召喚しよう。」
「頼んだ。その眷属とやらを見せてもらってもいいか?俺は先に貴族たちへ急ぎ兵を王都に集めるよう伝達する。それが終わり次第闘技場へ向かう。先に行っておけ。」
「分かった。」
王は足早に去っていった。まぁ、眷属を見たこともないわけだし一応警戒はするか。とはいっても今回のために帰りながら調整を重ねた究極の1体だ。世界に限られた数しか存在していないAランク冒険者パーティーでようやく倒せるかといったレベルだが強さゆえに一度に顕現させられる数に上限がある。
俺の魔力であれば5体が限界だ。その分知性を持ち、俺の命令をこなすための最適解を導き、自分で戦うことが出来る。人間との意思疎通も可能だ。
「待たせてすまない。」
闘技場で待っていた俺のもとにブレクルス王が来た。
「そう待ってないさ。それで?何を確認したい?」
「そのモンスターが善なるものか悪なるものか、だ。」
「それを言うなら両方としか答えられない。両方の属性を持っている。だが俺の命令に背くことはできないし、その命令には人間を傷つけないことも含まれる。」
「なるほどな。出してみろ。俺が見極めてやる。」
「分かった。いでよ、究極の樹人」
召喚されたのは人型のいたって普通の樹人だ。だがその中にはヤテベオの触手草を100個も摂取させたヤテベオ、神聖魔法を扱うことが出来る聖なる樹人、そして肉体強化目的での大量の植物型モンスターと一部普通の植物を合わせることにより、一度に体をすべて消滅、破壊しない限り一瞬で再生する最強の再生能力とアラに匹敵するほどの身体能力、神聖魔法の使用、最高速は音速をもゆうに超えるツタでの攻撃。と最強のモンスターだ。
「一見普通の樹人のようだが内に秘めたエネルギーが膨大だな。」
「それでは命令を下す。こいつが動き次第はじめということで。」
「いいぞ。来い!」
ブレクルス王が構えを取るのを確認し命令を下す。「目の前の人間を殺さずに無力化せよ。」と
究極の樹人のツタが動きブレクルス王を横から弾き倒そうとする!音速を超える速度に人間は反応できない!
キィィィィン
ツタを剣で受けた!だが、ツタも神蔦だから剣で切れるようなものではない!弾くだけで限界なはずだ。そもそも一般人が剣で受けようとしても剣のほうがあっさりと折れるはずだ。剣が折れていないだけでもブレクルス王の強さが伝わる。
「速い、そして重いな。」
神蔦へのダメージはすべて究極の樹人本体へと還元される。今のでも多少のダメージはあっただろう。だがそんなもの関係ないほどの再生能力を持っている。
「英雄剣術 兜割!」
出た!ブレクルス王を英雄王たらしめた所以、英雄剣術!この世界に存在する剣術でも最も使用者を選び、最も強いとされる剣術だ。脳天から一気に真っ二つにした!あの究極の樹人は相当な硬さなのにさすがだ。だが、その程度だと・・・
「なるほど。再生能力まで備えているのか。それも速い。」
究極の樹人には弱点が存在していない。炎ですら無効化とまではいかないが再生能力が追い付くレベルの耐性を持っている。そして何が厄介かというと万が一再生を阻害する要因があったとしても・・・
「ならばその再生を止めるまで!英雄剣術 炎!」
断面を燃やすことで再生を防いだ。それ自体は正しい。だが・・・
「ヒール、アンチファイア」
回復魔法と炎の状態異常を無効化する魔法だ。これで炎で受けているダメージを緩和しつつその炎に対して耐性を得た。配合によって低級に限られるが人間のそれよりかは効果の大きい神聖魔法を一通り使用できる。
「神聖魔法まで使えるのか!あれを使うしかないか。」
ブレクルス王の英雄剣術には奥義が存在していると聞いたことがある。使用後1時間は肉体を動かせないほどの激痛に見舞われる。ブレクルス王はそれを使ってなお通常通りの戦闘ができるという話も聞いたことがある。
「英雄剣術・奥義 剣鬼の罪剣」
・・・・・
何が起きた?次の瞬間には究極の樹人が跡形もなく消し飛んでいた。俺ですら目で追えなかった。アラも同じようだ。
「確かにいいモンスターだ。俺が本気を出さねば勝てぬほどの。これほどのモンスターには遭遇したことがない。」
本当にあの奥義を使って平然と立っている。
「あれは究極の樹人。ありとあらゆる植物モンスターと植物を掛け合わせたことで魔王アラに匹敵するほどの身体能力、一瞬で消滅させないと殺せない再生能力、低級に限られるが神聖魔法の使用、音速を超えるツタを備えた最強の植物型モンスターだ。」
「この世界で魔王を除くと最強のモンスターだな。」




