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TS爺、百合エロゲ―の世界のダンジョンに挑む  作者: 蒼井茜


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上下兄

「ところでお兄様方の名前をまだ聞いておりませんが……」


「今更取り繕うなって! 俺は修治! 月神修治だ!」


「おぉ我が愛しき妹よ。僕は須藤、月神須藤さ!」


 ツンツンはともかくチャラい方はどっちも苗字みたいな名前だな。

 まぁいいけど。


「では修治兄さまと須藤兄さまとお呼びします」


「だーから取り繕うなよ」


「人前での場合です。取り繕わなかったら馬鹿と脳筋になりますよ」


「はっ、いうじゃねえの」


「おぉ、愛らしい妹の罵倒は素晴らしい!」


 ダメだこの変態早くなんとかしないと。


「それで蓮野姉さん。実際普段この二人はどう呼んだら……あー、喜ばないかな」


「普通に兄さんとでも読んでおけばいいんじゃない? わかりにくかったら上と下を突ければいいと思う」


「なるほど、では上兄さん。気持ち悪いので半径500m以内に近づかないでください。下兄さん、暑苦しいので組手とダンジョン以外では近づかないでください」


「それは無理だプリマドンナ。僕は全ての愛を今の君に捧げるよ!」


「そもそも飯の時とか、たぶん俺と隣の席になるぞ。年齢的にも立場的にも。如何せんうちの跡取りはコレが拒否したせいで姉貴が一番の継承者だし」


「下兄さんはそれでいいので?」


「面倒くさそうだから俺もパス。もともと兄貴に押し付けるつもりがおじゃんで、姉貴がやるって言うならそれでいい。最悪俺に回ってきたら分家から嫁貰ってそいつに実務は任せる」


 意外と考えてはいるんだな。

 ただの馬鹿だと思っていたけど、意図的に得意分野以外は目を向けないようにしている馬鹿か。

 つまるところ本気を出せば全部の項目で満点を取れるタイプだが、それを一極集中させることで他を紅店にしても得意分野の戦闘を300点まで押し上げている。

 この手合いは敵に回すと面倒だ。

 具体例を挙げるなら前世の島津兵とか薩摩藩。

 全部の才能を先頭に突っ込んでいくタイプで、一部の頭が回る連中を頭に据えて下は命令のままにヒャッハーしていく。

 個人団体問わず敵にしたらあとにはぺんぺん草も生えない。


「近寄らないでいただけます?」


「なんでそういう反応になるんだよ!」


「いえ、ただの脳筋と思っていたら意図的に戦闘に特化させた脳筋だったので……敵にも味方にもしたくないです」


「言い得て妙とはこの事かな。確かに修治は意図的に馬鹿をやってるけど、そっちの糞兄さんよりまともだから大丈夫。まぁ敵にも味方にもしたくないのは同感だけど」


「やはり何かやらかしてますよね」


「やはりってなんだよ」


 苦情は一切効きません。

 だってお前絶対なんかやらかすタイプの人間だもん。


「昔仲のいい友達がいじめにあってね。いじめっ子はもちろん、見てみぬふりしてた他の子も、認知していなかった教師も、ついでに仲裁に入ったり友達を殴られたから応戦した別の子もまとめて結果的に学校中の人間と殴り合いして全員病院送りにしたよ」


「でしょうね」


「だってあれはよぉ……」


「おかげで学級閉鎖どころか学校を一時期閉鎖、ついでに半壊していたから修理も兼ねてリフォーム。その金額の大半を月神で出して食事のグレードを一つ下げる事になった」


 むしろよくその程度で済んだな……。


「あ、今は元のグレードだから安心して」


 そこは誰も心配していない。

 というか病院食ですらスラムで暮らしてた時や、前世の戦地での飯に比べたら御馳走だ。

 流石に復興期後半や平和になってから食った高い飯と比べるとアレだが、そいつらと比べても明らかに上等な品であるのは事実。

 多分あの病院食を普通に店で食おうとしたら一食3000円くらいする。

 そういう食材と味付けだった。


「それで、被害を抑える方法があれば教えてもらいたいのですが」


「んーいじめられない事、負けない事、あと落ち込むような事も無いようにね」


「強くなればいいって言ってるようなもんじゃ……」


 それも肉体的にも精神的にもだ。


「そうだ! 強い奴が正義だ! 弱いから自分より下を虐げる! 強い奴は全員を守り、敵を全部なぎ倒し、自分と友のためだけに動けるようになれ!」


 ……脳筋なんだけど割といい事言っているのがムカつくな。

 ま、もとより強くなるのは目的だったからいいけどさ。


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