第14話 ただの領主がオーガの魔王と遭遇した件
「アラ、周辺の気配は?」
「ちょっと不穏な空気を感じるけど、気配察知には変化ないね。」
「私もちょっと寒気するかも。」
「だよな。俺もこいつを倒してから変な感じがする。だが、植物たちに変化もない。」
「ご主人の探知に何もないなら大丈夫じゃない?ボクもボクなりに探知網張ってるけど何もないし・・・」
「下がれ。」
「え?」
「いいから2人とも俺の後ろに!」
2人をかばって盾を構える。何とは言えない。わからないが何かすごく大きな気配を感じた。探知には引っかかっていないが・・・
「よく気が付いたな勇者よ。」
「空間転移か。」
「ご名答。さすがは勇者といったところか。」
「俺のことを勇者だと認識しているということはあんたは魔王か。」
「その通り。我は偉大なる魔王が1人、アルティメットオーガのガメテである。おや、そこにいるのは落ちこぼれ魔王ではないか。なんだ?勇者に負けて下につきでもしたのか?」
「いーや。面白そうだからついてきてるだけだよ。それにあんた程度じゃご主人に勝てないよ。」
「そうか。俺をそんなに甘く見ているのならその認識を改めさせてやろう。」
空間転移。転移の癖はさっき把握した。転移してくる2秒ほど前、転移先の植物が自然には怒らない挙動をする!
キィィィン
「よく反応したな勇者よ。そこの落ちこぼれとは違うということか。」
転移元の場所も転移開始の数秒前に揺らぐな。だがヒナツとアラでは分が悪いか。
スキルで世界樹を一瞬で生やし、2人を一気に引きずり込む!
「何これ!?」
「安心しろ!中は安全だ。こいつは任せろ!」
引きずり込むと同時に世界樹を地に返す。これでヒナツとアラに手を出すことはできない。
「仲間は足かせか?」
「そんなことないさ。ただあんたとは相性が悪いだけだよ。」
「そうか。まぁいい。何人だろうとお前が本気を出そうと俺には関係がない!スキル{空間操作}」
姿が消えた?いや、空間転移か。揺らぎがさっきよりも小さかったが、間隔的にはさっきと変わらない。細かい違いさえ見逃さなければ・・・
キィィィィィン
姿が見えない!揺らぎで反応できたが、これはまずいな。無駄な情報を与えてしまった。
「どうやら目視で反応しているわけではないようだな。」
姿が現れた魔王からそんな言葉を投げられかける。相手の情報がよくわかっていない以上俺の情報を無駄に出すのは悪手だ。それを無意識のうちにやってしまった。
「バレたら仕方ないな。俺には探知系統のスキルがある。空間転移は無駄だぞ?」
「そうか。ならば近接で攻めるのみ!」
ブラフがうまく聞いてくれたみたいだ。ここまで俺は全力で動いてはいない。俺の最高速をこいつは把握していないし、俺の魔力による強化についてもわかっていないはずだ。
一気に最高速まで加速して相手がそれに気づく前に仕留めにかかる!
キィィィィィィン
弾かれた!?反応されたというのか?
「残念だったな。俺の前でお前が本気を出していないことくらいはお見通しだ。俺には数多くの「目」があるからな。」
どういうことだ?いや、ここまでの情報を整理すると・・・
「オーガロードの記憶を引き継げるのか。面倒な奴だ。」
「よく分かったな。正解だ。俺はこの世界に存在するすべてのオーガロード計20体の知覚と記憶を把握することが出来る。」
「その程度か。」
「なんだと?」
「教えてやるよ。俺はこの世界に存在しているすべての植物の知覚を把握できる。」
「そんなことが許されるはずがないだろう。ハッタリをかますならもうちょっとましなものを考えな。」
「本当だと言ったらどうする?そのうえで植物を自在に操ることが出来る。」
「だから、そんな夢物語を語って時間稼ぎのつもりか?」
「そんなことはない。そっちが能力を開示してくれたからこっちも開示しなければ失礼だろ?」
これでこいつは俺の説明を嘘だと信じ込むだろう。それを突く。ある程度は魔力強化された身体能力でカバーして、隙をついてスキルで致命的な一撃を叩き込む。こっちの動きに反応される以上そうでもしないと勝ち目はない。最悪世界樹に逃げ込むことはできる。
「いろいろ考えているようだが、意味ないぞ。俺の一撃は魂をも砕く。」
危なっ!何とか避けたが、確かに当てられたらひとたまりもないな。
「そんなのろまな攻撃当たらねぇよ。」
「スキルは使わないのか?さっき言ってたことが本当なら使えばすぐに勝てるだろうにな!」
すっかり信じ切ってくれているな。こういう時にスペックがあまりにもオーバースペックすぎるスキルっていうのは便利だな。俺ですら1つのスキルでそれはやりすぎだろと思うレベルだもんな。
「さて、いつまで逃げ切れるかな?」
「さぁな。あんまり長いこと殺り合うつもりはねぇよ!」




