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TS爺、百合エロゲ―の世界のダンジョンに挑む  作者: 蒼井茜


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殺意の波動

「ひゅっ!」


 蓮野が息をのむ音が響く。

 目の前には首つり人形、アンティークとして売れそうだ。

 何が出てきたかを確認したら即座に殴る。

 そんな作業にも等しいダンジョンアタックだが、ぶっちゃけ蓮野がビビり散らかしているだけで敵は大したことは無い。

 元々ゲーム内でもこのダンジョンの本命は「ヒロインの悲鳴が聞きたい」という馬鹿な要望に応えた追加パッチだった。

 なので強い敵が出てくるわけではなく、デートでお化け屋敷に入るような感覚で進める。


 問題なのは一定以上の音量で悲鳴を上げてしまうと入口に戻されてしまうというもので、それを決める方法はスロットの目押しだったという事。

 私は裏の業界もそれなりに知っていた……と思うのだがその辺の記憶は曖昧でなぁ。

 ともあれスロットなどはちょいちょい嗜んでいたので苦労はしなかったが、そうでない世代は結構大変だったという。


 ついでにエロシーンなども無いのであまり売り上げに貢献しなかったとも聞くが、それは大人の事情だろう。

 文字通りの意味でだけど。


「ぴっ!」


 今度は窓がバンバン叩かれて、血の跡が残される。

 さすがにこれは殴れないな。


「蓮野、もう少し声を抑えろ」


「だ、だって……」


「ここに出てくる連中は雑魚だ。恐怖心に打ち勝つのが先だ」


「うぅ……」


 そう、ドッキリに強ければこのダンジョンはボス以外どうでもいい相手である。

 ついでに得られるスキルも【恐怖耐性】であり、恐怖の状態異常にならないだけだ。

 麻痺や睡眠と同じく行動不可能になるのだが、実の所使ってくる敵が少ないのであまり意味のないスキルと言える。

 おまけ要素としてこのダンジョンを周回する時スロットの回転が遅くなるという仕組みがあったが、それだけでしかない。

 なお周回するとヒロインの台詞も変わるので、一部の変態は強がるヒロインたちを見て楽しんでいた。


 そして会話だが、普通に話す程度ならば問題ない。

 それこそ叫ぶレベルじゃなければ入口に戻されることは無いのだ。


 ただこのダンジョンの意地が悪い所は「入口に戻される」という一点である。

 ダンジョンから追い出されるのではない、最初からやり直しという事だ。


 恐怖耐性やドッキリ耐性がない人がここに迷い込んだ場合、叫び過ぎて喉が枯れるのが先か、水分不足で物理的に枯れるのが先かというデストラップになっている。

 そういう意味では……まぁエロトラップダンジョンより悪辣だな。

 あっちは後遺症とかは残るかもしれんけど、生きて帰れる可能性が微粒子レベルで存在するから。


「ひっ!」


「幽霊は殴れないか」


 ゴースト系のモンスターは殴れたのに、廊下を横断した幽霊は殴れなかった。

 すり抜けてしまったのである。


「きゅっ!」


「はいつくばってる相手って蹴りやすいよな」


 ぺたぺたと匍匐前進のように進んでくる血まみれ幼女、その顔面を蹴り飛ばしてから踏みつけて歩く。

 蓮野は大きく迂回した。


「ひんっ!」


「そろそろ猿轡つけておくか?」


 足元から伸びてきた手を蹴り飛ばす。

 地味に動きを阻害してくるのがうざい。


「だ、大丈夫……命はなんで平気なの……」


「だってなぁ、スラムじゃこんなの日常茶飯事だったぞ」


「え……?」


「いや、血まみれの子供とかいたし、壁一面に血の手形があるのはザラ。死にかけが這いずって助けを求めてくるのを蹴り飛ばすのも日常。不法占拠したガキどもが見せしめに何かを吊るすのも珍しくなかったし」


「そ、それは生身でしょ……いや、逆に怖いわ」


 あ、少し冷静になったようだ。

 けどまぁ、私の経験としても、前世らしき経験からしても生きていようが死んでいようが、無機物や幻影であろうとも怖いという感情はほとんどないんだよな。

 ゲーム時代だと命はぷるぷる震えるばかりで悲鳴を上げる事のないキャラだったし、そこにスラムとかの記憶が引き継がれたらそりゃもう怖いものなんてなぁ。

 戦場じゃそれこそ生者も死者も並んで行進してたようなもんだし。


「あとはまぁ、スラムでよくあるのは何かで驚かせてからの不意打ちだな。子供のスリもそうだし、そこそこの年齢で初めて殺しをする時にも有効だったから皆慣れた。結果的にスラム内じゃ大抵の事じゃ悲鳴一つ上げないな」


「えぇ……」


 おっと、足元に転がってきた髑髏を壁に向かってシュート、超エキサイティング。


「慣れてくると火事とか殺人が目の前で起こっても無視するか、さっさと立ち去るぞ」


「……帰ったらスラムの改善に力入れるわはっ」


「そうしろ。っと、なんかヒヤッとしたと思ったらこんにゃくって……ネタ切れか?」


 ピトっと頬に振れた冷たい感触。

 こんにゃくが投げつけられた。

 地味にイラっとするなこれ……。


「お、あれがボス部屋だ。さっさと終わらせて帰るぞ」


「うん……ボスは殺す、絶対殺す……」


 おぉ、蓮野が殺意の波動に飲み込まれた!

喪中につき年始の挨拶をご遠慮させていただきます。

今年もよろしくお願いします。


某身バレ系Vtuberに見つかった事で書き始めた新作がそこそこの文字数になったので公開しますね!

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