ワクワク!月面基地建設大作戦☆(前編)
バイクを走らせる事数分、俺は巨大な孔の前に居た。
「でけー……」
「ここが進入孔です。直径平均512メートル、深さ2320メートル。常時陰になっており外部からの視認は出来ません」
ミズーリの全長の1.5倍程もある巨大な孔、覗き込んでみるが底は見えない。正に深淵といった感じであり、秘密基地を造るのにはお誂え向きの場所だ。
俺はコスモクレインを取り出して乗り込み、孔を降りていく。コスモクレインはコントリール海探索でも使った特殊探査艇、こういった場所の調査には最適だった。
そうして底まで降りる。そこには驚きの光景が広がっていた。
「すげえ……」
「天盤高平均327メートル、細かな横孔も含めた総面積は約619平方キロメートルです」
「まるでデカイ鍾乳洞みたいだな」
今日の俺、驚いてしかいない気がする。
そこに広がっていたのは正しく今言った様に"巨大な鍾乳洞"だった。地下2000メートルに広がる巨大な空間。その天盤は無数の天然の柱に支えられ、天井と床面から大小さまざまな鍾乳石の様な形の岩──勿論炭酸カルシウムではなく単なる崩れ残った岩である──が無数に生えている。ただしその大きさは数十メートルクラスだが。
俺達が今降りてきた孔はその空間のほぼ中心に繋がっていた。その為、底まで降りると途端に全方位が広がるのだ。月にこんな絶景があったとは驚きである。
因みにここには一切光源が無いので今こうして見れているのはコスモクレインのライトを暗視スコープが何千倍にも増幅しているからだ。多分肉眼だと一切の暗黒が広がっているだけだろう。
兎も角、もうこんな場所は基地を造ってくれと言わんばかりの好立地。寧ろ既に宇宙人が作っていてもおかしくない程だ。丁度縦穴はミズーリも通れるし、秘密ドッグとしても十分な広さがある。
「まずは照明をつけるか。照明弾用意……撃て!」
コスモクレインの多目的サイロから照明弾が複数放たれて洞窟内部を照らし出す。ここでの照明弾とは一般的に使われる信号等で使われる物ではなく、空中に静止して長期間照らし出す電球の様な物である。
球場などで使われるそれよりも遥かに強力なそれらは一瞬にして広大な洞窟内を照らしその全貌を明らかにする。
その空間にミズーリを出し、取り敢えず会議室で基地の概要や施工計画を決める。ここまで本当に何も決めずに来てしまっていた。
室内にホログラムで洞窟のモデルを映し出し、ミズリと話し合う。
「取り敢えず必要なのはミズーリを整備する為のドッグと……あとは何だろう」
「一応マジカル☆ミルキーの基地も兼ねるのですよね? ならばそれらしい設備が必要なのでは?」
「それらしい、と言ってもな……」
確かにそれがこの月面基地を造ろうとした理由ではあるのだが、しかしあまりにもふわっとしたイメージしか持っていなかった。そもそも俺自体魔法少女にもヒーローにもそこまで造詣が深い訳ではないのだ。
外見だけ立派な物を作って内容は無いようです、というのでもまあ別にいいのだが……
「……ここは専門家を呼ぶか」
「専門家? そんな方がいるのですか?」
「まかせるのです! このイリィがりっぱなきち?をつくってみせるのです!」
会議室にてドン、とイリィがその小さな胸を張る。それにミズリは呆れた様な目をこちらに向けてくる。
「マスター……」
「少なくとも俺よりかは詳しいだろう。それに達也も居るし」
「まあ確かにイリィと一緒に観てるけど……僕の方はあんまり期待しないでね」
そう、俺が今回の基地建設の専門家として呼んだのが彼女──イリィである。以前にも言ったが彼女は年相応に女児アニメを観ており、その知識量は変身アイテムがガラケーで止まっている俺とは雲泥の差である。
「因みに今の変身アイテムは何なんだ?」
「ペンとマイクなのです」
「スマホじゃないんだ」
「あと、おとこのこがミラフィアになるみたいなのです」
「男が!?」
と、いった感じである。今は学校も無いので過去作も観まくっているらしい。
「まず、ミラフィアは~……」
そうして、イリィ大先生監修のもと基地の設計がスタートし、出来上がった設計図のもと遂に建設が始まる。
施工方法はまず大型の3Dプリンターをミズーリの艦内工場で幾つかのパーツに分けて作り外で組み立て、躯体を印刷する。材料はレゴリスなのでコスパも良い。
月の重力は地球の1/6であるのでパーツさえ出来てしまえば組み立ては簡単だ。また、月には地震があるがそのエネルギーは最大でもマグニチュード4程度なのでミズーリの技術力であればさしたる問題ではない。
そうして躯体が完成し、後は装飾を印刷、装着して完成だ。工期は約1週間だった。驚くべきスピードである。因みに設計に四日かかっているので施工期間は三日しかない。
と、いう訳で完成した基地を各区画を順に紹介していこう。
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