第13話 ただの領主がオーガロードと遭遇した件
気配を消しつつ、こちらは植物操作で敵の気配を探りつつ、中心部のオーガの群れがいるであろう場所に接近していた。
「ご主人。いるよ。」
「みたいだな。こっちにも反応があった。」
「アラはヒナツの護衛を。俺が足を固めていったん数を減らす。」
「オッケー。ひなっちゃん、ボクから離れないでね。」
「うん。」
「それじゃ行ってくる。」
アラが守ってくれれば大丈夫だろう。
進化蔦で一気にオーガの全個体の足元を固める!具体的な位置がわからない以上粘性を持った植物を配合してそれを使って足場を固めた!そして足をこの植物は粘液が空気に触れて10秒ほどでガチガチに固まる。それが固まったタイミングで仕掛ければ相手は足を固められ、こっちは自由に動ける!
20秒もしないうちに普通のオーガは全滅。ただ、周りをちゃんと見ながら攻撃したわけではないものの、明らかに硬い奴がいた。こちらの攻撃があまりに通ってない感覚があった。そいつの気配を背後からビンビン感じる。
「何者だ?」
「さぁな。通りすがりの冒険者だ。」
「気配を消していたつもりか?」
「気づいてなかったくせに」
「気づいているそぶりを見せたらお前は警戒するだろ?だから同胞を見殺しにしたまでだ。」
「それで?俺に勝てるとでも?」
「もちろんだとも。こいつの命が惜しくないのか?」
そういって切れた腕を見せつけてくる。
「こいつとは?俺にはお前の腕から大量に出血する姿しか見えないが?」
「なに?」
痛覚がないのか、反応が鈍い。そして即座に再生しやがった。
「何が起きた?俺は確かにあの小娘を捕まえたはずだ。」
「なんでだろねー。」
オーガロードの背後を取っているのはアラ。さすがというべきか。気配を消すのも敵に気づかれないように敵の対処をするのもお手の物だな。隠密に長けているうえに技術の習得速度も速い。
「何奴!」
オーガロードの裏拳が襲い掛かるが、アラからしたら遅すぎるだろう。宙返りで拳を躱したアラは足払いでオーガロードの体勢を崩し、そのみぞおちに拳を叩き込む!
「ぐはっ!なぜその体でこの俺よりも高い力を持っている!」
「まだ気づかないの?あんたを見るに、あんたのご主人様、かなり力を失ってるみたいだね。」
「なにを!あのお方は自身に力を集約しておられるのだ。あのお方が力を失っているのではなく、我々の力をあのお方に捧げているのだ。」
「あっそ。ボクはそんなことどうでもいいんだけど・・・それにしてもまだ気づかないの?力はそれなりにあるみたいだけど、おつむは足りないみたいだねー。」
「何?ちょっとまて!その白い髪に赤い瞳、人間とは思えない肌の白さ!まさか!魔王アラ!」
「やっとわかったみたいだね。あんたが勝てるわけないでしょ?ボクは強いし、ご主人はそれ以上に強いんだって。」
「貴様が主人と仰ぐ存在だと・・・?」
「あんたの目の前にいるでしょ?」
「この男が?この軟弱そうな男が何だというのだ?」
その瞬間オーガロードの四肢が吹き飛んだ。
「ぐあぁぁぁぁぁ。」
「これでわかった?あんた今何されたかもわかってないでしょ?ボクだって目で追うのが限界だもんね。」
「何をした…?」
「最高速でお前の四肢を切り飛ばした。再生してもらってもいいぞ。」
そういい始める前に再生を始めるオーガロード。だが、それを許すほど俺は甘くない。今度は首だ!
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
首のダメージはデカいみたいだな。だが、再生能力と生命力の高さで何とか生きてるみたいだな。すでに傷はふさがってきている。
「貴様、こんな仕打ちをして俺が許すと思うのか?」
「さぁな。お前で俺に勝てるのならな許さないだろうな。だが、お前は俺に勝てない。」
「勝てるさ。オーガロードはその身がどれだけ切り刻まれようともその1つから再生ができる。そして残った破片はすべて新たなオーガの個体となる!」
「だからアラがさっきから走り回ってるのか。」
「何?」
「ご主人、呼んだ?」
いつの間にかヒナツも近くに来て、アラも動きを止めた。
「増えたオーガはどうした?」
「全部殴り殺しといたよ?」
「だそうだ。お前に残されたのは少しずつ再生している頭と絶望だけのようだが?」
「そうみたいだな。だが、俺には魔王様がついている!あのお方にこの身とこの知をささげることが出来るのなら本望!」
聞き出せそうなことなんかはないな。この知をささげるという言葉が不穏だが、こいつは殺してしまおう。
「アラ、とどめを刺す。万が一に備えてヒナツを。」
「オッケーご主人」
どれだけ切り刻んでも再生するのならば、再生できないほどの形にしてしまえばいい!
進化蔦を巻き付け潰す!どこまでも潰す。これ以上再生出来ないほどの力を加えて全力で潰す!
数分で完全に死亡したオーガロードの残骸がそこにはあった。




