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<書籍、電子書籍発売中・コミカライズ連載中> ただ静かに消え去るつもりでした  作者: 結城芙由奈@コミカライズ連載中


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4 保健室での会話 

「レティ、学校内をセブランにおんぶしてもらって歩くのって……恥ずかしくないの?」


じっと私を見つめながら問いかけてくるフィオナ。


「え……そ、それは……」


「何を言ってるの? レティは足首を怪我しているのよ? 大事にしたほうがいいでしょう? 」


フィオナの言葉にヴィオラは目を釣り上げた。


「だ、だけど恥ずかしい思いをするのはレティだけじゃないわ。セブラン様のことを考えてみたらどうなのかしら?」


セブランのことを考えてみれば……? その言葉にドキリとする。


「セブラン……」


セブランを見ると、彼は困ったように目を伏せている。そこへフィオナがセブランの袖を掴んだ。


「セブラン様、校舎内でレティをおんぶして歩くと皆から注目されてしまいますよ?恥ずかしいとは思いませんか?」


「そ、それは……」


言葉に詰まるセブラン。


「ちょっと! あなた、さっきから何を言ってるのよ!」


「私は今、セブラン様に尋ねているのよ」


フィオナが口を尖らせたその時――


「いい加減にしなさい、あなたたち」


それまで黙ってことの成り行きを見守っていた医務室の先生が口を開いた。


「「……」」


その言葉に黙るフィオナとヴィオラ。


「いいですか? もともと私は彼女には松葉杖を貸し出す予定でした。松葉杖をつけば、片側の足が不自由でも歩けますからね。でも……確かに誰かにおんぶしてもらうのは一番だと思いますが」


すると……


「分かりました……レティ、僕が君を馬車までおんぶしてあげるよ」


セブランが笑顔で申し出てくれた。


「そんな! セブラン様……!」


フィオナがすがるような視線をセブランに向ける。それだけで私の胸はズキズキ痛む。

きっと、フィオナは家に帰ったらイメルダ夫人に言いつけるに違いない。私が無理やりセブランにおんぶしてもらったと……


だとしたら……


「大丈夫よ。私、松葉杖をついて歩くから」


「何を言ってるの!? レティ!」


ヴィオラが驚きの顔で私を見る。


「あのね、どうせ家に戻れば松葉杖をついて移動しなければならないでしょう? 私、一度も杖を使ったことがないし……練習のためにも松葉杖を使って歩いたほうがいいと思うのよ」


「レティ……本当にそれでいいの?」


心配そうな表情を向けるヴィオラ。


「確かに、早く慣れるためには松葉杖を使ったほうが良いかもしれないけれど……」


医務室の先生が私を見つめる。


「フフ、やっぱりレティならそう言うと思っていたわ。やっぱり早く慣れるためにも松葉杖を使うべきよ。セブラン様もそう思いますよね?」


「そ、そうだね」


フィオナに促されて返事をするセブラン。……セブランは分かっていないだろう。私が今どれ程悲しい思いを抱えているかを。


「……分かったわ。なら馬車乗り場まで見送らせてもらうわ。レティ、私がカバンを持つわよ」


「ありがとう、ヴィオラ」


すると再び医務室の先生が声を掛けてきた。


「話はまとまったようね? それではレティさん? 松葉杖を貸してあげるわ」


先生は壁に立てかけてあった松葉杖を持ってくると差し出してきた。


「はい、どうぞ」


「ありがとうございます」


私は慣れない手つきで松葉杖をついて立ち上がった。


「それじゃ、レティ。帰ろう?」


セブランがためらいがちに声を掛けてきた。


「ええ、帰りましょう」


そして私達は医務室を後にした。



**



初めて使う松葉杖は扱うのに大変だった。


「大丈夫? レティ。それにしてもあの二人は冷たいわね。レティは松葉杖をついて歩くのに慣れていないっていうのに……」


私達の前方にはセブランとフィオナが歩いている。二人は何か話しているのか時折笑い合っている。


「……いいのよ。保健室まで来てくれたのだから」


「だけど……!」


その時……


「レティシア!」


背後で声が聞こえ、振り向くとイザークが立っていた。


いつも無表情の彼とは違い、その顔には驚きの表情が浮かんでいた――




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