バレちゃった!?月の裏側のナゾの基地☆
「謎の光ィ?」
「はい、衛星が捉えました」
アメリカ合衆国、ワシントンD.C.。そこにアメリカ宇宙開発局──通称"NASA"の本部はある。
そこで月軌道上を周回している探査衛星からのデータを見ていた職員が不審な物を発見する。彼が上司に見せたその画面には、本来光る筈のない月の裏側のとある場所が煌々と輝いている画像が映っていた。
「拡大出来るか?」
「はい」
「……これは……縦孔か? その中から光っているのか?」
拡大した画像から確認出来るのは、どうやらそこには直径数百メートル級の孔があり、そして光はその中から発せられている、という物。
だが、それは有り得ない事だった。この地点は月に幾つかある"常に影となっている部分"の一つであり、太陽からの光は届かない。なのであるとすれば人為的な光という事になるのだが……
「前回の画像では無かったよな?」
「はい。これが確認されるのは今回が初めてです」
「まさか、この短期間の間に……?」
実を言えば、NASAには"その可能性"を考えられるだけの材料があった。
世間には隠されているが、彼らは何度も宇宙人を確認している。直接の接触はないもののその存在は既に確信しているのだ。
都市伝説は与太話であるからこそ"都市伝説"でいられる。もし確定してしまっては社会にどの様な影響が出るか分からない──その恐怖から抜け出せず、未だ秘匿され続けている。
なので、彼らはこれが地球外生命体による月への侵略行為だという可能性を大真面目に考慮してしまう。実際には極東の一学生による道楽なのだが、知らない方が幸せな事実という物もこの世にはあるという事だ。
そうして彼は引き続き衛星による監視を続ける様指示し、それだけでなく更に踏み込んだ調査を行おうと考えた。
「グランストン氏……スーパーセイビアから提供があった例の技術があっただろう。あれを使ってアルテミス計画、早められないか?」
──────
「そうか、マジカル☆ミルキーは断ったか」
「その様です。全く、サンシャインサムライももう少し頑張って欲しい物ですね」
「あまり彼女を悪く言うんじゃない。この私とてマジカル☆ミルキーの真意は図りかねているのだからね」
ニューヨーク、スーパーセイビア邸。そこでスーパーセイビア──ジェイムズ・リドリー・グランストンは秘書から先日のサンシャインサムライによるマジカル☆ミルキーとの接触の顛末の報告を受けていた。
ジェイムズはサンシャインを揶揄する秘書を窘め、現状で分かっているミルキーについての報告書に目を落とす。
「一先ずは私自ら報道で呼びかけてみる事にしよう。それでも駄目であった時は……"セイバーズ"の面々を一度召集する事にしよう」
その言葉に秘書は目を見開く。
「なっ、そ、それ程の事態だというのですか? ただの小娘では?」
「あまりそういった言葉遣いはプライベートな場でもしない方がいい。それに侮らない方がいいぞ? 何しろ彼女は私と同じ自力覚醒者だ。私と同じ程の力を持っている可能性も高いだろうね」
「な……」
彼は絶句した。
何しろ、スーパーセイビアは世界最強のヒーロー。世界には数々のヒーローが彼によって生み出されたが、そのいずれも彼の前では児戯に等しい。
その彼が、自分と同じ程度の強さを持っていると認めたのだ。もし敵に回れば恐ろしい程の脅威になる事は間違いなかった。
「勿論戦って負けるつもりは毛頭ないがね。しかしそもそも戦わないので済むのならばそれが一番だ、私は平和主義者だからね」
彼はそう言い、資料をデスクに置き視線を窓の外に移す。
「確か例の物の竣工が一ヶ月後だっただろう、集めるならその時だな。良いお披露目の機会にもなる」
「は、はい。根回しは済ませておきます」
「頼んだよ」
平伏し、秘書は部屋を出ていった。
一人になった部屋の中、彼は胸元に提げていたペンダントに触れる。紫色の半透明な石、アメジストでもタンザナイトでもないそれは、イルミスに存在した"魔石"に酷似していた。
──────
「もうすぐ学校かあ」
「あ、もうそんな時期なんだ。じゃあイリィの初学校もすぐだね」
「たのしみなのです!」
基地建設を終えた俺達は早速そこでくつろぎながら他愛もない話をする。
現在の日本時間は西暦2023年3月中旬。普通にいけば4月からミズリは高校一年生、俺と達也は高校一年生(二度目)、イリィは小学一年生になる筈だ。そう考えると少し憂鬱な様な、日常が戻ってきた様な気がして嬉しい様な、複雑な気分である。
「私は……馴染めるでしょうか」
そんな中、ミズリが不安げに呟く。
「まあその見た目は目立つだろうな。一瞬でアイドル決定だぞ」
彼女は十人に訊けば十一人が美少女と答えるであろう程の美少女である。まあアンドロイドなので当然なのだが、そんな彼女が学校に来たら目立つ事は間違いないだろう。是非とも如月のお株を奪って欲しい。
だが、俺のその回答に彼女はどこか不満げだ。
「そういう意味ではなく」
「そのくらいしか考える事ないって。ミズリはミズリのキャラで行けばそれで馴染むよ。あ、でも俺の事をマスターとかは呼ぶなよ?」
現状身内以外でミズリと会っているのは玲だけだ。その彼女も、ミズリの事はアンドロイドとは思わず普通の人間だと思って感情を向けていた。
世の中には70億人も人間がいる。それだけ居るのだからきっと俺達が想像もつかない様な性格の人間だっているだろう。それに比べれば多少機械的なくらいどうという事はない。多分一定の人気を得る事にすらなる。
そもそも、今の彼女は出会った時に比べて遥かに"人間らしく"なっている。最初はピクリとも表情筋が動かなかったのに今ではこんなあからさまに顔を変えてくる。
それが、情緒の成長なのかスキルレベルアップによる変化なのかは分からないが、兎に角今の彼女を外見と性格だけでアンドロイドだと看破するのは至難の業、というかほぼ不可能だろう。
「そういうものでしょうか」
「そんなもんだよ。人間ってのはちょっと違和感があっても理性が"常識的に正しく"補正するものなのさ。流石にメカバレとかしたらアウトだと思うけど」
「私の身体はナノマシンで構成されているので傷口の偽装程度なら可能ですが」
「ならもう心配する所ないじゃん」
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