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ただの領主が神様に勇者認定された件~植物研究のためだけに世界を守る~  作者: 雲英侑李


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第17話 ただの領主が英雄王と個別会談することになった件

とりあえずヒナツとアラを奥の部屋にいさせて英雄王を迎えることにした。


「お待ちしておりました。ブレクルス様。」


「そうかしこまるな。俺自身冒険者の上がりだ。礼儀なんてものは気にしないし、そんなものを注意するような部下もいねぇよ。」


「そうですか。それでは楽にします。狭いですがどうぞ。」


「あぁ。失礼する。」


ブレクルス様が椅子に座って少しして俺がお茶を出し、話が始まった。


「いい茶葉だな。」


「貴族時代からの私の好みの茶です。仲間たちにも味わってもらいたくて常備しているものですが・・・」


「構わんよ。それで、そのお仲間は?」


「奥の部屋にいます。呼んできましょうか?」


「いや、先に必要な話を終わらせよう。俺は公的な場では控えるようにしているが、強者を見ると興味が湧いて話が止まらくなってしまうからな。」


「分かりました。英雄国ブレクルスへのご招待についてですね?」


「あぁ。俺としては早い段階で来てほしいと思っている。どうも最近国の領土でモンスターの出現頻度、モンスターの強さが増していっているという報告を受けているのだ。」


「魔王が潜伏している可能性がある、と。」


「あぁ。昨日緊急の文が届き、その中でも強大な勢力を誇っていたオーガロードの群れが崩壊し、散っていったという報告を受けた。」


「おそらくオーガロードは俺の倒した魔王、アルティメットオーガのガメテから力を譲られていたのでしょう。だから大本が倒されてその力も失われた、と。」


「同意見だ。しかし、モンスターの種類数があまりに多い。おそらく種族に限らず魔物を強化するような力を持った魔王が存在しているとみている。」


「厄介ですね。先に彼女に意見を聞いたほうがいいかもしれませんね。」


「そういえばここにも魔王がいるのだったな。」


「アラ、出てきてくれ。」


待ってましたと言わんばかりに飛び出してくるアラ。だが英雄王を前にして硬直する。

気持ちはわかる。この王、内からあふれるエネルギーが半端じゃない。魔力はほとんどないが、それでも圧倒的強者ということが伝わってくる。


「貴殿が魔王が1人、アラ殿か。なるほど。話に聞いていた通り才に恵まれたもののようだ。」


「初めまして。」


「すみません。ブレクルス王の闘気がすさまじく、緊張しているようで。」


「俺の力量を見抜けるだけでも十分だ。2人とも見えているのだろう?」


「まぁ、俺もそうですね。昨日お目にかかった時からすさまじいエネルギーをお持ちだと。」


「ボクも一目見た瞬間に勝てないなって思っちゃった。」


いつものアラの元気はなく声が細い。


「そう緊張するな。勇者という存在がいなければ俺は人類で最も強い分類であることを誇っている。」


「アラはまだまだ成長途中なんだ。気を落とすな。」


「それにしても最弱の魔王でそれほどの力を持つのか。さっそく話が脱線してしまったな。アラ殿を呼んだのは他でもない。貴殿に問いたいことがあるのだ。」


「なんでしょう?」


「魔物の力を強める力を持つ魔王はどのような者だ?」


「それだけじゃわからないね。私は蜘蛛のモンスター全般を強化できるし、ガメテはオーガ系統のモンスター全部を強化できたみたいに魔王って絶対に1種類の魔物を強化できるんだけど、魔王として力をつけていくと複数の魔物を強化できるから・・・」


「成程。貴殿とガメテ以外は複数の魔物を強化できる、と?」


「間違ってはないんだけど、私とガメテが1種、残りのこの世界の魔王5人は3種操れるのが1人と4種操れるのが2人、5種も2人で、異世界から来た魔王たちはこの世界に存在している魔物、魔族ならどんな存在でも操れるし強化できるね。」


「「・・・」」


これにはさすがの英雄王も、さすがの俺も黙ってしまう。すべてのモンスターを操れるなんて無法もいいところだ。しかもそれを強化できるなんて。

しかも、さっきの話の流れからすると・・・


「我が国に潜伏しているとしたら異世界の魔王ということになるのか。」


「じゃあ確定だね。ナスクはご主人と会ってからしばらく仕込みをするとか言って自分の領土に籠ってるらしいし、1人は1か所にとどまるようなタイプじゃないから。」


「その魔王とは?」


「魔王サノイ。異世界の魔王の中では一番弱くて、魔王全員で考えたら上から6番目かな?」


「6番目か・・・」


「今のボクで魔王9人中9番目で一個上に全く歯が立たないと思ってくれればいいよ。」


「だからこそ絶望的になるな。」


「だね。サノイは本人の力はそこまでなんだけど、その能力が厄介で全種類の魔物を操れるうえにほかの魔王よりもその強化の練度が高いんだよ。ざっくりいうとゴブリンが100体いたらそれが全部ゴブリンエリートになるくらい。」


「ゴブリンエリート!?あれは単体でもBランク相当だぞ!?」


「だから強いんだよ。ボクだってゴブリンエリートくらいならどうとでもできるけど、そのレベルの強化を全部のモンスターにやって物量で押してくるからすっごい強いんだよね。ただ、ほかの魔王とは良く対立してたかな?」


「そんな力を持っていてもか?」


ブレクルス王の言うことはもっともだ。それだけの力があれば敵対しようとしないはずだが・・・


「魔王としては本体が弱すぎるんだよ。魔王っていうのは魔物の王、特定の分類だけでもいいから魔物を従え、強化し、操る力を持っていればそれだけで魔王なんだけど、サノイはその力だけに特化してたんだよ。だから自分で研鑽を積んだほかの魔王からしたら気持ちよくはないよね。本体だけなら僕より弱いよ。」


「それならば、ブレクルス王、英雄国ブレクルスはかなり危険な状態かもしれません。」


「どういうことだ?」


「私は神、リアに告げられ、勇者となりました。そして少し前、再び降臨されたリア様が言うには魔王同士が牽制しあい、人類には向こう10年ほど干渉しないだろうとのことなのです。」


「ほう。それがなぜ危険だと?」


「魔王が仮にブレクルス領土内に潜伏している場合、ほかの魔王からしたら2つの見方があります。まずは人類と手を組み、自分たちを滅ぼそうとしている。そしてもう1つは人間の領域で戦力を蓄えている。」


「どちらにしても我が国が戦場となるわけか。」


「そういうことです。ですので、すぐにでも我々がブレクルスに一時的に居を移し、そちらで力を蓄え、早い段階で魔王に仕掛けるのはいかがでしょう?」


「勝てるのか?」


「本人の力を見ていないので何とも。ですが、最悪の場合に逃げる算段はあります。」


「それは魔王としてボクが保証する。ボクもそれに助けられたし、魔王の中でも一番隙がなくて強いあのナスクから逃げたんだから。」


「魔王の証言があるとはいえそれだけでこの世界の命運を握る勇者に危険な賭けはさせられない。そうだな。どうだ?今から俺と王都から離れてそれを見せてくれはしないか?」


「ブレクルス王がそれで認めてくださるのなら。」


「それなら決まりだ。ターモ、装備の準備を頼む。」


「御意」


「アランたちも準備をしてきてくれ。俺は先に門の外で待っている。」


「急ぎ準備します。」


「ゆっくりで構わんさ。こっちが魅せてもらうための準備なんだからな。」

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