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見てくるだけの簡単なお仕事  作者: ヒコしろう


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25/25

第25話 オジサンによる観察報告

さて、幾多の試練を越えてオジサン種の世界の秘密を解明した俺であるが…現在…めちゃくちゃ笑われている。


そう、ボクチン神様にである。


まぁ、魔道甲冑さんとの会話により何時でも報告に帰れる程のこの世界の情報が手に入り、


【貴方の気まぐれにより飛ばされたドワーフ族の登場からの世界戦争で一度文明は滅びましたが、ドワーフさんと現地の方々の頑張りにより産み出されたオジサン(仮)という生物が原始的な生活をしています】


とボクチン神様に報告出来る状態であり、村の方の試練はと言うと、


「何か途中の行き止まりの所、凄く臭くなかったですか? 穴掘り組から聞いたけど穴の中で臭いと感じたら引き返せって…」


などという沁々ウガるガリさんに、心の中で、


『それ、有毒ガスではなく、俺のお尻から出た作品が発生源です…申し訳ない…』


と謝り、


「それならオイラは神様の像の部屋が苦手な匂いだったよ」


というキヨさんには、帰還までに4つに増えた穴を思いだして心の中で、


『それに関してはマジでゴメン…』


とだけ告げたのだが、唯一ガリさんが、


「えっ?そうだった??」


と不思議そうにしていたので、


『あれ、嫌な匂いは俺じゃないかも…』


と、心へのダメージが少しだけ和らいだというひと悶着はあったが、そんなこんなで三人とも無事に試練は終了し、あとはのんびり村を発展させて余生を暮らす予定だったのであるが、ムラムラも治まり村を目指して森を進んでいるある日、村まであと半日程の場所にて俺たちは立派なガボに遭遇してしまったのである。


俺は二人に、


「俺ハ、気にせズ走れ!!」


と叫び二人を村に急がせたのは、兄貴としてのプライドではなく、どうやら俺が身に纏っているガボのママの毛皮から目を離さないので、


『あぁ、子作りの時のみに同居するタイプの旦那か、一人立ちした息子か…どちらにせよ俺はママの仇という訳ね…』


と、理解してしまった俺が出した1番の作戦が、


【俺が囮で逃げ回る間に皆を呼んで来て作戦】


である。


キヨさんは、


「嫌だ、兄貴も一緒に…」


と、かなり渋ったが、ガリさんに、


「こうやって悩む間も兄貴が狙われているんだよ!」


と言われて二人で村へと走って行く背中を見て、安心した俺はガボと睨み合いながらもユックリと荷物を下ろし、服を脱ぐ…いや、あまりの緊張でおかしくなった訳ではなく…俺は至って冷静に真っ裸でガボママの毛皮を『エイ!』と放り投げ、気を反らした隙に弓だけを持ち走り出したのだが、ガボの奴はチラリとガボママの毛皮を横目で追っただけで、俺に向かい走り出したのだった。


『嘘…効果なしかよ…』


とガッカリする暇もなく始まってしまった、


【フルチン弓矢使いの俺 VS 家族の仇討ちに燃えるガボ】


という戦いに、まぁ勝てる要素などなく、現在に至るのである。


俺の記憶を神様チックパワーで読み取り、抱腹絶倒しているボクチン神様に、俺は、


「あのぉ~、かなり頑張ったんですが…爆笑で片付けないで下さいね…」


と軽く嫌味をいうのだが、ボクチン神様は、


「ひぃ、ひぃ、苦しい…キミ、産卵したんだ…オジサンになって…ぷっ!」


と、ツボっておられる真っ最中である。


『これはどっちだ?…あの世界…放射能汚染は今も有るか分からないが、完全に魔力も無く文明人すら消え果てた世界だが…消されるのか…残されるのか…』


と思う俺の思考はボクチンに読まれているらしく、ボクチン神様、


「ふぅ、ふぅ…はい、採用で良いよ」


と一旦真面目な顔になり、


「ボクチン的にもね、ちょっとやり過ぎた感は有るんだ…実はねあの世界は、前に戦争でエルフちゃんがいっぱい死んで世界樹もへし折られた世界なんだよね…」


と言い出して、その時に被害に合ったエルフ達を呼んだメインルートの世界でもドワーフ王国が飛行戦艦にてエルフを危機に落とそうとした為に、


「またか!」


とばかりに、代わりにドワーフ王国の飛行戦艦を世界樹が折られた世界に島流しの後に放置しまくったのがオジサン世界に繋がっているあの世界であり、へし折られた世界樹により魔力が薄れ科学文明にシフトしていた面白味の無い世界であれば引き続き放置や消去、あるいは他の新米神様にプレゼントという選択肢もあるらしいのであるが、今回は、


【オジサン種の生態がツボ】


という事と、


【魂のみの流刑地としての活用】


となり、つまりメイン世界で神様の怒りを買うぐらい悪さした奴は、俺のオジサン人生を追体験して魂の罰とする…


『って、あの人生は罰に値するんじゃねぇか!!』


と今頃になり、やり場の無い怒りがこみ上げるが、ボクチン神様は、


「これでキミの魂も成長したんじゃない?次は余分に1個ぐらいはスキル取得出来るかもね…」


と…どうやらあれぐらいでは、俺の罪は許されないらしく早くも次の現場に行く時の話になっているのである。


「すぐですかっ!こんなすぐに出発ですか?!」


とヤケクソで聞くと、ボクチン神様は、


「魔力だけならボクチンの加護でエルフ並みにあるし高度な魔法じゃなければイケそうだし、他にも便利スキルがあるけど…まぁ、ボクチンは優しい神様だから、あの世界は世界樹も神獣も居なくなってるから、あの自我を持った魔道甲冑とやらをあの世界のボクチンのお使いに認定するからユックリとスキルを決めならが見ていくと良いよ」


などと言っており、魔道甲冑さんがひどい目に合わせた神である自分に感謝の言葉を言ってから眠りについたのがボクチン的にも酷く気に入ったらしく、


「こっちに来てみて…」


と呼ばれた部屋は多少エルフの像のコレクション部屋より乱雑であったが、作業台の向こうにはドラゴンや亀のようなフィギュアが並び、


「キミの前世の記憶を真似して等身大の彫刻は止めたんだ…配下の神獣達とのリンク用の神具だよ」


といってドラゴンのフィギュアを持つボクチン神様が、


「安否確認や通信、視界共有など多機能でこの出来映え…まさに神クオリティー…なんちゃって…」


と言ったあとで作業台戻り何やらコネコネし始めると俺の記憶を参考にプロトタイプ魔道甲冑さんを作ったのである。


あの太めの指で道具も殆ど使わずに、このスピードとこのクオリティー…


『正に神業…』


と感心していると、ボクチン神様は、


「よせやい…照れる」


と言ったかと思うと、


「そうだ、キミに見せたい物が…」


と、コレクションルームからエルフフィギュアを持ってきて、俺の前でパカリと本物の世界樹の木材から削り出された本格派の胸部鎧を外すとあらわになる二つの控えめな丘が…


「おぉ…」


と声を漏らす俺に神様はニコニコで、実際に金属部品で組み上げられたエルフ王国に納品されたという魔道甲冑のフィギュアにそれが搭乗出来るというこだわりギミックまで…


「一回魔道甲冑は作ったこと有るからね…キミの生前の知識が役にたったんだ」


などとご満悦であったのである。


ちょっと…いや、かなり子供っぽい所はあるが、飽きっぽくは無いと思われる神様にちゃんと管理してもらえるならば、あの世界で生きている息子や俺の死を乗り越えて強くなってくれるであろうキヨさんやガリさんも大丈夫だろう。


そして俺はというと、


「下痢やムラムラに負けない状態異常無効スキルをお願いします!」


と、初回観察業務の報酬として、


「本当にそれで良いの?」


とボクチン神様に言われたが、


「食べて解析スキルにはそれが先ずは必要なんですよっ!」


と先の長い監視員生活を見据えてスキルをおねだりしたのであった。


濃くは有ったが2年と少し…俺が無駄に過ごした人生を実りある物に変えるにはまだまだ足りないのは今回の事で身に染みた…


「さぁ、次はオバサン種しか居ない島でも何でもドンと来いです」


と俺が気合いを入れるとボクチン神様は、


「あんな奇妙な世界はそうそう無いと思うけど…」


と呆れていたのであった。



今回はここで一旦終わりにしたいと思います。


このお話を書こうと思ったのは、自宅の前の公園にて、夏の暑さにやられ昼間からビールでも飲んでいたのか夕暮れ時にフラフラ歩きながら、


「あー!」「あー!」


と抑揚なく鳴き声の様に叫ぶオジサンが、夕方の散歩中のオジサンと、出会したらしく、


「煩いんじゃ!お前はまた昼間っから…」


と怒鳴るどうやら知り合い風のオジサンに向かい、酔っぱらいのオジサンは変わらず、


「あー!」「あー!」


と鳴き声を上げるだけでイライラしたお散歩オジサンが、


「あん?!」


と半ギレで半歩詰め寄っても、


「あー!」


と鳴き声を上げるという出来事があり、自宅のから、『警察かな?』と様子を見ていると、お散歩オジサンの方が、


「けっ、酔っぱらいが!」


と立ち去り、酔っぱらいオジサンの勝利となったのである。


『目と目が合ったらオジサンバトルに成らなくて良かった…』


と思っていた数日後にその公園で子供たちが遊んでいたのだが、夕方に、


A「そろそろ帰るね…」


B「えっ、まだ明るいのに?」


という声が換気の為に開けていた窓から入ってきたのだがその後の子供たちのやり取りが、


A「だって夕方に変なオジサンが来るから…」


B「どんなオジサン?」


などと聞こえてきて、どうやらAは先日の現場を見ていたらしく、


A「野生のオジサンのポケモンバトルみたいだった」


と、言ったのである、


『確かにトレーナーは居らず一定の距離を保ち、殴りも掴み合いもせずに、声だけで威嚇はしていたが…』


と窓辺でその子供の見え方に笑いそうになるが、Bが続けて興味津々に、


B「どんなバトル?」


と聞くと、


A「こっちのオジサンは威嚇かな?あっちのオジサンは鳴き声」


などと説明してたかと思うと、


A「多分こっちにいたオジサンが綺麗な格好だったからオジサンのメスで、あっちのがオジサンのオスだと思う…」


と、持論を述べた瞬間に、ポケモン図鑑風に、


【オジサン】


【迷惑ポケモン】


【恋のシーズになるとオジサンのオス同士で縄張り争いをする】


【メスのオジサンに出会うと一際大きな声でアピールする…】


などと脳内再生されてしまい窓辺で隠れて吹き出すという事があり、


『とりあえず書いとこう…』


と書いた物語ですので、まぁ、オジサンの物語なんて誰も興味ないと思いますが個人的にオジサンのオスとオジサンのメスというキーワードが好きだっただけの作品です。


読んで頂けただけで感謝しております。

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