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嫉妬全開サンシャインサムライ!

──3月6日


 玲が夜空達を訪問した二日後、再び魔力励起反応──怪物が現れる直前に起こる魔力反応──が衛星に感知された。場所は横浜、ミズリはすぐさま変身し現場へと向かう。

 ミズリは夜空のスキル『宇宙戦艦』の一部であり、そしてそれはイルミス神を倒した事で大幅にレベルアップしていた。それにより様々な事が出来る様になり、彼女はそれを利用して日本全国どこへでも即座に向かえる態勢を整えていた。


 まず、感知すると同時に該当地区へと監視衛星からステルス処理されたガイドビーコンが射出される。そしてミズリがマジカル☆ミルキーになり、そのビーコンに向けてテレポートする。このテレポートがレベルアップによって可能になった事の一つだ。これまではミズーリ内部か夜空の近くにしか無理だったのだ。

 その後ビーコンを回収し、怪物を討伐、そして箒で暫く飛び夜空かミズーリへとテレポート、というのが一連の流れである。取り敢えず、初陣は作戦通りに完了出来た。


 今日で二度目、手筈通りに監視衛星からビーコンが射出され、それは如何なる国の如何なる感知装置にも引っ掛からずに大気圏内へ突入、高度500メートルになった所でミズリがテレポートする。

 そこから箒に乗り急降下、眼下に映る街並み、その中にたった今丁度現れたのは以前新宿にて現れた物と同じ、赤色の高さ100メートル程の体躯を持つ怪獣だ。

 まるで幻の様に、さも元からそこにあったかの様に出現するその理屈は未だに分かっていないが、しかし目の前に鎮座するそれは幻などではなく実体を持ち人々を攻撃する。倒す以外の選択肢はなかった。


「"ゲリエドラグーン"」


 狐面の中で彼女はそう呟き、直後腰のホルスターが一人でに開きそこに格納されていた純白の拳銃が飛び出て彼女の右手に収まる。


「リミッター解除、エネルギー充填開始」


 その声と共に銃口に光の粒子が溜まっていく。

 以前倒した時と同じ、最大出力のパルスレーザー。それを急所である脳にブチ込む、単純明快な倒し方。


「エネルギー充填120パーセント、発射」


 射線上に人がいないかを確認し、引き金を引く。

 大気による減衰を受けてなお余りある光と熱の嚆矢は秒速30万キロメートルの速度──即ち、一瞬にして怪獣の頭部に到達、現代兵器をものともしない表皮を易々と貫通する。

 そうして急所を穿たれた怪獣は灰となって消える──筈だった。


「まだ死んでいない……」


 しかし、怪獣は灰となる所か何も受けていないかの如く平然と動き、眼下で逃げ惑う群衆を踏み潰さんと足を上げる。

 恐らく、怪獣を出現させている何者かが前回の結果を受けて急所を変更したのだろう、想定内の出来事にミズリは銃をホルスターに仕舞い、手を怪獣に向け、呟く。


「"重力アンカー"」


 その声で彼女の周囲に全長2メートル程の杭の様な物が四つ現れ、怪獣へと一直線に向かい、突き刺さる。それを確認した彼女は物を引っ張り上げる様に腕を振り上げる。


「Guo!?」


 かつてイルミスにて小惑星を山として地面に打ち込む際に用いられた"重力アンカー"。重力制御により打ち込んだ物体を自由に動かすそれにかかれば体長100メートル程度の生物など余裕であった。

 今にも群衆を踏みつけんとしていた怪獣は突然宙に浮き、そのまま勢いよく海上へと持っていく。そんな有り得ない体験に怪獣も驚愕の声を上げ、群衆(観客)達はぽかんと口を開けて立ち尽くす。

 海へ移動したのは、人的被害を無くす為だ。未知の要素が大きい状態で野次馬のど真ん中で戦う理由はなかった。


「"コスモバズーカⅣ"」


 それを箒に乗ったまま追いかけ、その最中に彼女はそう呟き自らの周囲に四つのバズーカを出現させる。


「発射」


 そして海上で浮いたままの怪獣の頭部に向けて一斉に発射、撃ち出された弾は全て正確に命中し、その頭部を木っ端微塵にする。

 飛び散る血肉と脳漿。しかしながら、首から上を無くしたにも関わらず未だ怪獣は健在だ。念の為にと吹き飛ばしたがやはり無駄だったか、彼女はバズーカを収納し再びゲリエドラグーンを手に取る。


 だが、ただやられているだけの怪獣ではなかった。


「!!」


 消し飛んだ首元から無数の触手が飛び出てくる。本体は動かせなくとも触手なら、という魂胆なのだろう、実際それらは重力アンカーの影響を受ける事なく彼女へ向かって殺到する。


「"コスモキャリバー"」


 彼女のその呟きで、両サイドに長さ1メートル程度の二つの機関銃が出現する。

 フィルリーナFF20mm陽電子重機関銃、通称コスモキャリバー。コスモパンサーの機首機銃にも採用されているこれは言わずもがな絶大な威力を誇る。それらを重力制御装置によって自らの両サイドに控えさせ、手で触れずに操作する。

 彼女は怪獣の周囲を飛び回る。その間にも銃口から光弾が放たれ、近付く触手を次々と撃ち抜いて引き千切っていく。


「"プローブ"」


 そうして首の断面付近まで来た彼女はそこへ目掛けて取り出したとある装置を打ち込む。

 それは打ち込んだ物の電気信号を計測する装置である。外部から操られているにしろ、自律駆動しているにしろ身体を動かす信号を送っている場所はある筈であり、そしてそこは自ずと急所になる。


 かくして目論見は達成され、目の前の怪獣の急所──胸元が判明する。彼女はゲリエドラグーンを構え、再びフルチャージのパルスレーザーをそこ目掛けて発射。

 青白い光線が心臓を貫き、全身へ信号を送っていた器官が破壊された怪獣は灰となって消えていく。


「こちらミルキー。任務完了、帰投し……?」


 そうして帰ろうとした時、不意に彼女は自分に近付いて来る何かを感知する。


「……パターンBです。もうしばらく待機します」


 そして彼女は両サイドの機関銃を収納し、しかしゲリエドラグーンは握ったまま近付いてきたそれ──謎の人間に顔を向ける。


 白を基調とし黄色のアクセントが入った身体に張り付く様なボディスーツ。肩と胸元には和風の鎧、腕には篭手、腰には黄色の刀が提げられ、背には半透明のマントが煌めいている。

 頭部は小さめの兜を被り、そこから飛び出た金色のポニーテールが揺らめいている。そして顔面は面頬によって覆われ、黄金色の瞳以外の情報は得る事が出来ない。

 全体的な印象としては未来風の侍といった所だろうか。そしてほっそりとした脚や膨らんだ胸元から察するに、恐らくは女性。それも夜空と同年代か少し下くらいだろう。


 そんな彼女は単身で重力を無視して飛び、ミズリの顔を睨み付け、言う。


「……キミは、何?」

「それは此方の台詞ですが」


 発せられた声はややハスキー寄りの少女の物。しかしながら魔力で操作しているのか、その声紋はごちゃごちゃしておりとてもではないが認証は出来なさそうだ。


本当なら(・・・・)キミじゃなかった(・・・・・・・・)……本当なら僕だったのに」


 ミズリからの問いかけに彼女は答えず、ただ両手で顔を押さえてボソボソと呟くのみ。

 だが、その内容から彼女が何者かは何となく察する事が出来た。


「なるほど、つまり貴女が日本に出現する予定だった(・・・・・)ヒーローですか」

「──ッ!!」


 それを聞いた彼女は憎悪に満ちた視線でミズリを睨みつける。ギリギリ、と歯を噛み締める音が鳴り、常人が浴びればそれだけで死んでしまいそうな殺気が放たれる。

 或いは実際に魔力を込めていたのかもしれない。血肉の通った人間相手ならば効いたのかもしれないが、生憎目の前にいるのは血肉の通っていないアンドロイドだった。


「……そこまで分かっているのなら話は早い。僕の名はサンシャインサムライ、この力に覚醒して、日本を救う筈だった……でも、キミが現れた」

「そうですか」

「本当は、本当は僕がやる筈だったのに、そうすれば僕は、僕だって……!」


 ぐしゃぐしゃと髪を鷲掴み言葉の節々から憎悪が漏れ出してくる。


「それで、恨み節を呟きに来たのですか?」

「……そうだった。僕はキミを勧誘しに来たんだ」


 来たか。通信機越しに話を聞いていた夜空はこれから話される言葉を確信する。

 サンシャインサムライは彼女へと手を伸ばす。


「魔法少女マジカル☆ミルキー。セイバーズにキミを勧誘したい」

「お断りします」


 そうして伝えられたその言葉にミズリは即答する。


「……どうして、かな」

「入る意味が見出せないからです。私はただ人々を襲う怪獣を倒す為だけに存在しているのですから」

「セイバーズに入れば様々なサポートも受けられる。キミには必要なんじゃないか?」

「私は独自のバックアップ機関を保有しています」


 サンシャインの声にやや焦燥と苛立ちが混じってくる。


「……ヒーローは強大な力だ。それを暴走させない為にはセイバーズに入り相互監視が必要不可欠なんだ」

「貴女は先程、自分が日本のヒーローになる予定だった、と言いました。それはつまり、この状況をコントロールしている何者かが居るという事です。セイバーズに入ろうが、結局は相互監視など効かずにその何者かの意のままになるだけなのではないですか?」

「っ……確かにボクはとある方に覚醒させてもらった。でも世界には自力で覚醒したヒーローも多くいる。相互監視も効く筈だ」


 良い事を聞いた、夜空はほくそ笑む。

 一先ずこれで、ヒーローに覚醒させている何者かが存在する事は確定した。しかしその後の言葉にはあまり信憑性はない。目の前の彼女が知らないか伝えていないだけで全員他人によって覚醒したという可能性も高いのだ。


「兎に角、私は結構です。報道や自衛隊も来た事ですし私はそろそろ帰らせて頂きます」

「なっ、ちょっと」

「では」


 そう言うと、まるで煙の様にミズリの姿が消える。後に残されたのはぽつんと立ち尽くすサンシャインサムライだけだった。

サンシャインサムライのデザインとしては、エアロと侍とキュアサンシャインを足して三で割った感じのイメージ。名前がダサイのは仕様です。

あと、サンシャインの正体が分かった方は暫くは秘密のままでお願いします。多分すぐに本編で出てきます

高評価、ブックマークはモチベに繋がるのでよろしくお願いします

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