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異世界OTEMAE 『常在釜』

作者: 猫舌
掲載日:2023/03/13

茶道を軸に異世界ものが書けないかなと。

お試しです。

気がついたら一人、丘の上の大きな木を背に持たれて座っていた。

自分の服に乱れはない。

自分のことは思い出せるか?


名前は合志栄一郎。

年齢は19歳。

さっきまで一人旅で電車に乗っていたはず。

うーん。


丘の下には道があるから、とりあえず近くの街に行こう。


自分の状態を確かめる。

白色の半袖シャツ、黒色スラックス、黒革のウオーキングシューズ。

黒縁メガネ。

さて、どうしたものか。


山陰線に揺られて、一人旅。

山口県山口市から島根県松江市へ電車旅行。

抹茶とお茶菓子を目的に、のんびりと。

忙しい日常から、気分転換だ。

そのはずだった。


先程まで橙色の車体色の電車に乗って、お菓子と抹茶を目的に一人旅していたのに。

身に付けていたものしか無い。

リュックサックを荷棚にあげていたのは失敗だった。


深呼吸して、立ち上がる。

いやな予感を確認するために、集中する。

『ステータス。』

思い浮かべると、自分の目の前に半透明のパネルが浮かんだ。


名前  合志 栄一郎 ゴウシ エイイチロウ

HP  そこそこ

MP  ほどほど

スキル 茶道


メッセージ:とりあえず、頑張れ。


いや、いろいろおかしい。

ファンタジー小説を時々読んでいたからわかる。


「異世界転移なのはわかる、でも、ステータスの数値がおかしい。」


さらに、スキルだ。

茶道、うん、茶道ね。

なんか武器術とか魔法とか、身体強化とかじゃないのか。

これからどうしよう。



道を歩いていくと、傍らからプルプルした青色のかたまりが飛び出してきた。

まんじゅうの形で、ぷるぷると揺れている。


スライムだった。

サッカーボールくらいの大きさで、僕の行手を遮り、ぷるぷる震えている。


どう対応すればいいのだろうか。


僕はスキルを使うことにした。


スキル 茶道 

選択 茶をすすめる。


僕が両手を受け皿のようにして差し出すと、両手の上に黒光りする茶碗が出現した。

ほんのり温かい。


いくぞ、スライム。

スライムに近づき、道の上で正座する。

姿勢を正し、そっと相手に茶碗を差し出す。

茶碗の中には綺麗な緑色の薄茶がなみなみと入っている。

茶の会心の出来に心が浮き立つ。


青味のかかった半透明の触手が、温めの抹茶の注がれた茶碗に巻きつく。

スライムは僕のお茶にどんな反応を示すだろうか。


とぽん、と抹茶入りの茶碗がスライムの体内に入り、しゅわん、という音とともに抹茶も茶碗も消えていった。


その瞬間、僕は叫んでしまった。

「違う、そうじゃない。」


スライムに向かって茶道を説いた。


まず、吸収するのは茶碗の中の抹茶だけ。

できたら一瞬で吸収せずに味わって欲しい。


スライムは僕を襲うことなく、僕の説明を素直に聞いていた。



自分も一服する。

ふう、落ち着く。


両手で持った茶碗の、温めの抹茶を飲み干した。

さっきまで喉がカラカラだったのが、身体全身が一気に潤った。

目を閉じて、深呼吸。

茶碗は消して、休憩は終わり。

さあ、行こうか。


足元でスライムがプルプル震えている。

僕が歩くのに合わせて、ぴょん,ぴょんと跳ねている。

ついてきてくれるようだ。

『一人は味気ないし、ペットとして良いか。』

スライムを持ち上げて肩に乗せると、首元がひんやりして気持ちが良い。


僕はRPGは初期の仲間で固定クリアを目指すタイプだ。

時間はたっぷりありそうだし、ぼちぼちやって行こう。


スキル 茶道

お知らせ スキルアップ!

仲間ができたよ、良かったね。

茶菓子を出せるようになりました。


食料と飲み物の心配が無くなった。

茶道、意外と有能かもしれない。




思いついた事は、直ぐに形にしよう。

あとで伸ばせることもある、直感を大切に。

そんな気持ちで書きました。

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