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ただの領主が神様に勇者認定された件~植物研究のためだけに世界を守る~  作者: 雲英侑李


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第16話 ただの領主が他国の国王と会談することになった件

魔王討伐をしたということで恒例行事の国王との会談が行われることになった。だが、今回は様子が違うようだ。


「勇者よ、よくぞ魔王を倒してくれた。」


会談の前に俺に対して国王と友好的なように接しろと言われたがそういうことか。ヒナツとアラを連れてこないよう言ったのも口を滑らせないようにするためだな。


ちょうど隣国2か国の国王を招いて会談が行われていたらしい。同盟国だし関係の悪化を恐れたのか。まぁ、他国とのいざこざが起こって俺に矛先が向くのも面倒だし、こんな世界情勢で国同士の争いなんてくだらないこともやってられないだろう。一応は元領主、元貴族だ。そのくらいはわきまえている。


だが、これは一つのチャンスだ。


「国王様、この場を借りて1つお願いがございます。」


「1人目の魔王を討伐してくれたのだ。なんでも申してみるがよい。」


「わたくしが私の仲間になった魔王アラ以外の魔王を全員討伐したのち、私の研究費用と私の仲間が裕福に暮らすことが出来る金額の支援をお約束していただきたく。」


「勇者は魔王と戦うために生まれた存在と聞いておったから冒険者上がりだと思っておったが、ずいぶんとくらいが高いようだな。」


「そうですね。身なりは冒険者そのものですが口調から所作に渡るまで育ちの良さが現れています。」


どうやら俺は他国の国王には評判らしい。


「はっ。勇者として戦いに身を投じる前はこのエルミーア王国コリスからアバラルの統治を任せていただいておりました。」


「もともと貴族だったのですか。どおりで礼儀作法がよいのですね。」


「魔王を仲間にしたといっておったが彼であれば安心だな。だが、視線をくぐってきた目をしている。いい目、とはいいがたいが。」


「仲間を失っておりますので。おそらくその闇が目に表れてしまっているのでしょう。未熟で申し訳ありません。」


「いやいや、そんなことないさ。仲間を失うというのは耐えがたいものがある。」


英雄国ブレクルス国王、ブレクルス。ブレクルスは国王が変わるたびに国の名前がその王の名を関する。そして国王は世襲ではなく、国王が国王としての務めを果たせなくなったときに国内で英雄を決める武闘大会が開かれる。時には世界的な偉業を成し遂げたものが後継人と定められることもあるが、基本的にはこの大会の優勝者、国で最も力のあるものが国王となり、統治をする。それによって国民から国王への圧倒的な信頼がおかれている。


「そうですね。お悔やみ申し上げます。」


魔導マジクルス王国女王、ミラン。魔導マジクルス王国は魔導と名を関しているだけあって圧倒的な魔法技術を有する国家だ。魔法使いを目指す者はマジクルスに移住し魔法を学ぶのが世界的に常識だといわれるほどに魔法技術に抜きんでている。魔法を使えるものは癖のあるものが多いが、それをまとめ上げるカリスマ性を持つのが今の女王だという。


「ゴホン、先の報酬の件しかと聞き届けた。魔王アラ以外の魔王をすべて討伐した暁には必ずかなえると約束しよう。」


「一つよろしいですか?」


「なんでしょうか?」


「研究とおっしゃられてましたが、どのような研究をなさるのか興味がわきまして。私も魔法の研究を愛する者ですので。」


「わたくしは植物の研究を好んでおります。領主のころから植物の研究に力を入れておりました。ミラン女王、少々失礼いたします。」


一言断ってミラン女王のそばに1輪の花を咲かす。それも茎の長さを長くすることで座ったまま手に取ることが出来る。茎は簡単に折れるようにし、茎が折れても1か月ほどは水がなくとも美しく咲き続けられるくらいまで頑張って作った。


「これは美しいお花ですね。いったいどうやって?」


「これが私のスキルです。植物を自在に操ることが出来ます。もちろん生えた痕跡も残しません。」


女王の近くに伸びたままだった茎をしまって見せる。


「素晴らしいですね。植物を愛し、愛されたが故のスキルですね。」


「そうであるとわたくしとしてもうれしいです。」


「素晴らしいですね。おっと、少し話し込んでしまいましたね。」


「問題ない。我もスキルの詳細を聞くのは初めての機会であったのでな。」


そしてこいつ、エルミーア王国、他国からは経済国という肩書をつけられることが多いこの国の国王ドルマニス。経済国という肩書なだけあって圧倒的な経済力を持ち、商人が集まってくる国だ。今では世界の経済の中心はこの国だといわれることもあるくらい経済的に強い力を持った国だ。

武力、知力、経済力を持ったそれぞれの国家が手を取り合っているこの3か国の同盟こそが今の世界を支配しているといってもいいほどに強い力を持っている。


「ドルマニス国王がいいのなら俺からもいいか?」


「我は構わぬ。」


「なら聞かせてもらいたいのだが、いま、仲間はどうしているのだ?見たところ大楯使いであるな?」


「その通りでございます。そして、質問にお答えさせていただくと、現在仲間はプリーストと魔王、私の3人でパーティーを組んでおります。」


「魔王はどのような戦いを?」


「魔王アラは徒手空拳での戦闘を行っております。しかし、真剣流(つるぎりゅう)という私の扱う剣術の奥義を一度見て徒手空拳で再現してしまうほどには様々な際に恵まれているようです。なので、武器を持たせてもいいかと考えておりました。」


「あの真剣流(つるぎりゅう)をか!?一目でって・・・」


「私もはじめ見た時は驚きました。ですが、その才こそがまだ魔王としては未熟な彼女を魔王タラ占める理由なのだと私は思います。」


「未熟?」


「はい。彼女は魔王の中でも今回倒したアルティメットオーガの魔王ガメテと並んで最弱だと申しておりました。ガメテを吸収し、力を増した今でもほかの魔王に勝てる気がしない、と。」


「なるほどな。すまないが、ぜひ今度我が国に来てみないだろうか?魔王の力というのをこの目で見てみたい。」


「ご要望とあらば。」


「あぁ。すぐに正式な招待を送らせてもらう。しばらく滞在してもらうことになるだろうが、滞在場所はこちらで用意する。維持管理が必要な施設があればそれらもこちらで丁重に管理させてもらう。」


「どれだけの期間になるかにもよりますが、お願いいたします。」


「もちろんだ。2人とも、話し込んですまないな。」


「強者のことになるとあなたはいつもそうなので、私は気にしていませんよ。」


「我もだ。勇者よ、魔王討伐ご苦労であった。体を癒してくるといい。」


「はっ。失礼いたします。」


そう言い残して俺は謁見の間を後にし、王城を後にした。家に戻ると、心配そうにしていたアラとヒナツが駆け寄ってきた。


「ご主人、大丈夫だった?」


「アラン、大丈夫だった?」


「2人とも全くおんなじことを同時に言ってきたな。大丈夫だったよ。国王も今回はおとなしかったしな。」


「そうなの?」


「同盟会談をしてたみたいなんだ。といってもアラはわからないよな。この国の隣にある2か国の国王が来てたんだ。ついでにその2人も一緒にって感じだったからな。他国相手には表向きは友好的だということにしておかないとだからな。」


「合わせてあげるなんてご主人やっさしー」


「それに便乗してこの戦いが終わった後の報酬を約束させてきた。研究費用と裕福に暮らせる金だ。」


「なんかアランっぽいね。」


「だろ?」


コンコンコン


アルティメットオーガを倒してすぐに国王に呼ばれたからもうだいぶ遅い時間なんだけどな。


「はーい。」


ドアを開けると随分とガタイのいい男が礼服を着て立っていた。


「夜分に失礼いたします。わたくし、英雄王ブレクルス様の使い、ターモと申します。先ほどの会談でお話しされた件について詳細を決めるお話をさせていただきたく、その日程をお決めさせていただきたいのですが。」


「できるだけ早いほうがいいか?」


「いえ。アラン様のご都合に合わせさせていただきますので。」


「そうなると俺が忘れそうだから明日でもいいか?」


「よろしいのですか?」


「ヒナツ、アラ、大丈夫か?」


「私はいいよー。」


「わたしもー。」


「ってことだ。明日で頼む。時間帯はそっちに任せるから都合がいい時間に来てくれ。」


「かしこまりました。それでは明日、ブレクルス様とともに訪問させていただきます。おもてなしなどは不要ですので気楽にお待ちください。それでは本日はこれで失礼いたします。」





ブレクルス様とともにって言ったか?いったよな?


「集合」


「どうしたの?」


「はい!ご主人。」


「明日でいいとは言ったが、英雄王ブレクルス様が直々に来られるらしい。」


「ここに?」


「あぁ。」


「ボク、殺されない?」


「攻撃しようとしたりしなければ大丈夫だろうが、2人は貴族の礼儀作法なんて知らないだろうし、もてなす用意なんてないぞ。おもてなしは不要とは言われたが・・・」


「軽々しく明日なんて言うんじゃなかったね。」


おもてなしは不要といわれたし、ブレクルス様の性格上許されるだろうがさすがに無礼だ。茶くらいは俺の貴族時代の好みのものを2人にも味わってほしくていいものを普段から使っているが・・・


「おもてなしいらないって言われたんだしいいんじゃないの?」


「人間の世界ってのはそう簡単じゃないんだ。まぁ、用意できない以上は仕方ないか。お茶はいいものを出せるからそれだけでも出すか。あ、たぶん2人と会いたいって言われるから明日はみんな家で待機な。」


「はーい。」


「オッケー。」


まさか国王直々にこんな庶民の家を訪れるなんて。明日が不安だ。

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