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第11話 今に巣食う闇の光

夢の美術館。家族の肖像画の前で、黒い影がぬらりと動いた。

悪夢の化身はゆらゆらとした身体から黒い墨のような煙を立ち上らせ、嗤っていた。


悪夢の化身「ケケケ……思い出に縋り付くのは最高だな〜?」


ペイジンは杖を構え、眉をひそめる。

ペイジン「……何がしたいの?」


悪夢の化身は、筆のように変形した腕で空を切りながら、甲高い声で告げた。


悪夢の化身「アレだよ……!夢に飛び込んでな……色んな子供の夢を――心に残った思い出を

爆破してやるのさぁぁぁ!!!」


ペイジン「....なんてことをーー

許さない許さない許さないッ!!!!!!」


笑い声が美術館全体に響き渡り、周囲の肖像画が次々と黒い染みに覆われていく。

家族の笑顔が、友達との記念写真が、花畑の思い出が――一枚一枚、黒いインクに飲まれて消えていった。


ペイジン「……子供の夢を壊して何になるの?そんなことして……!」

悪夢の化身「ケケケ……壊れた夢ほど旨いんだよ。

絶望で塗りつぶされた思い出は最高のご馳走さぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」


影が筆を振り下ろし、すぐ横の肖像画が爆ぜるように砕け散った。

絵の欠片が黒い羽根のように舞い散り、床に吸い込まれていく。


ペイジン「……許さない。あんたがやってるのは、夢を汚すだけじゃない……心まで殺そうとしてる!」

スリーピィーステッキがピンクの光を帯び、マントが夜風のようにひるがえった。


ペイジン「そんな勝手な夢の侵略――ここで止めてやるッッ!!」

「これが……悪夢の化身……実体を持たない闇の色……!」


影がうごめき、美術館の壁や床に黒い染みが広がっていく。

笑い声が空気を震わせ、飾られた絵が次々と爆ぜるように砕け散った。


ペイジン「行くよ!スリーピィーステッキ!!!」


ピンクの光が杖の先端に集まり、魔法陣が足元に展開する。

花びらのような光が宙に舞い、ペイジンの瞳に闘志が宿った。


悪夢の化身「ケケケケケ!!この館ごと黒に塗り潰してやる!!」


影が触手のように伸び、ペイジンを一気に包み込もうと迫る。

だが彼女はほうきを蹴り、宙を舞うように回転してかわした。


ペイジン「甘いッ!!!」


スリーピィーステッキが振り抜かれ、ピンク色の魔力弾が一直線に放たれる。

美術館の床を滑るように突き抜け、影の一部が悲鳴を上げて弾け飛んだ。


悪夢の化身「グギャァァァァ!!」


影が分裂し、複数の分身が壁や天井を駆け回る。

肖像画の一つに潜り込み、中から黒い腕が伸びてペイジンを狙った。


ペイジン「このっ……絵に潜んでくるのね!」


彼女は素早くマントを翻し、ステッキで光の円を描いた。

瞬間、半透明のバリアが展開し、黒い腕を弾き返す。


悪夢の化身「お前の光で全て守れると思うなァァ!!」


闇が天井を伝い、巨大な影の槍を形成して一気に投げ放った。

美術館全体が黒い稲妻に包まれ、緊張が走る。


ペイジン「……やるじゃない……でも、こっちだって負ける気はない!!!」


彼女はスリーピィーステッキを構え、次なる魔法の詠唱を開始した――。

悪夢の化身「くらえええええッ!!――爆破ッ!!!」


黒い魔力が一点に収束し、次の瞬間、美術館の空気が爆ぜるように弾けた。

轟音とともに闇のエネルギーが奔流となり、絵画も床も壁も黒い光に飲まれていく。


ペイジン「きゃああああああッ!!!」


爆風に巻き込まれ、ペイジンの体が宙を舞った。

マントが裂け、スリーピィーステッキが手から離れ、床に転がる。


ニィ「ペイジンッ!!!」


黒猫は必死に駆け寄ろうとするが、闇の触手が道を塞ぎ、少女を守るように立ちはだかる。


悪夢の化身「ケケケケケケ!!これで終わりだァァァァ!!!夢も、記憶も、全部爆破してやる!!!」


美術館の壁に飾られた肖像画が一斉にヒビ割れ、次々と崩れ落ちる。

子供の笑顔も、家族の温もりも、黒い染みに塗り潰されていった。


ペイジン「……っ……まだ……

まだ終わって……ないのッ……!!」


彼女は痛む体を押さえながら、必死に立ち上がった。

スリーピィーステッキの先端に、再び淡い光が集まり始める。


ニィ「ペイジン、無理するなニィ!あれは強すぎるニィ!!!」


ペイジン「……あの子の夢は……絶対に渡さない!!!」


彼女の瞳に再び闘志が燃え、ピンクの光が一気に輝きを増していった。


悪夢の化身「ケケケ……立ち上がるか。だがもう遅い!」

黒い触手が再び美術館中を這い回り、天井の絵画を次々と砕き、闇の槍となってペイジンへ降り注ぐ。


ペイジン「……ここで負けたら……あの子の夢は二度と帰ってこない……!」


彼女はスリーピィーステッキを拾い上げ、両手で強く握りしめた。

ピンク色の光が杖全体に走り、マントが風を受けて大きく広がる。


ニィ「ペイジン!今だ、魔力を全開にするニィ!!」


ペイジン「――いくよっ!!!」


杖を高く掲げた瞬間、床一面に巨大な魔法陣が展開された。

光の花びらが無数に舞い、黒い槍が降り注ぐたびにバリアが弾き返す。


悪夢の化身「チッ……この光……小癪なぁぁぁぁ!!!」


ペイジンは魔法陣の中心に立ち、スリーピィーステッキを正面へ構えた。

ペイジン「――ドリーミング・エンドレスシャインッ!!」


杖の先端から放たれたピンクの光線が、夜明けのように美術館全体を照らし出す。

光は触れた瞬間、闇を消し飛ばし、黒い触手や槍を一瞬で蒸発させた。


悪夢の化身「グギャアアアアアアアアアアアッ!!!」


影の体が砕け、煙のように宙へ散っていく。

砕ける瞬間、いくつもの黒い破片がキラキラと光へ変わり、次々と消えていった。


ペイジン「これで……終わりよッ!!!」

最後の一撃が化身の中心に突き刺さり、轟音とともに美術館全体を覆っていた闇が一気に晴れていった。


ペイジン「――あった……!宝物!!」


闇が消えた美術館の中心に、小さな光の結晶がふわりと浮かび上がる。

それはまるで少女の記憶が形を得たように、暖かく柔らかな輝きを放っていた。


ニィ「現れたニィ!悪夢が強すぎて、夢の中にそのまま現実化したニィ!早くそれを――」


バサッ!!


突如として、天井の窓が破れ、影がひとつ舞い降りた。


ニィ「ぎゃああああああッ!!!」


暗いマントを翻し、軽やかな足取りで着地したのは――あの白い仮面の怪盗。


ジュン「この宝物は――頂きましたわ……」


彼女は片手で宝物をひょいと掴み、そのままくるりと一回転して距離を取った。

その動きはまるで風のように軽やかで、着地の音すらほとんど響かない。


ニィ「あの身軽な動き……!!しかもペイジンと同じぐらいの背の高さ……いったい何者ニャン!?」


ペイジン「ジュン……!返しなさい、その宝物!!」


ジュンは仮面の下でくすりと笑い、背後のガラス窓を振り返った。


ジュン「宝物はね……壊すためじゃない。もっと大きな力になるの。あなたには分からないでしょうけど……」


ペイジン「なにそれ……どういう意味!?」


ジュン「答えは――次に会うときにでも。ごきげんよう、魔法少女さん」


彼女のマントが夜風を受け、まるで闇と一体になるかのように揺れた。

次の瞬間、ジュンの姿は光と影の間に溶けるように消えていった。


ペイジン「ま、待ちなさいッ!!」


しかし返事はなく、宝物の輝きだけが夜の彼方へと消えていった。


ペイジン「……あいつを追うよ!ほうき、飛んでッ!!!」


彼女が叫ぶと同時に、足元の魔法陣が眩しく輝き、ほうきが宙に浮かび上がる。

ピンクの光がマントをはためかせ、風がペイジンの頬を打った。


ペイジン「ニィ!捕まって!!あいつ、現実世界に飛び出して行ったよ!」


ニィ「了解ニィ!絶対に逃がさないニィ!!」


黒猫はしっかりとマントにしがみつき、しなやかな尻尾を巻きつける。


ペイジンはほうきの柄を強く握り、夢の世界の裂け目へと一気に加速した。

美術館の天井が砕け散り、光の渦が彼女を包み込んでいく。


ペイジン「――夢から出る!!現実に戻るわよッ!!!」


次の瞬間、ほうきは光のゲートを突き抜け、夜の街の上空に飛び出した。

眼下には現実のビル群が広がり、遠くの屋根を影のように駆け抜ける怪盗ジュンの姿が見えた。


ペイジン「ジュン!!宝物を返しなさい!!」

ジュンは屋根の縁で一度だけ振り返り、仮面の下で口元だけ笑った。


ジュン「追えるものなら追ってみなさい、魔法少女さん……!」

そのまま彼女は闇の中へ飛び込み、屋根から屋根へと軽やかに跳んでいく。


ペイジン「……絶対に逃がさない!!!」

ほうきが夜風を裂き、追撃戦が始まった


次回第12話おたから争奪戦

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