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第2小隊の感想、慣熟飛行初日終了、疲れました

「伊吹の操縦うまいですね。」と酒田くんが近くによって話かけてくる、「ほんと、シミュレーション装置訓練も、2日程度で基本が出来たので、北沢スペシャルを仕込んでおきました。でも始めての実機でこんな安定しているなんて想像以上です。」と北沢も感心している。「どうだ、即戦力で任務に就かせてられるか」と2人に聞くと、「それは小隊長の判断の判断ですが、問題無いかと。」と酒田くんが答えてくれる。

「特殊飛行とか射撃とか必要無いんでしょ、だったら長時間飛行に耐えられるから、俺より使えるかも。」と北沢が謙遜して言ったつもりだろうが、「その通り、北沢より安定感があるからな。」と酒田さんに突っ込まれ、北沢がしょんぼりしたポーズと舌をペロッと出して、「はい、訓練に精進します。」とおどける。

「では第一小隊の菅井隊長と司令で明日以降の任務ローテについて相談してみる、おそらく明日から任務になると思う」と2人に伝えた。

5回目の再離陸を終えたところで、「合格だ。次は着陸して機体を掩体壕の前に止めて来い。」と岩崎さんからの無線が入る。「はい、分かりました」と返事はしたが、まだ指示通りに出来てない部分もあるし、まだ機体の癖を完全に把握出来ていないし、山本整備員に微調整してもらいたい部分の整理も出来ていないので、本当はもう少し飛んでたいが、仕方がない本日最後の着陸を完璧にしよう。

最終ターンを終え「着陸指示板」を確認すると「マテ」の指示になっている。こっちは最終ターンを終えたので、飛行場の上空を直進することにするが、何か問題でもと、機体周りを見回すと、黒い点が見えたおそらく任務飛行を終えて帰投している第一小隊だろう。これはいい機会だ、自分の着陸と比較できる。彼らの着陸の様子が見えるように飛行ルートを少し逸脱する。

先頭の機体番号は「1-1」だから、第一小隊長機だ。着陸のアプローチの角度は問題無いのだが、機速がやけに早く見える、着陸のやり直しか?と思ったら、急減速が始まった、フラップを下ろし、脚を下ろし、スロットを大きく絞った操作だ、一瞬で着陸態勢を作ると見事な3点着陸を決めて見せた。2番機も問題無しの着陸を行ない、自分の番になった。

第一小隊長機の着陸を見せられ緊張しているのが分かる。ここで失敗はできない。先の大戦のパイロットは緊張している時に股の玉を触ってみろと言われたらしいが、私にはそんなものは無いなんて話を思い出したら、操縦桿を強く握り締めているのに気が付く。「操縦桿は生卵を持ったつもりで操作すること」急に視界が広がった、計器盤の数値と滑走路の着陸予定地点、そして岩崎隊長を始めたくさんの観客が見える。

もう大丈夫、滑走路の着陸地点のセンターラインの中心に飛行機を運び、地上50cmで失速させて無事着陸を終えた。機体を掩体壕まで滑空させると、先に着陸した第一小隊長と2番機搭乗員が迎えてくれた。

「いい着陸だったね、今日がゼロ戦での初飛行なんだろ、まいったな、風も無く条件的に恵まれたとしても、あの着陸を決められるとは。改めて光島ゼロ戦飛行隊へようこそ。」と握手を求められ、少し飛行隊の一員になれた気がした。

ヘルメットと落下傘を抱えて岩崎小隊長にテスト飛行任務完了の報告を行なった。「今日の訓練ご苦労さま」「まず、飛行服を着替えて搭乗員待機所で待機、司令を含め明日からの任務計画を説明する」着替えを終えて待機所に入ると、酒井さんと北沢さんが迎えてくれた。

「さすが飛行時間500時間超のベテランだ、この調子でゼロ戦に慣熟して行こう」と酒井さんの笑顔に対して、北沢さんは「よし、明日は模擬空戦しようぜ、同位戦な」となぜか挑戦的でテンションが高い。「そんな訓練する訳ないだろ。そんなに模擬空戦したいなら、岩崎小隊長か菅井第一長隊長にお願いするんだな。」「それは無理ですよ、2人とも米軍との合同訓練で米軍機を撃墜認定させた人でしょ、そんな格闘戦の化け物と模擬戦したら、1分と持ちませんよ。」「良く言うよ、全然負ける気なんかある訳ないくせに、しかし機体もレシプロとジェットだし、さすがのお前ももしかしたら…、まあお前に勝てる訳無いか」と2人で大笑いしているところに割り込む。

「あの撃墜認定ってなんのことですか。」酒井さんが「航空自衛隊の軍機なんだが、まあいいだろう」「米軍との合同訓練の時、2人ともイーグルで米軍の最新ステルス機と模擬空戦をやって、相手機から撃墜認定を取ったんだ。日本人パイロットの撃墜認定は珍しく無いが、その時は空自内で話題になったものだ。」

「技量の菅井と理論の岩崎ってそれぞれ2つ名を持っているのが、われらの両小隊長様だ」「技量の菅井と理論の岩崎ってどういう意味ですか」と聞くと北沢さんが「さっき菅井小隊長の着陸見ただろ、ちょっと力業っぽいが、腕が4本あるじゃないかと思うくらいの超絶早業技巧操作の達人。

うちの隊長は飛行機操縦だけでは無く、風、温度、太陽の位置の気象条件、飛行機の後方乱気流、翼端渦などの情報を元に相手の次の操作を読んで先回りする予測理論操作の達人」「すごいですね超有名人なんですね」と答えると。「伊吹だって今日の見事な慣熟飛行で、あっという間に空自の搭乗員の間で話題になるぞ」と酒井さんが笑いながら答える。

第一小隊菅井だ、「まず楽にして、そして任務と訓練ご苦労さまです。」「本日の第二小隊の慣熟飛行訓練を見させてもらい、即戦力として任務実施が可能だと判断した、早速明日から任務に入ってもらう。」

「第一小隊は準待機とする。長期間の休日なしの体制下での任務実施、改めて感謝する。」「やったー、今日は朝まで飲むぞ」と第一小隊員の雄たけびが響く。

「申し訳ないが、明日は実験棟に行って、健康診断だから。今日は禁酒だ。明日の夜ならどこまでも付き合ってやるからな。」と菅井第一小隊長が冷たく指示を伝える。それでも第一小隊員は嬉しそうだ。それだけ任務が過酷なものであるのが分かる。「機数が倍になった、整備員・調理員の増員は行ったが、まだ十分とは言えない、特に整備員の増員メンバは、始めての機体となる、第一小隊の整備員と連携を取って、機体整備をお願いしたい。」

「第二小隊搭乗員と整備員には明日からの任務について説明する、菅井小隊長からの助言も受けたい。」と岩崎小隊長が第二小隊関係者を残して任務内容の説明を始める。「まず、単機では無く、二機編成で行動する、岩崎と伊吹、酒田さんと北沢のペア構成、任務飛行は1日3回、1回あたり2時間30分間を原則とし、1回の飛行後に1時間の休憩を入れるので、連続9時間30分の任務となる。

朝の第一便は当日の天候次第で決定するが、6:00から8:00を予定している。もちろん前日の夜に第一便の出発時間は教える。」「それ以外は輸送船の護衛飛行、場合によっては夜間着陸になる可能性もある。」

「そういえば伊吹、夜間着陸はどうだ。」「民間機での多数の経験あります。ただ夜間着陸は管制との連携、着陸灯のアシストが有ったので、ゼロ戦では正直不安がありますが、フライトシミュレーターで訓練は十分です。」「第一菅井小隊長、何か助言はありますか。」「それと一番怖いのは積乱雲とそれに伴う機位ロストだ、私も数回機位ロストになりかけた。」

「赤道近くで発達した積乱雲に突っ込むバカはいないが、積乱雲の上に逃げるか、雲の下の暗い空と雨を低空飛行で突っ切るか、大きく積乱雲を迂回するのが、対処方法となるが、どの方法もコックピットの計器チェックがどうしても不十分になる。で、積乱雲を回避した時に機位ロストになる。」

「何せ下は360度海面、目印が見つかれば良いが、夕方など暗くなってくると目印が分からない。航路上の積乱雲は基本回避で任務中止するように、先の大戦時でも敵機から撃墜されるより、悪天候で機位ロストによる未帰還が多かったと聞いている。最後に1日の飛行時間は7時間30分だが、基本的に退屈で眠くなる、編隊飛行中に寝てペア機に衝突しないように。こんなところだ。」

「菅井小隊長、ご教授ありがとうございます。」「我々の飛行空域は目印がほとんど無い海の上だ、偵察員もいない、GPSも無い、機位の把握はコックピットの計器を信じるしかないが、風に流されてる場合もある、飛行中はペア同士協力しながら常に機位の把握が出来る様に。」「明日の出発時間は夕飯後に説明する。解散」

私は隣にいた山本整備員に話しかける。「機体の状態はどうですか、壊した部位とか気になる所はありませんか。」「大丈夫です、壊れた場所などありませんよ、強いて言えば燃費が少し悪かったと思います。明日から長時間飛行の連続です、燃費を良くするエンジン回転数コントロールを覚えた方が良いでしょう。逆に伊吹さんから気になる点はありますか。」「そうですね、フライトシミュレータと比べて計器位置・スロットレバーなどが、実機は体から遠くにあるのが気になりました。」

「それでは座席位置を少し調整しましょう、フライトシミュレータは身長170cm基準で座席位置を決定しています。伊吹さんは身長が当時のパイロットに近いので、座席を前に移動したのですが、まだ違和感があったのだと思います。誰でもどのゼロ戦にのるなら、共通の設定にしますが、2-4号機は伊吹さん専用の機体なので、好きに調整してください、個人的には射撃訓練や、特殊飛行が始まります、射撃標準器の位置が命中率に影響し、操縦桿を全力で引くことのある特殊飛行には座席の位置が大事です。今決める話でも無いので、ゆっくり決めましょう」

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