プロローグ:地球の異変
──西暦2023年2月19日
「"タイタン"が現れたぞーっ!!」
アメリカ合衆国、サンフランシスコ。
太陽がコンクリートジャングルを照りつけ、冬にしては暖かいこの日、街中にそんな悲鳴が、遅れて破壊音が響き渡る。
自動車は一斉にその音から逃げる様に転回し、道路はすぐに渋滞し硬直する。車では逃げられないと悟った人々はそれから降り、なんとか自らの足で逃げようとする。
「Gyaooooooo!!!!」
ズシン、ズシン、という重い音を立てながら現れたのは一体の巨人。
黄色の鱗に覆われた体長50メートルはあろうかという人型の怪物。足は二本だが、手は何故か四本ある。
到底これまでの地球の常識に照らし合わせれば存在し得ない"それ"は、鱗の隙間から覗く眼をぐるりと回すと、その手足を使い街を破壊し始めた。
「きゃあああああ!!」
「逃げろぉぉぉっ!!!」
ペーパークラフトの如くあっさりと破壊される高層ビル、降り注ぐコンクリート、それらに潰される人々、響き渡る悲鳴。
いつの間にか火の手も上がり、正にそこは地獄絵図であった──
「──そこまでだ、意思無き"怪物"よ」
「Gyao!?」
その時だった。街を我が物顔で闊歩していた怪物が吹き飛んだのだ。
バランスを崩した怪物──"タイタン"は後ろ向きに倒れていき、そしてそれを見下ろす一つの影があった。
「あ、ああ!!」
「た、助かった……」
「来てくれたんだわ、"彼"が!!」
「「「"スーパーセイビア"が!!」」」
人々はその顔を絶望から希望へ変え、その名を呼ぶ。
彼らの視線の先にあるのは、先程の怪物を見下ろす影──藍色のコスチュームに赤色のマントをたなびかせた、よく引き締められた身体を持つ白人男性。
彼は今にも起き上がろうとしている怪物へ向け、指をさし言う。
「これ以上の破壊行為はこの私が許さん……覚悟したまえ!」
「Gyu……Gyaoooooo!!」
怪物は自らを倒したその男に一瞬躊躇するも、すぐに激昂し立ち向かう。
そして猛烈な勢いで繰り出された拳──しかし、彼はものともせず空中で躱し、逆に彼の拳を怪物の頭へ叩き込んだ。
鳴り響く巨大な悲鳴、パン、という何かが破裂する音。それが終わった後、その場に立っているのはスーパーセイビアのみ。
果たして、サンフランシスコを襲った怪物は彼の手によって討伐されたのであった──
──西暦2023年。今、世界はかつてない危機に見舞われていた。
それが初めて現れたのはアメリカ合衆国、ニューヨーク。世界最大の都市であるここに、巨大な人型生命体がどこからともなく出現したのだ。それは対話をする精神など欠片も持ち合わせず──そもそも知能があるのかすら怪しい──次々と街を破壊し始めた。
無論、アメリカもただ座して見ていた訳ではない。すぐさま米軍が出現し、機関砲とミサイルを浴びせかけた──だが、無意味であった。
兵士が放つライフルの弾は当然の事、戦闘ヘリのバルカン砲や戦車砲、海軍の巡航ミサイルも効かず、挙句の果てにはB-2が出撃し地中貫通爆弾をも投下したものの、効くには効いたが致命傷にはなり得ず逆に撃墜されてしまう始末。
最早マンハッタンを灰にする覚悟で核を使うしかないのか……
──そう思われた矢先の事であった。"彼"が現れたのは。
"彼"は鳥の様に空を自由に舞い、圧倒的な力をもってしてその怪物を倒したのである。
その名は"スーパーセイビア"。人々は当初は彼を疑い、排斥しようとする者も居たが、その後同じ様な怪物が現れその度に彼が倒していくのを見てそんな声はやがて消えていった。
だが、怪物が現れたのはアメリカだけではなかった。
アメリカに出現したのを皮切りにヨーロッパ、中央アジア、南アメリカにも同様の怪物が現れ、人類への攻撃を開始したのである。
しかしながら、同時にスーパーセイビアの様なヒーローも現れ、それらの怪物を倒していった。ヒーロー達は同盟を組み、セイバーズ、という名のチームとなって世界の平和を守ると宣言した。
まるで映画の様な状況に今、地球は陥っていたのである。
さて、そうして慌てたのが日本である。
南北アメリカ、ヨーロッパ、中央アジアとくれば次に怪物が現れるのは東アジアである。もし仮に怪物が現れた場合、米軍が倒せなかった物を自衛隊で倒せる筈もない。
政府の中には「怪物と同時にヒーローも現れるのだから深く考える必要もないだろう」といった意見を持つ者も居たが、しかし国家を運営する者は常に最悪の事態を考えておかなければならない。他の国では現れたが日本には現れない可能性だってあるのだ。
それに、これまで怪物達はその国の大都市に出現した。日本ならば当然東京であろう。
もし東京で怪物が現れた場合、甚大な被害があるのは火を見るよりも明らかであり、そして怪物出現とヒーロー出現にはタイムラグがあった。そして、そこでの人死にで批判を受けるのは時の内閣なのである。
正にてんやわんや。未知なる脅威に対して世界は難しい選択を迫られていた──
「……何か俺達が居ない間に地球がマー○ル世界になってるんだけど」
──だからこそ、半年前に兵庫県のとある高校で発生した集団行方不明事件の被害者である生徒達が突然発見されたというニュースなど、新聞の一面すら飾る事なく忘れ去られていったのである。
という訳で第二章開始です。
ご安心ください。貴方が読んでいる作品は『異世界召喚で貰ったスキルが『宇宙戦艦』だった -サプライズ宇宙戦艦理論-』であっています。
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