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TS爺、百合エロゲ―の世界のダンジョンに挑む  作者: 蒼井茜


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ここたま

 闘技場のルールはシンプルだ。

 出てくるのは雑魚4種とボスのみ。

 4種と言ってもそれしか出ないわけではなく、挑戦者ことドリーマーの実力に応じた4種類が不定数出てくる。

 ゴブリンやコボルト、変わり種だと首狩り兎なんかは初心者によく出てくる。

 ちょっと強くなればこれらのラインナップで数が増えてくるか、オークなんかも出てくる。

 終盤レベルになれば変異種のオーガや鬼、死神なんてのも出てきてボスより強い事も多い。


 つまるところ挑戦者の実力に応じた4種類が雑魚として出てくるのであって、敵の数と種類の組み合わせが無数に存在している。

 ゲームだった頃はエンジンの限界からパターンが決まっていたが、現実となった今は違う。

 つまるところ、私にも何が何体出てくるのか読めない。


 そしてこういう所では決まって賭博が発生する。

 認可非認可問わず、どこまで行けるか、誰が一番勝つかという賭けが成立する。

 一応月神始めとする連中がとりしきってはいるのだが、個々人で飯奢る程度の賭けは見逃されているし、もっと言うならネット上での裏賭博も見逃されている。

 表向きの方もあるんだけど、それは生き残る前提で裏じゃ生死すら賭けてるからな。

 規制しようにもいたちごっこになるから追うだけ無駄として、むしろ犯罪者連中の居場所突き止めるのにちょうどいいし、いざという時司法に提出できる書類が増えるからと見過ごしているのだ。

 ようは執行猶予だな。

 それを犯罪者側も理解したうえで、何重にも切っていい尻尾を使って賭けているから直接的な証拠として使いにくいのも理由の一つだけど。


 そして丁度、私の出番が回ってきた。

 ボクサー風の男がグローブ付けたカンガルーにKOされたことで闘技場から排出されたのだ。


「じゃ、頑張りなさい」


「あ、蓮野。全部のルートで私に賭けておいてくれ。私の小遣いから」


「もち! 私も貯金切り崩して賭けるわ!」


 ……こいつギャンブルやらせたらダメな人間かもしれん。

 いや、勝てると信じてくれているんだと思いたいけど。


「じゃ、行ってくる」


 そう言ってリングに登ると方々からヤジが飛ぶ。

 遊び場じゃねえんだぞ、帰ってママのミルクでも飲んでなと。

 いいね、この空気……あぁ、前世でもあったな。

 曖昧な記憶の中でも鮮烈な、戦後復興期に闇市の中でも立ち入るなと言われていた奥の方。

 ステゴロの殴り合いによる賭博、金だったり物だったり、時には人まで賭けて大金をせしめる一発逆転もあれば有り金も着物も女も取られてすべて失った奴もいた。

 とても、落ち着く。

 戦場の空気とよく似たダンジョンの気配、そして戦後の空気の入り混じるこの空間こそ自分のいるべき場所だと教えてくれる。


 闘技場のスタートは単純だ。

 リングの中央に置かれているゴングを鳴らす事。

 そうすれば敵が出てくるし、ゴングは最初からなかったかのように消え失せる。

 それがスタートだ。


 カーンという甲高い音を響かせてゴングを鳴らすと現れたのはオーガが一体。

 筋骨隆々としたその姿、手には棍棒を持ち一撃で人を殺せそうなゴブリンやオークという亜人種の最上位とされるそいつが一体。

 舐められたものだ。


「縛」


 糸を操りオーガを拘束する。

 遅ればせながらに出てきたモンスターの強さを理解した連中がざわつき始め、そして両社が動かない事に対する疑問の声も聞こえてきた。

 もう、どちらも動いているのに。


「爆」


 そのまま糸を引き絞り、炎の魔法を流し込んで体内から炎上させる。

 燃え上がったオーガ、本来ならその皮膚はこの程度の魔法など無効化するくらい強靭だが、中身まではそうはいかない。

 これなら数が増えたところで大した問題は無さそうだ。


 糸を回収するとオーガは黒焦げになり、その場に倒れて消えた。

 ここではドロップアイテムは存在しないから、何も残さずに。


 続けて出てきたのは飛竜、ドラゴンもどきと言われるそれは天空を飛び回り遠距離から魔法攻撃をしてくるが闘技場ではそうはいかない。

 上下左右に制限が設けられているため、今警戒すべきはブレスだけであり、それを承知しているのか向こうも初手から炎のブレスを吐きかけてきた。

 イージス、常に展開しているそれを広げる事で炎をはじき返しつつ、闘技場の不可視のリングとイージスで挟んで潰す。


 3体目は5体の修羅だった。

 オーガと違い連携を得意とする小柄な鬼、それが修羅。

 見た目に惑わされる事が多いが、攻撃力だけ見てもトップクラスのモンスターであり、終盤になって出てくる類だ。

 これは少し苦戦した。

 イージスで守りながら刀を振るい、糸を操りかく乱しながらようやく1体撃破。

 陣形に穴が開いたところで魔法を交えて攻撃を誘い、同士討ちの形で2体目を。

 そして残った3体はそれまでに仕掛けた地面の糸、そいつを使って足を止めさせ転ばせたところで順番に首を跳ねていった。


 4体目、死神。

 ゴースト系モンスターであり、魔法と物理を同時に使う黒マントに骸骨仮面、鎌持ちといういかにもな風体のそいつをイージスを纏わせた糸で拘束する。

 こいつは防御力もさることながら、魔法防御も高いのでそのまま締め上げた。

 出来うる力全てを込めて糸を絞り、バラバラに刻んだ。


 そして最後に、ボスが出てきた。

 闘技場の主にして時に最強、時に最弱と言われるボクサーコアラ。

 前の相手が倒されたカンガルーと同系統で、こいつはある特性がある。

 素手でなければ倒せない、故に最強にして最弱。

 ゲームの時は1ターン消費して装備を解除する必要があったが今は現実だ。

 ただ拳を握り、そしてその顔面を殴りつける。

 ロープで跳ね返ってきたところを蹴り飛ばし、倒れたら踏みつける。

 それを何度も繰り返しているとボスを踏みつけようとした足がリングを叩いた。

 勝利だ。


 あっけないものだったが……いいな、得られるスキルのランダム性とか無視して通おう。

 ここが、私の魂の居場所かもしれん。

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